第10話 ゴブリン襲撃
更に王女の団体は行路の奥底に進んでいった。時間も大分経過し、周りの護衛達の顔にも、気の緩みが出て来たところだった。
ヒュン!!・・・
そのとき、突然木々の奥底からよだれを垂らしたゴブリンの群れが襲いかかってきたのだ。隙が生まれていた護衛の兵士達は完全に圧倒され、次々とケガをしていった。かくいう俺も完全に油断し、普段なら食らわなかったであろう攻撃を受けて馬から落とされてしまった。
「イッてぇ!!」
すぐに受け身を取ってダメージを和らげた俺はすぐに立ち上がり、攻撃を仕掛けてきたゴブリンを軽く返り討ちにして見せた。
「全く・・・ ホント唐突なことだな・・・ 馬車は!!?」
俺はすぐに場所の方へと向かったが、当然ながらその馬車には兵士を軽くいたぶっていたゴブリン達が我先にと馬車に向かって走っていた。流石にあの数はマズいと思った俺は、剣を抜いて走り出す。
しかし次々と相手を切り裂いていくが、思っていたよりも数が多くて一人で処理がしきれない。このままでは馬車にたどり着いちまう!!
俺はせめて彼女だけでも逃がせれるように大声で叫んだ。
「スワーム!! 逃げろ!!!」
しかし時既に遅く、倒しきれなかったゴブリンの集団が馬車に飛びかかった。俺はそれを遠目で見ていることしか出来ず、絶望しかけたそのときだった・・・
シュンシュンシュン!!!・・・
・・・と、小さな剣撃音が微かに俺の耳に聞こえて来た。すると次の瞬間、馬車の回りを囲っていたゴブリンの群れが同時に動きを止め、そしてその体を上下に真っ二つに切られて倒れたのだ。
「な、何だ!?・・・」
すると、馬車からハプルだけが降り、そこから少し離れた。その手には鞘から抜いたらしき剣を持っている。
「さっきのじゃ仕留めきれなかったようね・・・」
彼女の出現によって、生き残っていたゴブリン達は一斉に怯えだした。しかしむしろヤケになったのか、少したった途端に全員ハプルに攻撃を仕掛けてきた。
「ヤケになったのね・・・ でも・・・」
そして彼女は剣を自分の顔の後ろまで引き、同時に体をよじった。そして・・・
「<ベーガ流秘伝剣術 一式 大三角>」
そうつぶやき、彼女は横方向に身を回転させながら剣を勢い良く振り切った。そうして飛んでいった斬撃は、襲いかかって来るゴブリンの群れを一撃で蹂躙して見せた。
「ナッ!!?・・・」
俺はその状況をただ唖然としてみることしか出来なかった。そしてハプルは馬車に戻り、スワームに声をかけた。
「スワーム、大丈夫!?」
「は、はい・・・ また、助けられちゃったね・・・」
「ア~!!! 完全にアイツがヒーローになってる~!!!・・・」
俺の知らないヒロインは、下手をすれば俺よりも強いのかもしれない・・・
静「さあ、これを読んだなら『ブックマーク』と『評価』をして、すぐに別作品を読んで若様を応援しなさい!! いいですね!! ね!!!」
イグル「怖い怖い怖い怖い・・・」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!