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第13話 作戦会議 その2

「リンが今、一番欲しいものは【ペット・クリスタル】ですよね」


「うん、そうだけど……」


 ステラの問いにリンが答えると、最近ペットにしたばかりの【トロピカル・バード】が飛んできて、近くに止まった。


Pets――――――――――――――

【 トロピカル・バード 】

 極彩色の羽根が特徴的な南国の鳥。

 あまり人間を恐れないので飼いやすく、鳥の中でも知能が高い。

 好物は果実やナッツなど植物性のもの。

――――――――――――――――――


 そして、ひざの上には【ブリード・ワイバーン】。

 沼で集めた緑のクリスタルを使い、リンはこの2体をルームで飼っている。


「ミッドガルドの実装は2周年、そこに4周年でペットが実装されました。

 ペットを探索に連れて行くと、アイテムの場所を教えてくれたり、物資収集(ギャザリング)してくれたりします。

 これを活用すれば、今まで見つからなかったものが出てくるかもしれません」


「なるほど、ペットが実装されてからは1年も経っていない。

 最初の2年はプレイヤーが自力で探すしかなかったが、今はペットが手伝ってくれるんだな」


 ステラの言葉にユウがうなずき、クラウディアも聞き入っている。

 それぞれ、このラヴィアンローズの世界を見てきたプレイヤーたちだ。


「私はこう考えました。

 実装当時、ミッドガルドに隠された★5は人の手で探すはずだったもの。

 ですが、結局誰にも見つからないまま、ペットシステムが後付けで実装されてミッドガルドに組み込まれた。

 これは救済というか、探索難易度の緩和なのではないかと」


「理にかなってるわね。

 ミッドガルドでしか手に入らないクリスタル。

 そのクリスタルを使ってペットを作れば、探索を有利にすることができる。

 おそらく、ほとんどの人がペットとミッドガルドのつながりを、そこまで深く考えていないと思うわ」


「気付いたとしても、実際にペットを★5の探索に使おうと考えたプレイヤーは、そう多くないはずだ。

 あの場所の実装から3年経って、ほとんどの土地が踏破された今、ミッドガルドは流行のピークを過ぎた。

 宝探しをする人は、昔と比べたらかなり減ってるだろう」


 なにやら白熱し始めた3人の会話を、リンはポカーンとした顔で聞いていた。

 ペットの実装でミッドガルドに大きな変化があったことなど、始めたばかりの初心者には分からない。


「えっと……つまり、できるだけペット化したユニットを連れて行って、探索に力を入れようってこと?」


「そうです。ただし、それには問題があります」


「たとえば、あなたが飼ってるワイバーンと鳥。

 人間では届かないような高い場所も調べてくれそうだけど、そのままだと戦闘では力不足。

 つまり、戦いと探索の両方をこなしてくれるペットが欲しいのよね。

 最低でも、1人につき1体は」


「そっか、持ち込めるユニットは3体までだもんね」


 強敵はスピノサウルスだけではない。

 すでに先の地域を探検しているプレイヤーからは、危険生物の情報が次々と上がっている。

 そんな環境の中で宝探しにユニットの枠を使うのは、あまり現実的ではないのだ。


「そこで、話が戻るわけですが。

 もう一度聞きますけど、リンが欲しいものは【ペット・クリスタル】ですよね?」


「うん、ペットにしたい子が他にもいるから、探しに行こうねって――

 あっ! なんか、あたしにも見えてきた!

 クリスタルが欲しいっていう話と、★5を探そうっていう話は、最終的につながるんだ!」


「正解です。

 クラウディアが言ったように、探索と戦闘をこなせるペットを用意して、ミッドガルドに連れて行く。

 そのためには、まずクリスタルが必要ですよね」


「じゃあ、クリスタルをゲットして、ペットを増やすところから始めようってこと?

 いいじゃない! それが今、一番やりたいことだし!」


 理解してしまえば、どうということはない。

 ちょうど欲しかったものが、そのまま先へと続いていくだけだ。


 まだ見ぬミッドガルドの生物と、これから手に入れていくカードやアイテム。

 その全てが最終的に幻のウルトラレアへとつながるなら、目標としても分かりやすい。


「話がまとまったわね。

 それじゃあ、この4人で協力関係ということでいいかしら?」


「うん! よろしくね、クラウディア!」


 かくして、軍服に身を包んだ少女が新しい仲間に加わった。

 リンにとっては初めてとなる、リアルでは付き合いのなかったフレンド。


 と、そこで――おかしなポーズで両腕を広げたユウは、フフッと挑戦的な笑みを浮かべる。

 このときを待ってましたと言わんばかりの顔だ。


「じゃあ、作戦会議は終わりだな!

 リンには、まだ足りないカードや知らないことが多い。

 その点は俺たちがサポートしてやるとして……

 諸君、ちょうどここに4人いるよなぁ?」


「ん? あ……今から何を言い出すのか分かった」


「せっかくの新しいフレンドなんだし、やらなきゃもったいないだろ?

 さあ、決闘(デュエル)しようぜ!!」

編集:【トロピカルバード】のTipsを追加

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