第2話 王様も俺を褒めない・・・
俺は今、チンピラに襲われていた女の子を助け出して褒美を貰う・・・
・・・はずだった。
今そのお褒めの言葉を預かっているのは、俺が知らない女騎士だ。
「良くやってくれたぞ、女騎士殿。」
「お褒めにあずかって光栄です、国王陛下。」
何故こんなことになっているのか。それは、この時に助けた女がお忍びで町中に出ていたお姫様だったからだ。今俺はこの目の前にいる女騎士の仲間と思われ、国王陛下の前に彼女の斜め後ろで立て膝をついている。
『大体俺、コイツの名前も知らないってのに・・・』
その後、次々と彼女に向かって出されていくお礼の品々を見て羨ましく、そしてどこか疎ましく感じた。今までこの俺の二度目の人生は、書いていたライトノベルのストーリーのままに進んでいた。
なのに、第一話で書いていたこの重要場面で、突然現れた知らないキャラに手柄を横取りされたのだ。彼女は知ったことではないだろうが、こっちにとっては詐欺に遭った感覚である。
その後、ゴタゴタが続いて解放されるまでにかなりの時間がかかった。何故か女騎士は部外者であるはずの俺を仲間と言い、その場に引き留めたのだ。もしかしたら大手殻をみすみす逃した俺に対しての嫌がらせなのかもしれない・・・
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「ハァ・・・ なんでこんなことに・・・」
そう無意識に文句を呟きながら城の廊下を歩いていると、後ろから走ってくる足音が聞こえて来た。いつもなら怪しんだだろうが、今の俺はこれまでの人生で確信していた考えがあっけなく崩れた事実を前に一切のやる気をなくしていたのだ。
そして・・・
「あの!!!」
「!!?」
俺は後ろから聞こえた大きな声に衝撃を受けて目を見開いて驚くと、そうして再び俺に声が聞こえてきます。
「イグル君・・・ だよね?」
この流れには憶えがある。ここでの事は物語に書いていた。どうやらストーリーの流れは修正されたようだ。後ろにいる彼女は、小さい頃にあったことがあるのだ。
俺はこの後のストーリーの流れを思い浮かべながら後ろを振り返る。そこには予想通りの答えが待っていた。
「・・・ 久しぶり。私のこと・・・ 覚えているかな?」
今俺の目の前にいるのは『スワーム・キグナス』、そう、俺が幼い頃に助け、友達になった女性だ。あの時はすぐに彼女の家の人が迎えに来て、彼女の正体が分からないままに別れていた。それがここで久しぶりの再会をする
・・・ というストーリーだ。物語ではこの後彼女久しぶりの再会にお茶をしに行くことになる。ここでの流れはさっきのことが嘘だと思うほどに元通りに進んでいき、俺は彼女とお忍びで喫茶店に行くことになった。
それを後ろから尾行されていると気付かずに・・・
瓜「よ・・・ よろしければ・・・ 『ブックマーク』、『評価』を・・・
・・・ お願いします。」
イグル「せめてハッキリ言えよ・・・」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!