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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1225話:ゼムリヤのお土産

「ソバおいしかったなあ」

「フィッシュよりインプレッシブだったね」

「確かに」


 ゼムリヤで昼食を食べたあと、帰宅してからうちの子達と話し合いだ。

 外はまだ結構な雨が降っている。


「小麦粉以外の麺があるんでやすね」

「食感が全然違うわ。夏食欲のない時に絶好だね」


 クララが首をかしげる。


「ユー様って、夏に食欲がなくなるんでしたっけ? お腹一杯食べたあと以外は食欲旺盛な気がしますけれども」

「あたしのお腹の消化力は優秀だったね。クララはよく覚えてて偉い!」

「えへへー」


 また始まったぞーって顔をするアトムとダンテ。

 ちょっと格好つけて、食欲がなくなるフリをしただけじゃないか。


「魚の練り物加工食品は応用範囲が広いかもしれないな」

「鍋でもそのまま醤油でもイケやすぜ」

「うん。あれ知らない人は魚なんてわからないじゃん? 魚食に抵抗ある人でも全然平気だわ」


 頷くうちの子達。

 フライに続く魚食普及の第二の手段になり得るかも。

 いずれ海の王国に紹介するか。

 ただ……。

 

「醤油が先だなー。魚にしてもソバにしても、醤油が重要なのはわかった」

「ワサビもね。スパイシーね」

「ボチボチでいいから広めたいね。ソバってドーラでも育つ?」


 クララが難しそうな顔をする。

 ダメなの?


「いえ、作るのは簡単ですよ。どちらかというと乾燥しがちなドーラは、ソバの栽培に向いている方だと思います。でも……」

「収量が多くないんだ?」


 頷くクララ。


「米・小麦・トウモロコシに比べますと、差は歴然です」

「むーん?」


 今は移民に食わせるためにとにかく量が欲しいのだ。

 早々に手を出す作物ではないか。

 高級食材として売り出す手もある?


「……試験栽培に留めておくのが無難だな」

「ただし比較的寒い地方でも栽培できます。今日いただいた作物は皆そうした傾向にありますね」

「ふむふむ」


 ゼムリヤの作物だもんな。

 ドーラだって寒い地方はある。

 将来開拓することもあるだろう。

 あるいは寒い地方に住んでる亜人と付き合いができるかもしれないし。


「木から甘味が取れるってのも衝撃でやすぜ」

「うん、驚いた」


 サトウカエデのことだ。

 そんな木があるとはビックリ。


「砂糖より高級な甘味料扱いって言ってたな。いよいよスイーツブームのフラグかもしれない」

「木材としても有用と聞きますね」

「ふーん、かなり使える木だね」

「プランティングすべきね!」

「そーだな。たくさん植えないと甘味なんか収穫できないわ」


 黄の民は植樹に熱心だ。

 まずフェイさんに勧めてみよ。


「で、問題のヒョウタンでーす」


 一斉に神妙な顔になるうちの子達。


「食べられないのでしょう?」

「形は変わってやすが」

「ユースフルね?」

「どーだろ?」


 目が離せなくなるくらいの素敵形態なのは確かだ。

 しかし水筒にしかならないなら、水魔法や無限ナップザックのあるあたし達には用がない。


「私達は使わなくても、一般的に受け入れられる余地があるのでしょうか?」

「ゼムリヤの特産みたいなものなんでやしょう?」

「あのラインナップからするとそうね。エンパイヤ全体で作られているものではなさそうね」


 メルヒオールさんに紹介されたのは、ヒョウタン以外は食べられるものだ。

 ヒョウタンを教えてくれたのはどういう意味があったんだろうな?

 あたしなら何か思いつくかと、渡されただけのような気もする。


「栽培は簡単なの?」

「比較的容易です。実を傷つけないために、棚のようなものを作って登らせなくてはならないでしょうが」

「よし、保留。ヒョウタンもは試験的に育てるだけに留めよう」

「「「了解」」」


 いくら面白そうでも優先順位というものがある。

 食べられない役に立つか不明では、ちょっと広められないのだ。


「さて、あたしはアルアさんとこ行ってくるね。あんた達はどうする?」


 三人ともついて来るのか。

 雨降ってるからやることないんだろう。


「じゃ、行こうか」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさん、こんにちはー」

「はいよ、アンタはいつも元気だね」


 パワーカード工房にやって来た。

 あ、ゼンさんとエルマもニコニコ顔だぞ?

 いいことがあったかな?


「ユーさん、ついにオリジナルのカードが完成したぜ!」

「お姉さま、ゼンさんのカードはすごいんですよ!」

「お楽しみは取っておこう。素材の換金お願いしまーす」


 交換ポイントは二二二一か。

 結構溜まったな。

 今後交換ポイントを有効に使う機会はないかもしれないが、べつに構わないのだ。

 駆け出しの時(半年前)から大変お世話になりました。


 アルアさんが言う。


「『フレイムタン』『寒桜』『雷切』『カマイタチ』『石舞台』の五枚は、レギュラーのラインナップから外したよ。代わりに一〇枚のカードがレギュラー入りだ」


 新しいパワーカードは以下の通り。

 全て交換ポイントは一〇〇だ。


 『ファイアーフォース』【火】、攻撃力+二〇%

 『アイスフォース』【氷】、攻撃力+二〇%

 『サンダーフォース』【雷】、攻撃力+二〇%

 『ウインドフォース』【風】、攻撃力+二〇%

 『アースフォース』【土】、攻撃力+二〇%

 『火の護り』魔法防御+一五%、火耐性四〇%、暗闇無効

 『氷の護り』魔法防御+一五%、氷耐性四〇%、麻痺無効

 『雷の護り』魔法防御+一五%、雷耐性四〇%、即死無効

 『風の護り』魔法防御+一五%、風耐性四〇%、スタン無効

 『土の護り』魔法防御+一五%、土耐性四〇%、混乱無効


「どうだい? 感想はあるかい?」

「名前がわかりやすくなったねえ」


 アハハと笑い合う。

 冗談はともかく、焦点が絞れてかなり使いやすくなったと思う。

 ピンポイントに弱点を突く、あるいは相手の得意攻撃を封じることは重要で、そーゆー使い方ができるのはパワーカードの強みだからだ。


 レギュラーから外れて惜しいなと思うのは『石舞台』くらいだな。

 付属していたスキル『地叫撃』がかなり強力だったから。

 うちのパーティーではアトムが使える、初めてドラゴンを倒した時にも使用したスキルだ。

 何だか懐かしい。


「レギュラーから外れた五種のカードも、作れないわけじゃねえぜ」

「『地叫撃』付属のカードを、新たに注文してくれてもいい」


 もっともなことだった。

 じゃ、新たなパワーカードが増えたのはいいことばっかりだな。

 以前から思ってた疑問を口にしてみる。

ソバもそうですが、ライ麦・ジャガイモ・ビートあたりが北国の主要作物という設定です。

ゼムリヤですと商品価値の高い小麦を作れます。

それより北の国では難しいのですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 瓢箪は毒性があるけど毒のない個体を見つければ まあ加工して干瓢だけれども 容器に加工して酒入れて酔拳やるしか無いな 刺激物入れて口に含んで吹きかける毒霧攻撃でも良いけど
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