第38話 ハプルの危機
そこからハプルがアルフから聞いたのは、ここに隠れるまでの経過だった。
彼女の話によると、自身はこの王都からかなり離れた貧民街で生まれ、姉弟と共に幼くして両親によって売り飛ばされてしまったらしい。
そこから何故か彼らは王都に連れられ、そこの金持ちのボンボン・・・ とういか、要するにロリコンのおっさんに売られかけたときに、隙を見つけて逃げ出したのだ。
「そうだったの・・・」
「ウン、私、姉弟がどこにいるのかも、自分が明確にどこにいるのかも知らなくて・・・」
「・・・」
ハプルは彼女に同情した顔を向ける。そして何か彼女に向けて勇気づけられる言葉を頭を回して探し出しますが、その途中で出しかけた言葉を引っ込める自体になりました。
「ッン!!・・・」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
ハプルはそこで自分達が廃屋の外から誰かに見られていることに勘付いたのです。そこで小さな声でアルフに伝えた。
「動ける?」
「エ?」
「はやく物陰に隠れて。周辺から見られているわ。」
「!!?」
アルフはハプルの指示に従って物陰に隠れると、彼女は目を鋭くさせて廃屋から出て、大声を張り上げた。
「気持ちの悪い視線をジロジロと向けないでもらえる!! 素直に出て来なさい!!!」
ハプルが察知した視線。実のところ、それは複数人確認できたのだ。そして姿を現したのは・・・
ザザッ!・・・ ザザッ!! ザザッ!!!・・・
さっきの人とは明らかに面構えが違う男達が、ズラリと姿を現してきた。
『全部で十・・・ いや、十一人ってところかしら・・・ 思っていたより多いわね。』
ハプルは一度目線を後ろの廃屋に向けてアルフの位置とその回りを再度確認すると、すぐに目線を前に戻して策を練った。
『幸い、この廃屋は左右に窓がない。出入り口も後ろの一つだけ。一応、想定外のケースを織り込んだとすると・・・ チッ! 一人一分もかけてられないわね。』
ハプルはそれならいっそと男達に向けて挑発の言葉をかけてみることにした。
「来なさい! アンタラみたいな雑魚なんて、私一人でまとめて返り討ちにしてやるわ!!」
ブツッ!!・・・
男達の形相が変わる。雑魚と言われた事でカチンときたのか、現れた男達は全員揃ってハプル一人に真正面に向かっていった。
「男ってどうしてこう大人げないのかな・・・ ま、まとめて片付けれるからいいけど。」
若干刺客達の単純すぎる行動パターンに呆れながらも、鞘にしまってある剣の持ち手を掴んで膝を曲げ、返り討ちをしにかかった。
和亀「『ブックマーク』、『評価』をしてくれたら嬉しいな。女性なら、この後お食事でも一緒出来るならなお・・・」
イグル「下心が丸出しだぞ・・・」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!




