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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1209話:ピット君、パワーカードに夢中

 フイィィーンシュパパパッ。

 ピット君とヴィルを連れて塔の村にやって来た。


「ここはドーラのノーマル人居住域では最も西になるの」

「小さい村ですけど、賑わってますね?」

「冒険者が多いからね。リリーとフィフィもここにいるんだよ」

「リリー様がここに……。フィフィとは誰です?」

「ババドーンやらかし元男爵の娘だよ」

「えっ? フィフィリア様がドーラに? 何故?」


 知らなきゃ驚くわなあ。

 ピット君結構情報持ちだと思うんだけど、フィフィについてはノーマークのようだ。

 フィフィの帝国での扱いが知れるわ。


「エーレンベルク伯爵家も母方の商家も頼れず、帝国本土には身の置き所がなかったらしいぞ? 今ここで冒険者やってるの」

「フィフィリア様が冒険者? とても考えられない」

「まーね。でも結構様になってるの。会うとビックリするよ」


 ピット君今レベル二五だから、冒険者経験はなくとも他人のおおよその強さは把握できるだろ。

 フィフィを見たら実力はわかるはず。

 しかし時間が中途半端だったか?

 リリーは寝てるし、フィフィはダンジョン入ってそう。


「大きい塔ですね。冒険者の仕事場ですか?」

「うん。あの塔は魔力条件が特殊なダンジョンなんだ。『永久鉱山』って言って、取っても狩っても内部のリソースが減らない。具体的にはいっくら素材を採取しても復活する」

「取り放題じゃないですか」

「取り放題だね。でも魔物を倒したってまた出ちゃうから、言うほどうまいこといかないの」

「危険は去らない、ですか」


 魔物の復活もいいことだと思うけどね?

 ドロップあるしお肉も取れるし、経験値も稼げる。


「あのハゲ頭はこの村の村長だよ。おーい、じっちゃーん!」


 目立つ頭部を発見。


「お主はいつもいつも……そちらは?」

「いつもいつも可愛いって? 照れるなあ」

「そうではないじゃろ」

「厳然たる事実だった。照れることなかった」


 デス爺がちょっとイラっとしてる。

 ここまでにしとこ。


「ピット君。帝都の大店の店主のお孫さん」

「そうじゃったか。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

「ドーラを見聞させてくれって言われてるの」

「早速魔境レベリングか」

「わかっちゃった?」


 レベルであたしの善行がバレちゃう。

 ピット君はいきなり魔境に連れてったことに関して文句あるみたいだけど、レベルは一生ものの財産だからね?


「じっちゃん、ピット君にスキルスクロールを見せてやってよ」

「うむ」


 ずらずら。

 驚くピット君。


「これは……『ヒール』『サンダーボルト』。ドーラではスキルを販売しているということですか?」

「そゆこと。スキルスクロールを作ること自体が誰にでもできることじゃないんで、あちこちで売ってるわけじゃないけどね。じっちゃんは魔法に詳しいから」


 真剣にスキルスクロールを見つめるピット君。


「どれか買ってく? とゆーか、帝国では魔法の扱いどうなってんの?」


 武器も所持禁止なのだ。

 魔法習得者にもルールありそう。

 

「全ての魔法、バトルスキルの習得者に対して、登録が義務付けられています」

「マジか」

「未登録者に対する罰則はかなり厳しいですよ」


 魔法覚えただけで国にマークされちゃうってことか。

 気味悪いな。

 『アクアクリエイト』の扱いも一緒なんだろうなあ。

 となるとお手軽な水魔法杖の需要は、スクロールより高価でも大きくなるのかな?

 いや、却って魔法習得者の価値が上がるのか?


「下手に魔法覚えると面倒なんだ?」

「どういう成り行きで習得したかは、必ずチェックされると聞きますね」

「攻撃魔法のスキルスクロールなんかは?」

「御禁制の品です。回復魔法はさほどではないですけど」

「うあー、じっちゃん御禁制の品の売人だよ」

「怪しい売人だぬ!」


 アハハ、デス爺と顔を見合わせる。

 『ヒール』とかなら法律上問題はなさそうだけど、出所がドーラだと知られるとまずそうだな。

 パワーカードの方を紹介しろって?

 了解。


「ピット君を闇商人に落としたらどんな文句言われるかわからん。スキルスクロールは帝国でグレーな商品みたいだから、別のもっとお手軽なやつ紹介するよ。回復魔法や治癒魔法は、ドーラでは買おうと思えば買えるとだけ覚えておいて」

「はい」

「じっちゃん、バーイ」

「バイバイぬ!」


 路地を抜けてパワーカード屋へ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、ユーラシア。いらっしゃい。そちらは?」

「帝都一の大店の子ピット君。接待を仰せつかってるんだ」

「接待にしてはスリリングなんです」

「ドーラ式の接待を仰せつかってるんだ」

「ユーラシア式の間違いだろう?」


 アハハと笑い合う。

 コルム兄はあたしの従兄で、数少ないパワーカードの職人だと説明する。


「今のピット君のレベルなら、さっきの飛ぶパワーカード使えるはずなんだ。カードに集中する感じで自動起動するから、やってみそ?」


 『遊歩』のカードを貸してみた。

 うん、レベル二五だと全然問題ないな。

 普通にヒラヒラ飛んでる。

 おっと、ピット君興奮気味ですね?


「二〇〇〇ゴールドでしたっけ? 買います!」

「毎度あり。他のパワーカード以外のマジックアイテムと併用すると、効果干渉するかもしれないから注意ね。で、他にもピット君がお買い上げになりそうなカードがあるんだけど、話聞く?」

「もちろんです」


 しめしめ。

 コルム兄と視線を合わせてニヤニヤ。

 まあ『ケーニッヒバウム』とは長い付き合いになるだろうから、ぼったくったりはしないよ。


「武器と判断されるよーなのは御法度なんだろうけど、この『ホワイトベーシック』どう思う?」

「装備時に使える回復魔法と状態異常治癒魔法がセットになっていて一五〇〇ゴールド? 異常にコストパフォーマンスがいいじゃないですか」

「これだったらピット君自身が魔法習得するわけじゃないから、届けいらないでしょ?」

「ええ、必要ないですね。買います。他にもいくつか気になるものがあるので、リストもらってもいいですか?」


 ハハッ、いくつかお買い上げになるかも。

 男の子はパワーカード好きだなあ。

 もっともピット君は商売人目線でパワーカードを見てるんだろうけどな。

 『ホワイトベーシック』は割とおかしいパフォーマンスなので、帝国でもよく売れそう。


「コルム兄、じゃーねー」

「バイバイぬ!」

パワーカードは帝国でも需要がありそう。

でもなー、『ウォームプレート』の生産で職人の手が一杯だわ。

できれば消耗品を輸出したいしなー。

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