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第1555話:王妃正式決定

 フイィィーンシュパパパッ。


「ここは皇宮と違って広々としているところが素敵です!」

「ガリアは土地がメッチャ余ってるよなー」

「素敵だぬ!」


 ルーネとうちの子達を連れてガリアの王宮にやって来た。

 帝国の皇宮は世界一レベルの大都市帝都メルエルの真ん中近いところにあるから、庭が広くても迷惑だと思う。

 帝都は人口密度高いもん。


 でもガリアの王宮は首都ヴァロマの端っこにあるっぽい。

 いやまあガリアにはいくらでも土地あるだろとゆーことはある。


「あっ、スレイプニルが来ましたよ」


 プニル君が駆けてくる。

 今日も機嫌良さそうで何より。

 あれっ?


「こんにちはー」

『うむ、よく来たな』

「プニル君、走る時は微妙に飛んでるんだ?」

『踏みつけた草は美味くないのでな。移動時はなるべく踏まないようにしているのだ』

「へー、今まで気付かなかったわ」


 納得の理由だった。

 確かに食べ物を踏もうとは思わないもんな。

 意外と細かい調整の利く飛行スキルだとわかってビックリ。


「お土産あるよ。ニンジン多めに持ってきたんだ」

『すまぬな。馳走になる』


 ハハッ、尻尾がふりふり。

 嬉しそう。


『実に美味い。汝の住む場所は、美味い植物が多いのか?』

「どーだろ? ガリアよりかなり温暖だから、農業が盛んなことは確かだよ」


 でもスレイプニルが何を好んで食べるとかわからんな?

 ドーラもあんまりウマの数は多くないから、牧草は何がいいとか聞いたことないわ。

 白の民なら知ってるかしらん?


「今度色々持ってくるよ」

『楽しみにしているぞ。汝も我の力が必要な時は言うがよい』

「うん、ありがとう」


 スレイプニルの力が必要な時って、どういう場面だろ?

 もっとも人脈(馬脈?)は大事だから、プニル君とは仲良くしておきたい。

 プニル君ももらってばっかりじゃ嫌なんだろう。

 こういうのは気持ちだから、申し出はありがたく受けておくのだ。


「じゃねー」

『さらばだ』


 さて、王宮へ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「おお、ユーラシア殿か。こちらへ」


 警備兵に挨拶したらすぐ通してくれるぞ?


「ユーラシア殿が来たらすぐ通せとの、陛下の仰せなのです」

「そーだったかー」


 どこでもVIP扱いしてくれるのは嬉しい。

 あたし待つことはあんまり好きじゃないしな。

 とゆーか王様も案外暇してるんじゃないかって気がする。

 おいおい、ルーネが尊敬の目で見てくるよ。

 応接間へ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「おう、ユーラシア、ルーネロッテ嬢。ようこそ」


 機嫌のいい王様。

 ぽにょもいるやん。


「ぽにょ痩せたね?」

「はい。食べる量が減ったら急に体重が落ちてきました」


 もう女性騎士の集まりで食べ物の残りを押しつけられてないってことか。

 レベルが上がると燃費悪くなるしな。

 王様が複雑な顔をする。


「ベアトリーチェも急激に痩せたろう? 身体が心配なのだ」

「陛下……」

「不健康な痩せ方じゃないから大丈夫だぞ?」

「わかるのか?」

「うん。あたし身体の魔力の流れが見えるの。悪いところがあると、魔力の流れが滞るものなんだ。ぽにょの魔力の流れ方は正常だよ」

「そうであったか。安心した」

「とゆーわけでお土産。ワイバーンの卵だよ。ドーラでは高級食材なんだ」


 ガリアのかガリアのでないかはどうでもいいけどな。

 おいしいか不味いかが重要なのだ。

 いや、食材も重要だけれども……。


「で? ぽにょがここにいるってことは?」

「うむ、予の妃となることが正式に決定した」

「おめでとう!」

「おめでとうぬ!」

「おめでとうございます!」

「あ、ありがとうございます」


 真っ赤になってら。

 ぽにょ可愛いよぽにょ。


「ぽにょが王妃に決まった理由は何なの? やっぱこの前の模擬試合トーナメント?」

「元々ベアトリーチェの評価は高く、有力な候補ではあったのだ。模擬戦での圧倒的な強さと、帝国の皇女たるルーネロッテ嬢と親しく話しているところが認められてな。予自身の希望もあり、決定でいいだろうということになった」

「『予自身の希望もあり』ってとこがよく聞こえなかったな。もう一度言って?」

「ユーラシアさん!」


 大笑い。

 ラブい話はじっくり聞きたいのだ。


「あれ? ってことはあのトーナメント、結構有力者も見てたんだ?」

「うむ」

「全然そんな様子なかったけどな? 貴賓席なんてなかったよね?」

「一般市民の見物人が大勢いただろう? あの中に変装して紛れておったのだぞ」

「わからなかったです」


 ぽにょも知らなかったのか。

 しかも変装してまで観客に混じってたってことは、妃候補の優劣を定めるための試験官?

 じゃああの模擬試合トーナメントは、事実上の抜き打ち王妃決定戦だったんじゃないか。


「王様あの模擬試合で王妃が決まるって、チラッとも言わなかったじゃん」

「皆が努力しておるのだ。ベアトリーチェだけを贔屓するわけにいかぬ」

「でもあたしがぽにょをレベリングしたことに対して、王様何も言わなかったよね?」

「贔屓したのはユーラシアだ。予ではない」

「ええ? すんごい強引な理屈だな」


 へ理屈は嫌いじゃない、とゆーか大好物だけど。

 もっともぽにょが最も王妃に向いてるだろうという、あたしの評価は変わらない。

 足りなかったのは剣術の技能だけだったもんな。

 ガリアのためにもいい結果になったのだ。


 ルーネが聞く。


「王妃教育が始まったから、ベアトリーチェさんが王宮にいらっしゃるのですね?」

「はい」


 この前ぽにょと会った時は騎士の制服だった。

 何かの用で王宮にいただけなんだろうが、今日は私服で王様と同席だしな。

 でも王妃になるには王妃教育なんてものが必要なのか。

 勉強するのは大変だなあ。

 あたしじゃ眠くなっちゃうわ。


「形だけのものではあるがな。ぜひとも王妃を輩出したい郷士卿の娘が、上に立つ者としての教育を受けていないはずがない。もっとも丸っきりの平民が郷士卿の推薦を受けて騎士団員となることも、かつてはあったらしいが」

「とゆーことは、平民が王妃になることも不可能じゃないわけか。夢があるなあ」

「女性騎士団はどうなるのですか?」

「数ヶ月はこのままだな。しかし有力者子弟にお披露目する機会が増えると思う」


 王妃は決まったから、他の団員もいいところにお嫁に行けるといいねってことか。

 アフターフォローも手厚いなあ。

おめでとうございまーす。

正式な結婚はいつになるんだろ?

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