「見知らぬ部屋」
見知らぬ部屋
私は、暗い部屋で目を覚ました。
「ここは・・・私の・・・部屋なのだろうか?」
辺りを見るが、何も思い出せない。
ゆっくりと、たちあがった。
なぜ、暗く寒い部屋の中で倒れていたのか分からない。
「この部屋から出よう」
と、うっすらと見えるドアノブを握る。
部屋の外に出る事が出来れば、何か思い出すかもしれない。
そう思いドアを開けようとする。
ガチャ・・・ガチャ・・・。
「何で、ドアがあかない?」
うっすらと壁に何かある。
カチッ。
部屋の明かりをつけた。
「さっきより見やすくなったな」
ドアノブの少し下に、小さい鍵穴がある。
「鍵が必要なのだろうか?」
私は、鍵をかけた記憶は無いが・・・。
「どこに鍵があるのだろうか」
床や、ポケットに、鍵らしきものはない。
「どこにある?」
まず、部屋の中を調べてみるか。
そして、ゆっくりと歩き出した。
「左は、本棚」
色々な本が、天井ギリギリまで並んでいる。よく集めたものだ。
「右には・・・はしごが立てかけてある」
はしごが何でこんな所に?
「正面が・・・机か」
さて、机から調べるか。
机の上には、紙・ペン・本などが置いてある。
「これは・・・」
紙には手書きで何か書かれていた。
「どうやら、誰かの日記のようだな。」
十二月二十二日
皆、私に隠し事をしているのだろうか?
最近、私の話を聞いてくれないからだ。
ピエロに「どうして、話を聞いてくれないんだ?」と、聞いてみても「えっ? そんなことないですよ?」と、いわれるだけだった。
サファイアは、私が何回聞いても、何も言ってくれない。
皆、どうしてああなってしまったのか。
私には分からないのだが・・・。
・・・なぜだろうか、いやな予感がするんだ。私の気のせいだといいが・・・。
ピエロ? サファイア? 知らない名前だな・・・。
頭が痛い…。疲れているからか?
十二月二十三日
やはり・・・何かがおかしい。
レットやナイヤだって、ピエロやサファイアと同じように私の話を聞いていないなんて・・・一体どうなっているのだ?
はやくなんとかしないと・・・。
鍵も、置いた場所と違う場所にあったりする。
もしものために、この部屋の鍵は・・・いつもとは違う隠し場所に隠しておこう。
また、知らない名前だ。
頭が痛い・・・これは、私が書いた物なのか?
ガタン・・・。
あまりの痛さに、持っていた日記と近くに置いてあった本を落としてしまった。
拾い上げた日記の裏には・・・。
「夢川一葉?」
そう書かれていた。
ズギンッ。
その場に倒れこむ。
「思い出した・・・」
夢川一葉と言う名前は、私の名前だ。
日記に書いてあった名前は、私の仲間達の名前だ。
・・・だが、残念ながら全てを思い出してはいない。
思い出したのは、とぎれとぎれの記憶だけ。
残念だが・・・。鍵がどこにあるのか、分からない。
「まあ、思い出せてよかったな」
ズズッと、音をたてながら机の引き出しの中を見る。
金色の小さい鍵が、奥の方に置いてあった。
「鍵だが・・・。ドアの鍵では無いな」
鍵穴を見て確認する。
鍵を持ち、引き出しをゆっくり閉める。
一体ドアの鍵は、この部屋のどこにあるのだろうか? 机の上には、気になるものはもうない。
「次は、本棚にするか」
本棚へと、歩いていく。
「何かあるといいが・・・」
本棚に隙間なく並べてある本は、たくさんあるいろいろな場所から買い集めてきたものだ。
仲間からもらった物もあるが・・・。
ほとんど私が買った物だな。
なので、もしも本棚が倒れてきたら・・・何千、何万とある本を、何時間も本棚に並べないといけない。
本棚の一番上を見ると、小さい木の箱が奥の方に置いてあった。
うっすらと、光っている何かが見えた。
「小さい箱を、どうやって取るか」
何も使わずに小さい箱は、取れないからな。
・・・。私は、どうやって本棚の上に置いたんだ?
「・・・なるほど、はしごが部屋に立てかけてあったのは、こういう時のためだったんだな」
左に立てかけてある少し重いはしごを本棚の方に、ゆっくりと移動させる。
ガダンッと、本棚の方へはしごを置く。上へ上へと、私は登っていった。
この部屋は広く、天井が高いため、意外と怖い。
「あと少しで、と・・・」
届くと思った、その時だった。
グラッ。
「あっ・・・」
そう、本棚が勢いよく倒れてきたのだ。
色々な本の下敷きになった私は、本棚の本を並べ直し確定&あまりの痛さに少し泣きそうになったが、なんとか腕を本棚に伸ばして持ち上げた。
バシンッと、音をたてながら本棚は、横に倒れたのだ。
なんとか、本の山から出る事が出来た私だか・・・。
「やらかした」
それから五時間くらい、ずっと本の片付けをし続けた。
「休みたいが、箱の中を見ないとなぁ」
立っているのがやっとだが、小さい箱の中を見た。
「これは・・・。ドアの鍵?」
鍵穴を確認する。
「これで、あっているようだな」
やっと見つかったな・・・。疲れがドッときて、その場に座った。
少しの間休んで、ドアの前に立った。
ガチャッと、ロックを外す。
「あー、長かった。やっと部屋の外に出られる」
・・・本棚が倒れなければ、もっとはやく明るい部屋の外に出られたんだけどな。
そう思いながら、本棚の方を見た。
「あれ?」
部屋の外に出た時、私は何か、何か大切な物を忘れているような気がした。
まぁ、気のせいだよな?