王様と王妃の休日
ここだけR15仕様なのでレーティング引き上げました。
「陛下は随分口が上手くなりましたよね」
王様の腕の中で、王妃がジト目で王様を見つめました。
読もうとしていた『実録!側室の頭の抑え方』は「君には必要ない」と王様に取り上げられてしまったため、少々手持ち無沙汰にしています。
今日は政務がないので、二人はのんびりと過ごしています。
隣や向かい合うのは王妃が恥ずかしがるため、王様はいつも二人きりの時はそうしているように、ソファに座って後ろから王妃をそっと抱きしめています。
首を後ろに向けて告げられた言葉に、王様は微笑みました。
「とてもつれない相手を口説かなければならなかったからな」
王様は、愛おしそうに王妃を見つめ返します。自分が原因だと言われた王妃は、首を前に戻して拗ねました。
「私のせいですか。人のせいにするなんて…」
ボソボソと文句を言いつつも、腕の中に大人しく収まっている王妃。そのことに気を良くして、王様は腕の力を強めました。
「いいや、俺のためだ。おまえに好かれたくて必死に頑張ったんだ」
耳元で甘く囁かれ頬に口づけを落とされて、王妃の顔が赤く染まります。
「そ、そういうところが…」
狼狽えて、いまさらながらに王様の腕の中から抜け出そうともがきますが、王様は腕の力を緩めません。
「俺はおまえが好きだ」
腕の中に閉じ込められたままストレートに告げられた言葉に、王妃は首まで赤くなって固まりました。
最近王様は、よくこういった言葉をサラっと言うのですが、その度に王妃はどうしたらいいのかわからなくなってしまいます。
「おまえは俺のことが好きか?」
あまりに甘い声音に、王妃はめまいを感じました。しかし、がっちりと抱きとめられているため、倒れることもできません。
「聞かせてくれ。俺のことをどう思っているのか」
耳の中に注ぎ込まれる、脳を蕩かすような声。胸の鼓動が速くなりすぎて、何がなんだかわからなくなります。
頭が沸騰して、うまく考えられません。
実は、王妃はまだ一度も王様に気持ちを伝えたことがありませんでした。
別に言いたくないわけではなかったのですが、なんとなく言えずにここまできてしまったのです。
「俺のことが好きか?」
今こそ、言う時なのかもしれない。
重ねられる王様の問いにに覚悟を決めて、王妃は張ちきれそうな鼓動に押されるままに頑張って言葉を紡ぎ出しました。
「…ずっと前から…お慕いしております…」
耳まで真っ赤にした愛しい王妃から、ほとんど聞き取れないほど小さな声で告げられた初めての愛の言葉。
それは王様の理性を吹き飛ばすには十分でした。
王様は、真顔になるとくるりと王妃をひっくり返してソファに押し倒しました。
「へ、陛下!?」
突然の行動に王妃は慌てますが、笑みの消えた表情で王様は呟きます。
「今のはおまえが悪い」
獲物を追いつめるようなその目に、王妃の背がぞくりと震えました。
求められているという実感に肌が粟立ちますが、明るい日の光が王妃を躊躇わせます。
すべてが片付いたあの夜から何度も体を重ねてはいますが、まだまだ行為には慣れていないのです。こんな明るい場所で素肌をさらすなど、想像しただけで羞恥でおかしくなってしまいそうです。
「よ、夜まで…」
「待てない」
王様の下からなんとか抜け出そうと王妃はもがきますが、しっかりと押さえ込まれて首筋を指の背でゆっくり撫でられました。
ゾクリと自分の欲が引き出されるのを感じながら尚も抵抗しようとしましたが、
「おまえを愛している」
そう囁いた王様に顎をそっと掴まれ、あきらめ悪くまだ何かを言おうとしていた口を唇でふさがれてしまいました。
めでたし、めでたし!
王様の口調がブレてたので修正しました。