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第五話 幼馴染と義妹達の様子がおかしい

「ねえ、一晴。あの双子……い、家でどんな感じ?」

「え?」


 あの失恋から二日が経った。

 幼馴染との関係も崩れさると思っていた。だが、空実はなにかを決意したかのように、積極的に俺へと接する。

 正直、俺は度肝を抜かれた。

 そして、ふられた相手だというのに、自然と会話をしている自分に驚いている。

 もしかして、俺、感覚がおかしくなってるのか? 


「ほら、前から言ってたでしょ? 妹達に嫌われているんじゃないかって。昨日も、今日もすごく仲がいいみたいに見えたから」

「くすっ。もしかして嫉妬してるのかな? 空実」


 と、夏騎が茶々を入れる。

 それに対し、空実はぎょっと目を見開き、声を荒げた。


「は、はあ!? そ、そんなわけないじゃん! 幼馴染として、お隣同士として気になってるだけだし! 変なこと言わないでよね!!」

「あはは。ごめんごめん。まあ、僕も気になってはいたんだよ。僕が会った時は、お人形みたいな雰囲気だったから。実際のところどうなんだい? 一晴」


 二人が見詰める中、俺は一度箸を置き、思考する。

 ここは正直に言った方が良いのだろうか。

 そうなると、俺は義妹達と一緒に風呂に入ったり、寝たり、片時も離れていないということを暴露することになる。


 ちなみに、今日は二人の寝室で眠っていた。

 初めて入ったけど、とてつもなくファンシーな部屋で、メルヘン世界にでも入り込んだかと勘違いするほどに。

 いつも二人で眠っていることもあり、ベッドは少し大きめのもので、俺が入ると丁度いい幅だった。


「ちょっと対応に困る時があるけど、甘えん坊で兄としては可愛いと思ってる」


 実際は、俺が甘えているんだけど。


「ふーん」

「な、なにかな?」


 明らかに疑いの目を向けられてる。


「そんなに気になるなら、遊びに行けばいいんじゃないか? 空実」

「別に気になってないし」

「またまた。もっと素直になりなよ」

「本当ですー!」


 夏騎の言葉に空実はそっぽを向く。

 

「一晴も、別に構わないよね? 僕は、以前と違った二人を見てみたいんだけど」

「俺は、良いけど……」


 となると、義妹達を可愛がる兄を演じなければならない。さすがに親友や幼馴染の前で、甘える姿を見せるわけにはいかない。

 

「ねえ、空実」

「暇だったら、行くわ」

「だってさ」

「お、おう」


 うーん。やっぱり以前通りにはいかないな。というか空実は、俺と言うよりもなんだかエルウィーちゃん、アルフィーちゃんのことを気になっているようだし。



・・・・・★



「ということがあったんだけど。二人とも、なにか知ってる?」


 今日の出来事を俺は二人に話した。

 やっぱり、空実と二人の間になにかあったかもしれない。でないと、あそこまで二人のことを聞いてくるのはおかしい。


「何もないよ」

「うんうん。もしかしたら、そのお姉さん。嫉妬してるだけなんじゃないかな?」

「あー、それは言えてる。勝手にふっておいて、今更嫉妬とか、どうかしてるよね。エルウィー」

「そうだね、アルフィー」


 しかし、二人はなにもないと言う。

 確かに、嫉妬、という感じはしたけど。だったら、あの時なんで俺の告白を……。


「それで、その二人は遊びにくるの?」

「だったら、歓迎の準備をしなくちゃね」

「あ、ああそうだね。今日は来ないけど。明日は丁度土曜日だから。遊びに来るとしたら明日になるかな」


 その時は、俺の方から連絡を入れることになっている。

 二人は部活に入っていないため、誘ってくれればいつでも遊びに行くと言ってくれた。


「そっかそっか。じゃあ、その時は盛大に歓迎しないとね」

「うんうん。……特に、あの女には」

「え?」


 なんか小さく呟いたみたいだけど。


『なんでもないよー』


 すぐパッと可愛らしい笑顔を向けられ、俺はう、うんと笑顔を返した。


「それじゃあ、わたし達はちょっと相談事があるから」

「ちょっと待っててね、お兄ちゃん」


 普段と少し違った雰囲気で、二人は俺の部屋から出ていった。

 その後、俺はベッドに倒れ込み、天井を見上げる。


「二人もなんだか様子が変だった。あんまり疑いたくはないけど……」


 今の俺があるのは、二人のおかげだ。

 あの包み込む優しさに嘘はない。俺のことを本当に想ってくれているというのは明白。

 血の繋がりはなくとも俺達は兄妹、家族だ。このまま二人との関係を続けたい。

 

「女の子って、難しいな……」


 この前観たラブコメアニメの主人公も、複数の女の子から好意を持たれていた。

 だけど、その主人公は恋愛感情というものはなく、仲の良い友達感覚で今まで付き合っていたため、好意を向けられてもどう対応していいのかわからないと悩んでいた。


 父さんからも言われたことあったけど、恋愛とは駆け引き。

 うまく行く時もあれば、様々なことが混同し、まるで戦場に立っている感覚になることもある。

 ミランダ義母さんと付き合う時も、色々あったらしく、それはもう真剣な様子で語ってくれた。


 そうだ。二人に連絡入れなくちゃな。

 ……明日は、どうなるだろう。

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