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第1521話:悪魔同士の関係性と、天使との関わり

「サクラさん、おっはよーって、ガルちゃんもいるじゃん」


 依頼受付所にヴィルとレダを連れてきた。

 ポーラにぎゅーされているガルちゃんが、嫌がりもせず依頼に目を通している。

 ガルちゃんは子供と相性がいいみたいだなあ。

 掲示板を低くしてあるのは、ガルちゃんが飛ぶとポーラが危ないからかな?


「あらあら、御機嫌よう。レダもいるのね?」

「サクラさん、この子レダっていうんだ。魔王の連絡係してる悪魔だよ。時々ギルドへも来るかもしれないからよろしくね」


 あれ、レダどうした?


「す、すごいです……あ、いや、失礼しました。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

「悪魔は皆素直だなあ」


 悪魔をも魅了するおっぱいさんのおっぱい。

 無敵だな。


「ここはガルムのナワバリでしたか?」

「いや、ナワバリじゃないんだ。ヴィルもしょっちゅう来るの。ギルドは中立地帯だと思ってくれればいいよ」

「そうですわ。ギルドで高位魔族は争ってはいけないルールなのです」

「ルールだぬよ?」


 ルールらしい。

 悪魔は約束事にうるさいから、決められたことは守るのな。


「ユーラシア様がギルドに来るからヴィルがいるというのはわかります。ガルムはここで何をしているのです?」

「冒険者活動と食事に利用しているのですわ。食事って実食のことね」


 負力の摂取じゃなくて実際に食べることを実食と表現するガルちゃん。

 ちょっと面白い。

 それはともかく、ガルちゃんもレダには悪感情を向けないのな?

 他の高位魔族から一目置かれることが多いってのはこういうことか。


「冒険者活動、ですか?」

「最近アイテム採取納品の依頼所クエストを最も数多く請けてくださるのはガルムさんですよ」

「おお? ガルちゃん偉いな」

「つまりお仕事をプロとしてこなしているということですか。素晴らしいです。尊敬します」

「そ、そう?」


 満更でもなさそうなガルちゃん。

 レダはさらっと他人を褒めることができる子なんだな。

 なるほど、高位魔族に一目置かれるはずだわ。

 レダを不快にさせて悪感情を得るより、認められた方が嬉しいから。

 レダの性格や関係がわかってきたぞ?

 聞いてみるか。


「レダは他人の感情なら何でも摂取できるんじゃないかって聞いたけど、合ってる?」


 真っ赤になるレダ。

 メッチャ可愛いけれども、何で?


「そ、その通りです。お恥ずかしい……」

「え? 恥ずかしがるようなことなん?」

「意地汚いと思われるのではないかと……」

「意地汚くはないぬよ?」


 謎の羞恥心だな。

 悪感情を得ようとあれこれうざったいことしてくる方がよっぽど意地汚いわ。

 あ、ガルちゃんが満足げ。

 羞恥心はガルちゃんの好みの感情みたい。


「悪魔は大体自分のことしか考えてないじゃん。レダにどんな嗜好があろうと、誰も気にしないと思うぞ?」

「構わないぬよ?」

「でも恥ずかしがるのは大いに結構よ」

「悪魔同士の関係はつくづく面白いな」


 アハハと笑い合う。


「よう、どうした?」

「あ、ダン。おっはよー」

「ん? そっちの美少女は?」

「精霊使いユーラシアだよ」

「いや、こっちの美少女じゃなくて」


 いつもの掛け合いだ。

 ダンは面白そうなところには必ず顔を出すなあ。

 エンターテインメントセンサーはあたしより高性能かもしれない。


「レダだよ。魔王配下の悪魔で、連絡係してる。時々ギルドに来るかもしれないんだ。皆に広めといてよ」

「悪魔なのかよ。魔王配下? どうしてギルドにいるんだ?」

「魔王がソル君と連絡取りたいことがあるみたいなんだよね。とりあえずその連絡取りたい用は終わったんだけど、今後も同じことあるかもしれないじゃん? ギルドで言付けてもらうことを教えてあげようと思って」

「ははあ?」


 ダンが意味深な目で見てくる。

 帝国の第二皇子関係じゃねえんだな? そっちを疑ってたのか。レダは無関係だよ。関係あるのはバアルとガルちゃんだけ。連れてきたのは単なるあんたのお節介なんだな? 大正解、というやり取りを視線で交わす。


「レダは天使に絡まれて魔王に助けてもらったって言ってたよね?」

「はい。アンヘルモーセンをウロウロしていた時、天使に捕まってしまい。たまたま通りがかった魔王様に救っていただいたのです」

「アンヘルモーセンだったのか」


 魔王がアンヘルモーセンの様子を探ってたのは、何となくわかる気がする。

 配下を増やしたい魔王が、天使に難癖つけられる悪魔を救うっていう役をやりたかったんじゃないかな。

 魔王はかっちょいいの好きそう。


「そもそも何でレダは天使国アンヘルモーセンなんかウロウロしてたん? 天使いることわかってるんだから危ないじゃん」

「私は天使に出会ったことがなかったのです。自分が天使に似ていると言われることから、話し合いができるものかと……ムダでしたが」

「意識高いなあ」


 天使はレダみたいな超まともな子ですら話が通じないらしい。

 悪魔が相手だからなのか?

 いや、ピンクマンも傲慢だって言ってたな。

 今後会うかもしれない天使との付き合いで、参考になる話だ。

 言うことを聞かせるためには一工夫必要なのかもしれない。


「あんたかなりのレベルじゃねえか。でも天使からは逃れられねえのか?」

「天使は集団行動が常なのです。加えて高位魔族の得意とする闇魔法に強度の耐性を持ちますので」

「じゃあどうして魔王は天使に勝てたんだ?」

「あれ? そーいやそうだな?」


 闇魔法が効かないんじゃ、魔王だって複数の天使を相手にできない気がする。

 特別な攻撃法でも持ってるのかな?

 魔王は『マナの帳』を使えるから、聖属性攻撃の威力を落とせることは知ってるけど。


「いえ、通常攻撃で」

「レベルの暴力かよ」

「あたしの得意なやつだった。ヴィルももし天使に因縁つけられたら、どーんとぶちかましちゃいなさい」

「わかったぬ!」


 魔王のレベル八〇くらいあったもんな。

 やっぱりレベルは偉大だ。

 おっぱいさんが聞いてくる。


「天使の話題は急でしたが、クエストに関係してきていますか?」

「ガリアのクエストもらったじゃん? アンヘルモーセンか天使が関わってきそうな気配なんだ」


 まだわかんないけどね。


「さて、帰ろうかな。レダ、もうギルドは大丈夫かな?」

「はい、ありがとうございました」

「皆、じゃーねー」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

ガルちゃんは割と律儀で偉い。

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