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THE Ⅵ 六腕の兵士  作者: ティターニト・レドナード
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第11話 地底探検

カーデンロイドの車内に戻ったシグドナルは地図を見ながら考え込んでいた。

「このあとはどうするんですか?」

運転席に座っているリリーグが聞いた。

「本来なら、この先にあるフェルド山を迂回するルート通る予定だったんだが、予定よりもかなり遅れているから、このラーバ洞窟を通るルートに変更する。このまま真っ直ぐに進んでくれ。」

「了解しました。」

カーデンロイドが森の中の獣道を進んで行くと突然、目の前に大きな崖とそこにポッカリと口を開けた洞窟が姿を現した。

「ここがラーバ洞窟だ。」

「この洞窟ってここ以外に出口とかあるんですか?」

「確か、ファウドラ国との国境付近にある火山の近くに通じているはずだ。出発する前にティターニアに頼んでこの洞窟の地図を作ってもらったから大丈夫だ。」

「いつの間に…」

「備えあれば憂い無しさ。それに私は一度この洞窟を使ってファウドラ国の兵士を撃退したことがあるから安心しろ。さあ行くぞ!」

カーデンロイドはゆっくりと動き出すと、洞窟の細い通路の中へと進んで行った。洞窟に入ってから数分後。一行は下へ下へと進んで行くうちに、巨大な地下空洞に出た。100m近くありそうな巨大な鍾乳石の柱が立ち並び、洞窟の床や壁、天井から赤く光る石が沢山突き出ていてとても幻想的な風景を生み出していた。

「すっごく綺麗ですね…」

あまりの美しさにリリーグは思わず見惚れてしまう。

「ここは何千年という時間をかけて出来た洞窟だな。」

「あの赤く光っている石はなんですか?」

「あれはラバー石の原石だよ。」

「ラバー石って、とっても貴重なほうせきじゃないですか!?」

「そう。今じゃ何十年億円とする幻の宝石さ。」

「そんな貴重な鉱石がどうしてこんなに沢山あるんですか?」

「ここの洞窟の温度は最高で摂取500度を超える。」

「せ、摂取500度!?」

「この洞窟の下にはマグマの通り道があってな。年に何回かこの下にあるマグマの動きが活発になる時期がある。そうするとこの洞窟は火をかけた鍋の中みたいになる。あぁ一応言っておくと、今はマグマは活発になる時期じゃないからこの洞窟はあんぜんだ。」

「なら、いいですけど…」

「…少佐。研究の為にラバー石をいくつか持ち帰りたいのですが…」

突然、カーデンロイドのハッチが開き、ウィグが顔を覗かせた。

「うわぁ!?ちょっとウィグさん!ハッチを開ける時はノックをしてください!」

「…すまない。それで、採取してもいいですか?…」

「駄目だ。君も知っていると思うが天然のラバー石は数が減少している。自然を守るためにもここのラバー石は取らないように。わかったな。」

「…わかりました…」

ウィグはハッチを閉めると、トボトボと荷台に戻っていった。カーデンロイドは再びエンジンを蒸すと、赤く光る巨大な洞窟を奥へ奥へと進んで行った。だが数十分後、巨大な洞窟から細い洞窟を差し掛かった所でトラブルが起きた。巨大な岩石が行く手を塞いでいたのだ。

「少佐これは…」

「前に来た時にこんな岩は無かった。どうやら、マグマの動きが活発になった時に発生した地震で天井の岩石が崩落して洞窟が完全に埋もれてしまったようだな…ティカトニア!ちょっと来てくれ!」

シグドナルは荷台に向かって大声で叫んだ。

「ワタしにナニかよう?」

すぐに荷台の方からティカトニアが走ってきた。

「実はそうなんだ。お前の力であの岩を動かせるかな?」

「いくラちからもチのワタしでもアレをうごカスのはムリだヨ!」

「だよな…ありがとうティカトニア。すまないんだが、ビリーを呼んで来てくれないか?」

「ワカッた!」

ティカトニアが荷台に戻るのと入れ違いにビリーがやって来た。

「あいあい。お呼びですか?」

「ビリー。この岩を爆破で吹っ飛ばせるか?」

「まぁ楽勝だな。このダイナマイトが、そうだなぁ…2千本あれば。けど今あるのは、村で補充した分含めて40本、自前のが5本、手榴弾が3個、それから発煙筒に、爆竹しかねぇな。」

「なら掘るしかないが、掘るにしたってドリルもないしなぁ…」

「…私に任せて…」

突然シグドナルの視界に現れたのはメカニックの専門家のウィグだった。

「ウィグ!?この岩を何とかできるのか?」

「…できる…」

そう言うとウィグは一番後の荷台からいくつかの木箱を降ろした。そして、中からいくつかの部品を取り出すとそれをカーデンロイドの前部分に取り付けた。そして、それを黙々と組み立て始めた。数分後、ウィグの手によってカーデンロイドは、巨大なドリルのついた掘削機と化した。

「…改造完了。ドリルは前に進むと勝手に動き出すから今まで通りに運転するだけでいい…」

「ありがとうウィグ。」

「…私にとって、これぐらい朝飯前。だから何かあったら私に頼って。」

「そうさせてもらうよ。よし出発するぞ!」

カーデンロイドが動き出すとドリルが回転を始めた。そして、硬い岩石を掘り進めながらカーデンロイドは洞窟の更に奥へと進んで行った。

洞窟を彫り始めてから数分後、異変が起き始めた。

「少佐。なんだかさっきよりも車内が熱くなった気がするんですが…」

「気がするんじゃなくて、本当に熱くなっている。洞窟内の気温がどんどん上がっている。今は30度ジャストだな。」

「まさか、溶岩の動きが活発になって気温が上がったんじゃ…」

「それはありえないと思うな。マグマの動きが活発になるのはあと6ヶ月先のはずだ。」

「じゃあどうして…」

その時カーデンロイドの車体がガクンと大きく揺れた。

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