第1話 俺が生み出したこの世界
唐突ながら、この俺、『イグル・アルタイル』には前世の記憶がある。それも、この世界に於いて恐ろしい記憶が・・・
前世の俺はとある事情があって若くして死んでしまい、その次に目を覚ますと、赤ん坊の姿になってこの世界に来ていた。流石に最初はその事態に動揺したものだが、もう十六年も経てば慣れるものである。
この世界には魔物がいる。魔法がある。中世ヨーロッパのような町並みが広がっている。見る人が見れば完全にテンプレで綴られたような生い立ちだが、ここから先は少し違う。
そこそこでかくなって調べてみると、この世界はゲームの世界ではない。だから『アイテムボックス』もなければ、『ステータス』なんて概念もない。結局、若者の夢の『異世界転生』であってもチートにはなれず、強くなりたければ鍛えて強くなるしかなかったのだ。
しかし俺は強くなる、その事は生まれたときには既に知っていたのだ。
立った今目の前にいる魔物も、次の瞬間には俺の手によって倒される。それも決まっていることだ。当然その後、魔物は切られて倒された。
村にその遺体を担いで帰り、ギルドに渡すと高値で売れた。これも日常茶飯事だ。
その上俺は、これから先にの時代、後にこの世界の中で最強になること、それどころか、数年後には周りの民衆から英雄扱いされているという結末さえも、俺にはわかりきっている。
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俺、イグル・アルタイルは元々、『星野 牛尾』という日本人だった。だがこのような話にはあまり聞かないが、俺はヒモというわけではない。そのときはプロのライトノベル作家だった。
俺はなかなか芽が伸びずにいたが、25歳になって初めてのヒット作を出すことが出来た。そのタイトルは『星の勇者と光姫』。そこに書かれていた世界観こそ、今俺がいるこの世界のこと、そして、その主人公こそが『イグル・アルタイル』だったのだ。
始めは単なる偶然だと思った。そもそも赤ん坊の頃のストーリーなど書いてはいなかったので、そんなはずがあるわけないと高をくくっていたのだ。しかし、周りの会話を聞けば聞くほど、俺自身が構想していた小説の物語とリンクしていた。
そしてそれが確信に変わったのは、少年時代入ったとき入ったときのことだった。それは、森の中で道に迷っていた所を助け、友達としての仲になった女の子、『スワーム・キグナス』の存在だ。
この子は、俺が構想したその『星の勇者と光姫』においてのメインヒロインだったのだ。後に主人公の伴侶となる彼女との出会いは、幼少の時の森の中、迷子になっていた彼女をたまたま俺が見つけ出した事から始まると、過去編のストーリーの中に書いていた。
するとこのイベントがこの世界に置いて、100パーセント完璧に一致して起こっていたのだ!!
流石にここまでになってしまうと信じざる終えない。この世界は、俺が想像したライトノベルの世界なのだという事実を・・・
だからこそ、今起こっていることに非常に驚いているのだ・・・
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イグル「誰だ!!?」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!