燃え尽きる灯火
ーーー綺麗だ
地下大墳墓型ダンジョンーーー通称【タナトス】にて、左半身をなくした彼は、鍾乳石のツララがそびえ立つはずの天井に見える星空に、
不覚にもそう思ってしまった。
幾千幾万もの星々が流れ落ちる様は、あたかも彼の死へのカウントダウンを無慈悲に告げているようにも見える。
血反吐を吐く為の口がなく、指一つ動かす気力さえ湧かず、視界の左下に表示されてる、異常なスピードで減り続けるHPバーにも目をくれずに、その星々を死ぬ瞬間まで鑑賞ーーー出来るはずもなく
ズゥン、ズゥンと、彼の半身を奪ったモンスター、、、《ミノタウロス》の足音が近づく。
その音で、彼は吹っ飛ばされた衝撃で忘れた己の現状を思い出す。
ーーーありえない、おかしい、何故、どうして!!?
数多存在するダンジョンには特徴があり、モンスターの脅威度が其々異なることも述べられるが、
今目の前に突きつけられたその特徴に対する矛盾ーーーダンジョンの環境の伴って、そのダンジョンに出現するモンスターが異なると言うことだ。
魔王ダンジョンと言った例外があるものの、草原型ダンジョンならビッグボアやグリーンスライム、
海辺型ダンジョンならシェルクラブ、ブルーリザードといった具合に、墳墓型ダンジョンはゾンビやスケルトンといった死霊系モンスターがおり、地下大墳墓型ダンジョンはそれの
最上位級なだけの筈なのだ。間違っても、ミノタウロスといった、動物型モンスターで出ることなどあり得ない。
ましてや、神話級などーー遭遇=死ではないか。
地下大墳墓型ダンジョンならば一体、ボスとして神話級モンスターがいるが、あくまでもボスとして、
最奥地でないと会う事がない筈なのだ。
だが、彼が倒れてる階層は第3階層ーーー記録として残っている最終階層10の半分も行かないところだ。
『……ブモォォオオオオ!!!』
残虐快感を宿す眼差しを持つミノタウロスが、片手に持つ漆黒の戦斧を振り下ろす。
ーーーーまってろよ
周囲の床に夥しいヒビが広がり、大粉塵が舞い上がり、中規模のクレーターが出来、
視界が暗転した彼はその残りわずかなHPバーが喪失する前に
ーーーーぜってー殺す
次の瞬間、彼ーーープロスは命を落とした。
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モンスターのランク付けとしては、
一般人一人でも何とか倒せるモンスターがF
練度の低い衛兵がなんとか倒せるのがE
一般人が複数でなんとか倒せるのがD
一般兵士複数でなんとか倒せるのがC
練度の高い兵士でなんとか倒せるのがB
練度の高い兵士複数でなんとか倒せるのがA
町一つが無くなるのがS
首都一つ無くなるーー災害レベルがSS《叙事詩級》
国一つが消えるーー神罰レベルがSSS 《神話級》
となってます。
S +やA -なども存在してます笑