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戦闘訓練

やった!次から戦闘描写が書ける!

「それでは本日より、戦闘訓練を始めたいと思います」


聖女セイラの良く通る声が食堂に響いた。


異世界生活もまだ2日目だというのに、聖女は早くも訓練をするらしい。

生徒の反応はバラバラで、剣を持つのに憧れる者、露骨に怖がる者、朝食半分に聞き流している者とそれぞれだ。


もちろん創也は聞き流しながら、パンを頬張る。

朝食は、野菜スープにベーコンのような肉、干し果物のはいったパンとあっさりしているものの、創也の好みの味だった。


肉からは燻製の良い匂いと旨味が感じられ、干した果物はその塩味を引き立てている。野菜スープもベースがしっかりしているからか、葉野菜をうまく煮込めている。


異世界の食事も良いもんだなーーと、呑気な創也に対して、食堂の端に座る賢の目付きは鋭かった。


それもその筈、彼の職業はどう考えても戦闘向きとは思えないからだ。

ある程度は予想しているものの、現在の自分の立場が危うい賢は、これからの振る舞いを考えねばならない。


一方で神崎や涼川達、カースト上位陣の反応は良く、自分たちに与えられたスキル、ステータスに好奇心が隠せていない。

たまにステータスを開いては、お互い見せあっている様は、ここが現実ではなくゲームの中なのではないかと錯覚させる。


訓練に肯定的な神崎達、否定的な碧、今後の対応を考える賢。

それぞれが違った考えを持ちながら、訓練場へと移動を始める。


そして、彼らの意思とは関係なく、異世界での時間は進んでいくーー





▼ ▼





噴水のある庭園を抜け、いくらか歩いた所に訓練場はあった。

高い塀で囲まれたグラウンドは長方形をしており、短い辺が200m、長い辺が400mくらいある。


それぞれ四隅では、兵士達が訓練をしていて、リーダーと思われる兵士の指示によって反復練習や連携の練習を行っている。

訓練の内容は四隅で違い、魔術を練習している組、剣術を練習している組とそれぞれだが、皆額に汗を浮かべ、眉間に皺を寄せながら真面目に取り組んでいた。


それを見て、少し嫌そうな顔をしたのは主に女子だったが、そんな彼女達も訓練場の奥から現れた人物によって機嫌を取り戻した。


「これから皆の訓練を担当する、ジークライン=グロリアだ。気軽にジークと呼んでくれ。よろしく頼む」


「同じくアールイン=グロリアだ」


兄弟と思われる2人はどちらも、灰色の髪に翡翠のような目をしていた。

ジークラインと名乗った男は、ラフな服の上からでも分かる筋肉に、髪を短く切り揃えた気の良さそうな人だった。

そして、そんな彼とは対照的に、簡潔にアールインと名乗った男は灰色の髪を肩口までのばし、ローブのような物を着ている、暗い印象を受ける人だった。


そして、そんな彼らはタイプこそ違うものの、現実ではそうそう目に掛かれないレベルのイケメンだった。

神崎によって顔が良い男性への免疫が有るはずの、このクラスの女子ですら顔を赤くして彼らのことを見つめ、中には黄色い声を上げている者もいる。


「俺は戦闘が比較的苦手なものを、アールは得意な者を監督するから、アールに習いたかったら、皆頑張れよー」


軽い口調でジークが方針を言う。


「それじゃ、力量を知る為にまずは模擬戦闘からだな。」


ジークは、あたかも当然のように話を進め、場の空気を変化させた。その顔には好戦的な笑みが浮かび、手には木刀とも言えない木の枝が握りしめられていた。


「自信があるやつはかかってこい。俺とアール、好きな方で相手するぜ」


ジークの言葉が合図であるかのように他の兵士達が生徒の為の武器を用意し始める。

全て木製ではあるものの、シンプルであるがゆえに攻撃的な武器は、一般人である生徒達を気後れさせた。


「それではジークさん、よろしくお願いします」


そう言って、木の槍を手に取った少女は礼儀正しく礼をした。

長い黒髪が揺れ、彼女の目が細められる。

堂々と模擬戦闘の初戦を名乗りでた生徒は、ステータスの時に創也も注目していた涼川麗であった。


次回の更新は明日の21:00です。

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