7話 チートでレベルアップ
ルゼルがまともな服を手に入れた事だしとりあえず俺たちはギルドに来た。
冒険者登録。
何をするにしても最優先でしておいた方がいいらしい。
「とりまー私たち3人の登録しくよろーみたいなー」
「は、はぁ………」
ビクティの喋りに困惑しているギルドの職員。
当たり前だビクティ語は通訳がいないと中々理解するのは厳しいだろう。
「とりま秒でしくよろー。ちなみにこっちの男のツレは私のダーリンだからその辺もよろしく産業♡」
「ご夫婦ですね」
「………いや、違う」
否定しておく。
「えー?ダーリンだめなのー?こんなところくらい適当でいいじゃーん」
「だめだ」
「もう頭かっちかちー。ぷんぷんぷーん」
こいつに任せようとしたのが失敗だったか。
俺が全て職員に伝える。
「こちらギルドカードです。紛失しないように注意してくださいね」
俺は職員からカードを受け取るとルゼルとビクティに配った。
「失くした場合再発行にもゼニーがかかります。4000ゼニーですのでご注意ください」
「まじ?結構するじゃーん」
「はい。結構しますので」
「えー、そこは私とあんたの仲じゃんしくよ………」
「他に説明はないのか?」
困っていたようだったので強引に話を進める。
「はい。えーっと、申し訳ないんですけど今回発行料を頂いていないので、先程にも説明したとおり適当な依頼を受けてもらえますか?」
「構わない」
「ありがとうございますー。お客様方のランクはEです。Eで受けられる依頼を受けて貰えますか?」
頷いて答えると俺たちは職員に指示された掲示板の前まで移動した。
「これなんかどう?ダーリン♡」
ビクティが選んだのはスライムの討伐依頼だった。
頷く。
「よし、決まりー。さ、パパッと行ってパパッと帰ってこようねー♡」
※
草原までやってきた。
「結構数がいますね」
ルゼルが俺の横に立って前にいるスライムの数を口にする。
「40体くらいですか?」
「正確には45だな」
「もう数えたんですか?!ど、どのようにして数えたのですか?!」
まっすぐ前をゆびさす。
「よく見てみろ。一塊にすると5体ずつ。それが9グループあるから掛け算で45」
「掛け算、ですか?」
首を捻るルゼル。
まさか知らないのか?と思ったが俺は転生後に教育を受けていないのを思い出した。
俺は前世で教育を受けたがまだ人間界には教育という概念が広く浸透していないのかもしれないな。
「よく分からないけどダーリンは凄いってことっしょ!流石私のダーリン!」
「凄いです!サーガ様!」
「よっ!大天才盗賊!」
これでは魔王に滅ぼされるのも時間の問題かもしれないな。
そんな事を思いながら魔法を使う。
「アルマゲスト」
瞬間。
「え………」
「はわわわ………」
2人が見ている前でスライムが地形ごと消し飛んだ。
「な、何ですか?!これ!」
「ダ、ダーリン今のは?まじやばっしょ!」
詰められて少し狼狽える。
力の入れ方を間違えたか?
いや、だって2匹くらいスライム残したしな。
精度が悪いと責められているのか。
「悪かった。ちゃんと消しとくべきだったな」
そう言ってもう一度魔法を使い全部消した。
ポカーンと口を開く2人。
「な、何ですかこれ………」
「ははっ………まじやばっしょ。地面10mくらいなくなってっし………地形変動してるし」
2人はそう言っているが別に大したことは無いと思うが。
それに仕留め損なっている。
「残り1匹湧いてきてるから2人で倒してもらえるか」
「は、はい!」
「了解!」
俺は2人が残りを倒している間にアイテムポーチを確認することにした。
そろそろ整理しないとぐちゃぐちゃして見にくくなってきている。
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・体力上限アップ100×92
・攻撃力上限アップ100×93
・防御力上限アップ100×85
・魔力上限アップ100×97
・アルマゲストの書×21
・ダイヤモンドダストの書×15
・クルエルソードの書×10
・ホーリーの書×4
・アビスの書×5
・ヒールの書×9
・アルテマの書×12
・他下級魔法の書×258
・魔力リジェネスキルの石×58
・体力リジェネスキルの石×35
・etc………
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全て非売品だし拾うこともできない。
俺の固有スキルを使って初めてこの世界に存在が許されるアイテム達。
そのせいでとりあえず使うことがあるかもしれないということでポーチに入れていたが結局あまり使わなかったガラクタだ。
書系は本来適性がない属性でも強引にその魔法を使えるようにするチートアイテム。
上限値アップはステータスを楽に上げられるチートアイテム。
石はスキルを授かるアイテム。
全てのアイテムで得た効果は勿論永続。
本来ならばどれもこの世界に存在していていいアイテムではない。
だが俺一人だけはこれらのアイテムを現実に持ち出すことを許されている。
「ま、こんなところか」
ある程度の整理は終えた。
要らない分がかなりあるし2人にも分けようか。
攻撃力とか1000もあれば十分すぎる。
それでもオーバーキルなことが多い。
だから俺は最近はアイテムを無から生成しても保管庫に放り込んでいただけだった。
と、そろそろ討伐したかと思って二人を見たが。
「きぃぃぃ!!!!このボヨボヨムカつくし!!!!」
「ひぃぃ!!!助けてくださーい!!!!」
2人ともスライムに捕まっていた。
やれやれと首を振りながらスライムの近くによると威嚇する。
ササーっと2人を離して逃げていくスライム。
2人に適当にアイテムを渡す。
「これは何ですか?」
「ポーション?エリクサー?分かんないけどありがとダーリン♡」
「中途半端に使っても意味が無いし渡した分は使い切ってくれ」
首を捻りながらも2人は俺の言った通りアイテムを使っていった。すると
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【名前】ビクティ
【ジョブ】聖女
【レベル】3
【攻撃力】963
【体力】1236
【防御力】856
【素早さ】1023
【魔力】1145
【名前】ルゼル
【ジョブ】賢者
【レベル】2
【攻撃力】923
【体力】1548
【防御力】958
【素早さ】874
【魔力】1521
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「な、何ですか!この数値!」
「鬼やば!!」
2人とも驚いているらしい。
「この数値一生かかっても有り得なくないですか?!」
「つかつかこんな数値やばいっしょ!魔力4桁って聞いたことないんだけど!歴代最高でもこれの半分いかないんじゃないの?!」
「そうなのか?」
俺はもっとあるから上の方はもっとあるものだと考えていたが。
「このステータスは、魔王瞬殺じゃないんですか!」
「たしかに!今から行っちゃおう系だよ」
いや、行かない系だ。
そんなことを考えていたら嫌な声が聞こえた。
「おい、貴様ら何故ここにいる」
俺たちに声をかけてきたのは勇者クロイツだった。
そしてその横には
「サーガさん………」
当然というようにサヤもいた。
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