一、ファーストコンタクトは微妙
こういう理由でした。
おっちゃーん。
その頃、大助は休みを謳歌していた。
地元のパチンコ屋で朝から五円スロットの五号機ツンデレ爆裂マシーン「エウレ〇セ〇ン2」に座り、エアリアルラッシュを連発し2000枚の出玉を叩きだしていた。
(勝ったな・・・)
大助は心の中でほくそ笑む。
全集中でレバーを叩く。
その時、ブーブーとスマホのバイブが鳴る。
それは電話だった、ディスプレイに浮かんだ文字はおっちゃんの文字。
彼は外に飛び出ると、電話をかけなおす。
「おいっ、山本君っ!いますぐこっち来てくれ!」
「は?」
「この前、話しただろ、出会いっ!会うように手筈整えたんだけど・・・すまん、今日だった」
「え?」
「ごめん、連絡し忘れてた・・・てっきり連絡してたと・・・」
「は?」
「で、今すぐ、来れるか」
大助はその言葉に、スロットの台がどのくらい続きそうか算段する。
「・・・今は、無理っ、用事がありまして」
今、思えば他愛もない用事、だが彼は度重なる婚活で疲れていた。
実はその前に一回食事をして音信不通、その前は数回会ったのちメールだけのやりとりとなり・・・その前もって事が重なっていた。、
なので彼は今回もあまりというかまったく期待していなかった。
今日は大助の誕生日でもある・・・ふと、彼は気づいた。
(俺、誕生日・・・運命・・・いや・・・ない、ない)
「どのくらいかかる」
「一時間ぐらい・・・かな」
フルスロットルで消化すればいけるだろう大助は判断した。
「一時間か・・・分かった聞いてみる・・・でも、断られるかもだぞ」
電話口からおっちゃんが恨みがましく言っているが、誰のせいだよと彼は思った。
「おい、待ってくれるって・・・急げよ」
「分かりました」
大助はマッハで席に戻ると、一心不乱にゲームを消化する。
結局、一時間を越え、彼は店を出ると車を飛ばし相談所へと向かった。
身なりも着の身着のままで、大助は芽衣ちゃんと顔合わせをすることになる。
ファーストコンタクトの印象は、
(・・・幸薄そう)
大助。
(ゲーハー・・・でも、写真より、ちょっとだけマシ)
芽衣ちゃん。
だったそうな。
次回、「二人お茶する~弾まない会話~」お楽しみに(笑)。
微妙な出会い。