第16話 暗殺者
そのとき、俺は案内されていた部屋にて、考え事をしながらベットの上に寝転んでいた。スッカリリラックスしきっていたところで、既にうとうとしている。
しばらくして俺がその眠気に負けて眠ってしまったとき、鍵をかけていたはずの部屋の窓が開き、俺の部屋の中に誰かが入り込んできた。その足音は一切俺に気をつかせない程に小さく、身のこなしは狭い個室に合わせて物の隙間を通り向ける。
そして俺のアホな寝顔を見たそいつは、これまた静かに懐からナイフを取りだし、それを俺の喉元に向かって一直線に振り下ろした。
このとき、俺は死んだ・・・
・・・のかもしれないな。主人公でなければ!!
ガシッ!!
「!!?」
次の瞬間、俺は相手のナイフを持つ腕を掴んだ。てっきり俺が寝ているものだと思っていたそいつは途端に焦ったような顔をして身を引こうとしたが、既に俺が掴んでいた腕をほどくことが出来ず、そこから動けなくなっていた。
「よお、人の部屋に土足で入るって、どういう了見?」
そう、実は俺は最初から起きていた。一つ大きな異常が起こったとはいえ、そこから物語が元のものに修正されるのなら、俺はここで刺客に襲われている展開が存在していた。
俺は念のためその展開が来てもすぐに対応できるよう、わざと寝たふりをして襲われやすいように仕向けたのだ。
俺は早速その掴んだ腕をそのままに、刺客の腹に向かって蹴りを打ち込んだ。見事にみぞおちにも当たった事で、そいつをすぐに気絶させることに成功した。
俺は握っていた刺客の手をどかしてベットから立ち上がり、あえて使用人に聞かれたときに隠しておいた紐でそいつを縛った。
「さて、コイツは何者か・・・ って言っても、正体は知ってるんだがナ。」
俺は一応書いた小説通りにストーリーを進めるために、分かっていながらも刺客の顔を覆っていた覆面を取り除いた。そして俺は刺客の正体を見てやっぱりと息をつく。そこにいたのは、この部屋に案内し、俺から荷物類を回収していったこの城の使用人その人だった。
『どうやらストーリーはまた元の路線に戻ったようだな。ありがたいが、そうなるとマズいな・・・』
俺は急いで自分の部屋を出た。それはある一つの悪い予想が浮かんだからだ。
なんせ大きな問題が出来てしまった。この世界が小説通りに進んでいるのならば、そこに書かれていた良いイベントも起こるが、もちろん俺がそこに書いた悪いイベントも起こってしまうということだ。
おそらくこのまま進んでいけば・・・
使節団の護衛人達は全滅してしまうからだ。
ソック「なんやもうワイの出番かいな! ええしゃあない、お前さん、この作品の読んだんなら『ブックマーク』と『評価』を忘れずせえよ!!」
イグル「しゃあなしでやるなこんな大事なこと。」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!