七、居酒屋にてキラリ涙
スピ〇ツ風なタイトルに草w。
大助と芽衣ちゃんは、お互い連絡を取り合う事もなく一週間、二週間と日常を過ごしていた。
大助はちらりとスマホを見た・・・なんの連絡も入っていない。
多分、彼女からは連絡はしない彼はそう思っている。
大助は今回もかと、ほぼ諦めていた。
経験豊富そうな同僚に尋ねてみても「それは脈ないぜ。諦めな」と言われ、相談所でも「次、探そうか」と匙を投げられ、両親からは「まぁ、今、結婚しない人も多いから・・・ずっと家におってもいいぞ」なんて言われる始末だった。
本人もそう思っていた。
ごろりベッドに転がると、もう一人の自分が囁く。
(これでいいのか)と。
(お前はそれでいいのか・・・お前は本当の姿を彼女に晒したのか)と。
もう一人の俺が言い返す。
(今更なんだ。諦めたんだろ。それでいいじゃないか、元々全然(性格、趣味、いろいろ)合わないじゃないか)と。
(これ以上、恥をかくつもりか、遠出までして気を遣ってキツイ思いまでして、付き合うことあるのか・・・)と。
布団をかぶり、身悶える。
これでいいのか、これでいいのかと問いかける。
よくない・・・よくないけど・・・俺はどうしたいんだ。
このまま、付き合い続けても一緒・・・じゃ、自分を見せろ晒せ、恐れるな。
嫌われたら・・・って、一度終わっているだろ。
このままだったら、後悔だけが残る。
だったら、やってみて納得しろ。
大助はスマホを取り出し、ラインを開く。
(そういや、9月は芽衣ちゃんの誕生日だったっけ・・・)
なんて思いながら、
「お元気ですか。お久しぶりです。会って話がしたいです。よかったらお願いします」
文を書き終わり後は送信ボタンを押すだけとなる。
手が震える。
「だあ!」
一度、手を離しスマホから距離を置く。
近づく、送信ボタンに指を合わせ、目を閉じ押す。
「ままよっ!」
(これで返事がかえって来なかったら、その時は、諦めるか)
大助はまな板の上の鯉の心境で返信を待つ。
ほどなくして返信があった。
「いいですよ」
大助はほっと胸を撫でおろす。
こうして、2人は某日、夜の居酒屋で話し合いを行った。
「こんばんは」
の互いの一声のあと、言葉が出てこない。
料理を摘まむが味はしない。
だけど大助は言おうとしていた事を、決意しゆっくりと伝える。
「あの後、ゆっくり考えました。どうしたらいいかって」
「うん」
芽衣ちゃんは静かに聞き耳をたて頷いた。
「うまく言えないけど、このままじゃ駄目だって事は分かっていて、周りの人に聞いても、もう諦めた方がいいとか言われたけど・・・まだ自分を本当の自分を見てもらってないので、自分らしくまた付き合いたいと思って」
「うん、それで」
芽衣ちゃんは、先の言葉を促した。
「また付き合ってください」
「はい」
「良かった~」
へなへなと机にうつぶせになる大助。
「大くん泣いてるよ」
芽衣ちゃんが笑って言う。
「泣いてないよ・・・多分」
今だに旦那ちゃんは「あの時泣いていた」と言われるが、全くそんなことはないのだ。きっと嫁ちゃんの錯覚に違いない・・・本当に泣いてないんだもん。
あー、さて、なんとか再び付き合う事となった二人だが、その仲は相変わらずの現状維持の低空飛行だった。誰かっ、恋の123、ABC教えてくださいっ!
次回「愛の点火フラグはいずこ」で、君のハートにずっきゅん、どっきゅん(笑)。
やっと書けた~。




