第15話 うさんくさいサービス
それからウルゼ王子の独壇場になった会合はしばらく続き、そして解放された俺達は、その日の夜はウィントライ国に泊まることになり、ウルゼ王子に呼ばれた数人の使用人がハプルとスワーム以外の兵士達を部屋から連れ出した。
後に聞いたところによると、この時俺はウルゼ王子に向かってぶち切れて睨み付けていたらしい。
そおしてしばらく城の周りを歩かされた後、途中で兵士達はそれぞれ一人ずつ使用人に案内されて別れていき、別々の部屋にへと案内された。俺もようやく泊まる部屋につくと、使用人がこんなことを聞いてきた。
「兵士様、聞いたところによると旅の途中、ゴブリンの群れに襲われたとか。」
「あ、ああ・・・ そうだが・・・」
「せっかくですので、我が国にて装備品の修理をさせてもらえないでしょうか? こちらに来るまでに起こったことですし。」
使用人の言うことに親切さというよりは、どこか胡散臭さを感じるが、いずれにせよここは従っておいた方がいいと思い、俺はその使用人の提案に乗ることにした。
ガチャガチャ・・・
「ほらよ。」
俺は付けていた剣や先に部屋に届いていた防具類を彼女に手渡し、よろしくと頼んだ。すると彼女はペコリと一度お辞儀をして、足早に俺の部屋から去って行った。
俺は部屋で一人になり、これからどうなるのか分からなくなったことに不安を覚える。
『全く、ハプルのせいで展開が狂っちまった。ま、それはそれとして、これでこっからの展開が変わんなきゃいいが・・・』
ここから先の本来の展開としては、理不尽な要望を通してとうとうスワームと無理矢理結婚式を執り行おうとしたところに俺が救い出すって事になっているのだが、ハプルの存在自体が俺にとってはイレギュラーなため、予想がつかなくなっていた。
『よりやばい展開にならなきゃいいが・・・』
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その頃のウルゼ王子の自室。ほとんど拒否権などなくきわどい格好に着替えさせられたハプルとスワームの二人が、ウルゼ王子を左右から挟んで酒をつぐなどの接待をしていた。
「どうですか? 王子。」
「ううん・・・ どうせならこんあ接待じゃなくて、夫婦になるんだし・・・ ねえ・・・」
ウルゼ王子はそう言って二人の尻に手を回そうとしたが、当の本人達がそれを掴んで止めた。
「もう、そういうことは結婚してからですよ。」
「え~・・・ じれったいなぁ~・・・ いいじゃないか~・・・」
そう言ってウルゼ王子はまたその手を伸ばしたが、今度は扉からのノック音で止められた。彼がしらけたと息をつくと、部屋の中に使用人が入り、彼に小さな声で耳打ちした。
「ほう・・・ そうか・・・」
彼はニヤッと笑い、サイドにいた二人はそれを見て寒気を感じた。
そのときの俺は、窓の外に密かに人影が存在することに気が付かなかった・・・
信「おっと、とうとう僕の番か。この作品を読んだのなら、『ブックマーク』と『評価』を付けてくれるよね? ま、君達の答えは聞いてないけど。」
イグル「拒否権ぐらい与えてやれ!」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!