第23話 だったら・・・
その日の放課後、俺は織姫のいる病院に足を向かわせていたが、その足取りはかなりゆっくりとしていた。
「・・・」
白状すると、今日は行きたくなかった。せっかく書いていた彼女も面白がっていた物語を、易々と破り捨てられ、俺はそれを守れなかったのだ。顔だって腫れ、制服も汚れてしまっている。
一度家に帰って着替えてから出直そうか? いや、いつも行くのは制服でだった。平日の今日それをしなければ彼女に怪しまれる。
「・・・」
結局何の対策も出来ないまま、俺は彼女のいる病室にまでたどり着いてしまった。俺はとりあえずの作り笑顔を作り、せめて彼女の心配を煽らないようにしてから入った。
病室には行ってすぐに俺が見たのは、息を荒くして苦しんでいる織姫の姿だった。顔も赤くし、寝込んでいる。俺は焦ってすぐに彼女の元に行き、声をかけた。
「織姫! 大丈夫か?」
「牛・・・ 尾?」
織姫はか細い声で反応し、掛け布団から手を出して来た。俺はそれを握り、熱が収まるまで見守り続けた。
しばらくして熱が落ち着くと、織姫はゆっくりと目を開けた。そして俺の顔を見る。
「ずっと・・・ そこにいたの?」
「おう、あんま心配させんなよ。」
「・・・ッン! その怪我!!」
このとき、織姫は初めて俺の違和感に気付いたようだ。俺は彼女のことを心配して自分のことが頭から抜けていたため、ハッとなる。
「それ! どうしたの!?」
織姫は無理に起き上がろうとし、そして俺は止めた。
「何でもない。道中転んだだけだ。」
俺は作り笑いをして誤魔化そうとした。しかし彼女はそんな俺を見て表情を険しくした。
「嘘。何かあったでしょ。」
「何もないって・・・」
「またいじめられたんでしょ。」
「だから何もないって!!・・・ って、え?」
俺は織姫が言ったことに耳を疑った。すると彼女はこう言い出す。
「気付いてないと思った? 女は勘がいいのよ。親しい仲ならなおさらね。」
彼女は勝ち誇ったように笑って見せ、俺は彼女の器の大きさに恐れ入って全て白状した。
______________________
「そう・・・ ノート、破られちゃったんだ・・・」
織姫は優しい声をかけてきたが、その中に落胆したのが目に見えて分かった。俺はそれを見て胸が痛くなる。
「・・・ごめん。」
俺は気まずくなって病室から出て行こうとすると、彼女が声をかけて止めてきた。
「待って!!・・・」
俺は足を止めるが、彼女の顔を見ることが出来なかった。だが織姫はこう言ってきた。
「牛尾は悪くないよ! 物語なら、また書けばいいし・・・」
「でも、お前が楽しんでたものを俺は・・・ 守ることも、文句を言うことも出来なかった。所詮俺はアイツらのおもちゃ。使い捨てられるまで楽しまれるんだ。」
俺が落胆的な気持ちを丸裸にして言うと、織姫は間を置いてこんなことを言ってきた。
「なら、見返さない?」
「え?」
「そいつら、全員見返してやろうよ!!」
「は?」
俺は織姫の言っていることの意味が分からなかった。
魔革隊リーダー「・ ・ ・」
イグル「『ブックマーク』と『評価』をしろって圧をかけてるんだと思う・・・ 詳細不明すぎて台詞すらねえじゃねえか!!
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!