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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1217話:悪魔ちょろい説

「我が青春のアルカディア!」

「えっ? エルドラドではなかったのん?」


 ウシ子よく覚えてたな。

 いや、エルドラドって言葉が好きなのかも知れない。

 ウシ子は強欲だって話だから。


「見える? あれはブロークンドール。人形系レアの一種だよ」

「強いのん?」

「いや、先制で魔法撃ってくるけど、大したことない」


 あの手の魔物を倒していくよっていうサンプルではある。

 アトムが疑問に思ったようだ。


「悪魔は魔物に詳しくないんでやすかい?」

「詳しくないのん。『ザガムムのお守り』で塔の冒険者に呼ばれた時、初めて魔物を倒したのん」

「あっ、そーだったの?」

「当たり前なのん。魔物からはほとんど負力を得られないのん」


 言われてみればごもっとも。

 悪魔は得にならないよーなことはやらないよな。

 道理で今まで会った高位魔族から、魔物についての詳しい話は聞いたことないなと思ってたわ。

 魔王も魔物とほとんど関わりがないから、退治の勝手がわからないのかもしれない。


「でも三体いるからそれなりに魔法攻撃はきついな。やつは全体魔法使ってくるから、ウシ子にもダメージ行くぞ。しっかりガードしててね」

「わかったのん」


 小手調べにはちょうどいい相手だ。

 レッツファイッ!

 ブロークンドールのトルネード三体分! ダンテの実りある経験! あたしの薙ぎ払い!


「よーし、勝った! リフレッシュ! ウシ子、どうだった?」

「け、結構攻撃が激しかったのん」

「さっき死ぬ死ぬ言ってたウィッカーマンの魔法やシルバークラウンの自爆は、ブロークンドールの比じゃないぞ?」

「き、気をつけるのん」


 十分過ぎるほど気をつけてください。


「次に行くぞー」


          ◇


「薙ぎ払い!」


 よしよし、クレイジーパペット二体を倒して透輝珠と藍珠を二個ずつゲット。

 ウシ子が羨ましそうに言う。


「さっきから魔物を倒したあと、いつも魔宝玉を拾っている気がするのん」

「ドロップ品が気になるとはさすがウシ子だね。人形系レアは倒せば必ず魔宝玉を落とすんだよ」

「そうなのん? ワタシも倒したいのん」

「ウシ子の攻撃って人形系レアに通用するのかな?」


 あんまり戦いに縁がない子が人形系を倒せるとは思えんけど、『狂戦士』みたいな固有能力持ってるとダメージ与えられることもあるからな。

 さほど危なくないデカダンス辺りが出た時に検証してみよう。


「あれだよあれ。要注意のやつがおいでなすったよ。しっかりガードね」

「わかったのん」


 謎経験値君ことシルバークラウン(仮称)一体だ。


「ヴィル、わかってるね?」

「はいだぬ。『デスマッチ』を装備したぬ。……ザガムム、地面に降りてた方がいいだぬよ?」

「ふん、あなたの言うことを聞くという契約ではなかったのん!」


 ふよふよ浮いてるウシ子を心配そうに見るヴィル。

 よしよし、ヴィルはいい子だね。

 まー防御してりゃ死ぬことはないから、放っときなよ。

 ちょっとは痛い目に遭うといいわ。


 レッツファイッ! 来る!


「全員防御!」


 謎経験値君が怪しい目の輝きとともに自爆する!


「ドオオオオオオーーーーーーーン!」


 全員が吹き飛ばされた上、かなりのダメージ!

 でもちょっと慣れてきたな、これ。


「久しぶりに自爆食らったなー。全員集合! あれ? ウシ子どこ行った?」

「アソコにいるね」


 岩に叩きつけられてのびてる。

 まあ無事でよかったね。


「リフレッシュ! おーいウシ子、生きてるか?」

「はっ、大丈夫なのん!」


 飛び起きるウシ子。

 うん、意識はしゃっきりしてるな。


「謎経験値君の爆発のすごさはわかったかな?」

「それはもう、身に染みて……」


 しどろもどろになるウシ子。

 薬が効き過ぎたか?


「ヴィルが戦闘前に下に降りるよう注意してくれたでしょ?」

「う、うん……」

「足を地面につけてないと踏ん張れない分、危ないんだ」

「……」

「ヴィルの言うことを聞こうが聞かなかろうが、それはウシ子の勝手だ。けどどういう意図で言ってくれたか理解してないと死ぬぞ? ただ考えもなく反発するのはやめようね」

「……わかったのん」


 わかってくれればいいのだ。

 死にゃしないからあたしも放っといたんだし。


「よーし、次行こうか」


          ◇


 大分エルドラドの奥まで来た。

 デカダンスやウィッカーマンがいる。


「大きいのん!」

「デカダンスだよ。あいつは人形系レアの中では一番敏捷性がない。二回攻撃してくるから厳しいっちゃ厳しいけど、まああたし達のレベルなら何てことない」

「一体ですね。ユー様、どうします?」

「ウシ子、攻撃してみてくれる? ヒットポイントは三〇ちょっとくらいだよ」

「少ないのねん?」

「ウィッカーマンより弱い人形系はヒットポイント自体は小さいんだ。闇魔法以外のスキル持ってる?」

「持ってないのん」

「じゃあ通常攻撃してみてね」


 レッツファイッ!

 ダンテの実りある経験! ウシ子の通常攻撃! おお、ウシ子の通常攻撃は頭突きなのか、しかしダメージ取れず。デカダンスのブリザド×二! ダメージを受ける。あたしの雑魚は往ね! ウィーウィン!


「透輝珠ゲット、と」

「全然攻撃が効かないのん」

「人形系の魔物は、衝波っていう特殊な属性以外の攻撃以外じゃヒットポイントを削れないんだ。攻撃魔法も効かない。特殊な固有能力持ちだったりするとダメージ奪えることあるんだけど、ウシ子じゃダメみたいだな」

「……ワタシじゃ魔宝玉ハントはできないのん?」

「そんなことはないよ。例えば塔の村の村長が売ってる『経穴砕き』っていうバトルスキルは必ず一ダメージを与えるっていう特性があるから、踊る人形みたいな弱い人形系ならそれ覚えときゃ勝てる。もっと強い人形系に勝ちたいなら、パワーカード屋に相談しなさい。提供するレア素材次第で、あたしも使ってる衝波属性付きの武器を作ってくれるからね」

「で、でもワタシは高位魔族だから……」

「悪魔だって関係ないぞ? ウシ子は塔の村のために働いてくれてるじゃないか。あたしが頼んであげるよ。でも贔屓はしないから、素材はちゃんと自分で集めてくるんだよ?」

「うん、うん」


 泣いてるのか喜んでるのかハッキリしなよ。

 悪魔ちょろい説。

 ウシ子も自分で積極的に冒険者活動、というか魔宝玉狩りをしてみる気になったみたいだな。

 塔の村の経済活動を考えるといいことだ。


「さて、もう一頑張りしようか」

警戒したり毛嫌いしたりするから、悪感情を得られる悪魔は調子に乗るんじゃないの?

しっかりコミュニケーション取ってやれば、悪魔は扱いやすい気がする。

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