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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1776話:公子二人を王様の元へ

 感心したようにおかっぱ公子ガリレオちゃんが言う。


「ヴィルちゃんはすごいですねえ。どこにでも行けるんですか?」

「うん、ヴィルはワープの上手な子だよ」

「精霊使いはやってることがおかしいんだ。ヴィルにビーコンっていう転移の行き先の石を運ばせて、自分もどこへでも転移できるようにしてるんだぜ。ズルいだろ?」

「ズルいって何だ。賢いだけだわ」


 ダンは何を言ってるのだ。

 あたしの叡智の結晶だわ。

 おっと、赤プレートに反応だ。


『御主人! ピエルマルコ王だぬ!』

『ユーラシアか?』

「そうそう、ウルトラチャーミングビューティーことあたし。執務中にごめんね」

『緊急で重要な用件と聞いたが何事だ?』

「サラセニアの大公ボニ何とかさんが一昨日亡くなった」

『何?』

「そんで今日クーデター」

『親アンヘルモーセン派か!』

「多分。でもハッキリしたことはまだわかんない」


 大公弟ヒラルスのせいだろって決めつけてきたけど、騎士団の独断だったり、大公弟関係なしに騎士団がアンヘルモーセンないし天崇教と組んでたりする可能性もあるんだよな。


「騎士団に殺されそうになってた、公子のスパルタコちゃんとガリレオちゃんを保護したんだ。そっち連れていっていい?」

『すぐ連れてきてくれ』

「ヴィル、ビーコン置いてね」

『了解だぬ!』


 うちの子達に声をかける。


「ガリア行って、王様に事情を説明してくるよ。帰ってきたらおっぱいさんに報告がてら、ギルドで昼食ね」


          ◇


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 えーとここは議会政堂の執務室かな?

 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 あんたは可愛いのう。

 コージモ外務大臣もいる。


「よく来たな」

「「ピエルマルコ様!」」

「スパルタコ、ガリレオ。ボニファツィオ殿については残念だったが、ガリアは安全だ。大船に乗った気でいて構わぬからな」


 おーおー泣く泣く。

 気が張ってたんだろうなあ。


「そちらは?」

「ダンだよ。『アトラスの冒険者』で、今日手伝ってくれたの」

「ふむ、なかなかの男であるな。世話をかけた」

「いいんだぜ」


 王様が真面目な表情になる。


「確認するが、『アトラスの冒険者』のクエストでサラセニアの異変を知ったのだな?」

「うん。今日の朝ギルドへ行ったら大至急のクエストがあるって言われて。現地へ飛んだらダンジョンでさ。宮殿からの秘密の脱出路だったよ。逃げ込んでたスパルタコちゃんとガリレオちゃんに遭遇して、エンターテインメントが始まったのでした」

「スパルタコ。ボニファツィオ殿の逝去以降に起こったことを全て話してくれ」


 大公殿下が一昨日倒れて頭の血管が事件性がどうのこうの。

 今朝未明、宮殿に騎士団が踏み込んできてうんぬんかんぬん。


「許せんな、ベルナルドの卑怯者め。騎士団長でありながら大公家を裏切るとは!」

「ハッキリわかってるのは、騎士団が謀反したってとこまでなんだ。本当に親アンヘルモーセン派と組んでるかは、実はまだ何とも言えないの」


 しかし鼻を鳴らす王様。


「ふん、武勇はともかく、ベルナルドは猜疑心が強く、臆病なやつだ。一人でことをなそうとするはずがない」

「オレもそう思う。必ず有力な誰かと繋がりがある。ヒラルス叔父が一番怪しい」


 まー正しいんだろうな。

 本の世界のアリスも、大公弟ヒラルス殿下は親アンヘルモーセン派って言ってたくらいだから、間違いなくつるんでるだろ。

 客観的なサラセニアの状況を知りたいもんだ。

 でもどうせ今行っても戒厳令敷かれてるだろうし、姿を晒してマークされるだけ損か。


「今後の方針を教えてもらいたいんだけど。大雑把でいいからさ」

「サラセニアの現状を把握することが最も優先だな。ユーラシア、どうにかならんか?」

「首都ウトゥリクだったっけ? 街歩いて情報収集したいけど、どうせ騎士団か軍かが戒厳令敷いてるでしょ? 今行ったってしょうがなくない?」

「うむ……」


 腕組みをする王様。


「……コージモ、サラセニアに騎士団以外の治安維持組織はないな?」

「海上保安隊がありますが、陸上は騎士団だけです」

「騎士団が反乱起こすと、対抗する組織はないんだ?」

「うむ。流通が止まるとウトゥリクは自壊するしな。となれば戒厳令は早期に解除されるに違いない」

「わかった。三日後くらいにウトゥリクの街中の様子を見に行ってみるよ」

「待て、予も連れていけ」

「え? 危ないかもしれないぞ?」

「ユーラシアがムリをしないことは知っている」


 ニヤッと笑う王様。

 あたしもそう危ないと思ってるわけじゃないけれども。


「じゃ三日後の朝、王宮に迎えに行くよ」

「よろしく頼むぞ」

「で、もし大公弟ヒラルス殿下がサラセニアの大公を狙ってるとゆー、一番ありそうなケースだけれども。ガリアはそれに反対、スパルタコちゃんかガリレオちゃんを新大公に推すということでいい?」

「無論だ」

「どっち推すか決まってる?」

「兄上がいいと思います」

「いや、サラセニアの嫡子はあくまでガリレオだ。オレでは正統性に疑義が生じる。ガリレオであるべきだ」


 王様も珍しく迷ってるみたいだな。

 スパルタコちゃんはいかにも王の器。

 血筋から言うと次期大公に最も近いガリレオちゃんも賢いしな。

 どっちでもいいけどきちっと決めといてね。

 くだらないところで家臣が割れると、サラセニアが治まらなくなるよ。


「タルガ~サラセニア間の貿易はどうする? 続ける? 一旦止めとく?」

「当然続行だ。ここで打ち切ると商人の信用を失う」

「わかった。でも最悪親アンヘルモーセン派を利するだけになるぞ?」


 クーデター下であってもタルガとの貿易が止まらず、かつアンヘルモーセンとの貿易が活発化したら、その状況が市民に歓迎されちゃうんじゃないかってことだ。


「構わぬ。手早く決着をつける」

「王様は果断だなあ」


 決断の早い人は違うわ。

 なら首都ウトゥリクの状況が知れたら即行動ということだな。


「サラセニア事変については、カル帝国とドーラの首脳部には話しておくよ」

「うむ、頼む。特にテテュス内海貿易をそのまま続けることを予が望んでいたと伝えてくれ」

「りょーかーい。じゃあね」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して帰宅する。

 ふむ、やはりクエスト完了のアナウンスなしか。

 まだ何かあるらしい。

 楽しみだな。

公子二人の身はまず安全。

サラセニアにアンヘルモーセンがどこまで噛んでるんだ?

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