第4話 再び女騎士
俺は女騎士の存在に気付くと、すぐにやることがあった。当然ながら目の前にいるお忍びのお姫様を隠すことだ。だからなのか、さっきまであんなに緊張していたのに、今度は軽々とスワームに声をかけることが出来た。
「スワーム様。」
俺の小さめに言った声にスワームは首を傾げて反応する。
「様付けしないで!」
「シッ!!・・・」
俺の突然変わった態度に、スワームの方も何かを察したようだ。俺がすぐにフードをより深く被るように言い、彼女もそれを聞き入れた。
あの女騎士に今の俺達のことがバレれば、それこそ俺は『星の勇者と光姫』の主人公としての存在から投げ出され、下手をすれば一国の姫を連れ出したとして、首をはねられてしまう。
「どうして彼女が?」
「知りませんよ。たまたま飲みに来たんじゃ・・・」
俺自身も顔を伏せて彼女に見つからないようにする。しかし運命はどうにも俺のことを嫌っているのか、女騎士はすぐに俺の顔を見つけてしまったようだ。
すぐに彼女は近付いて、俺に向かって話しかけてきた。
「あれ? アンタもここに来てたの?」
「お、オウ・・・ さっきはどうも・・・」
彼女はどうにも気軽だったが、俺はさっきの手柄の横取りの件で気まずくなった。その上気付いてはいないようだが、彼女のすぐ横にはこの国の王女がいる。
「何よ! 素っ気ない態度ね。 さっきのこと、まだ根に持ってんの? 文句ないように褒美も分配してあげたじゃない。」
「いや・・・ そう言うんじゃねえよ・・・ てか、なんでお前はそんなことをしたんだ?」
「そんなことって?」
そう返されたので、俺は自分からこのことを言うのは少し気が引いたため、首を彼女の反対に向けてから小さい声で素直に言った。
「その・・・ 王女を助けた報償を、全くの初対面の俺に分けてくれるなんてよ。」
「・・・ 単なる気まぐれよ。アタシはそのときのノリで動くの。」
そう言って済ませた。どこか煙に巻いていそうだが、今は状況が状況なので、俺はすぐに会話を切り上げようとそれに乗った。
「そうか・・・」
「じゃ、そういうことで。デートの邪魔して悪かったわね。」
「デ!! デデデ・・・ デート!!!?」
「どうしたのよそんな陰キャみたいな言い方して? まぁいいわ。」
そう言って彼女は去って行こうとした。しかし俺は最後にアイツに聞きたいことがあった。
「そういや、お前、名前は何だ?」
すると彼女は自分も言っていないことに気が付いてハッとなり、一度振り返って答えてきた。
「『ハプル・ベーガ』よ。アンタは?」
「『イグル・アルタイル』だ。ま、報酬の件はありがとうな。」
そのとき、一瞬彼女の顔が険しくなったような気がしたが、気のせいだったのか次見た時には元に戻り、軽く礼をして戻って行った。
平次「これを読んだんなら、『ブックマーク』と『評価』をして、町田さんの活躍も読むんだぞ!! 絶対だ!!!」
イグル「命令するな!」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!