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67話 身を清めよう

不定期更新ですみません。

 ここは、どこだ。

 千里眼であの特上級の変態を探していた。


 のだが、見つけはしたがここが何処なのか検討がつかない。


「ふふふふ………私の可愛い女神。君は今宵誰に抱かれて眠る?沢山汚されたまえ」


 キモすぎる。


「あぁ〜私の愛しい女神よ。君はいつ私に気付いてくれるのだろうか。君の魂を追い掛け続けて何年経っただろうか。数千年か?」


 数千年待って1度もお前から会いに行っていないのが逆に驚く。


「私は君の胸の中で死ぬ以外の死を望まない。さぁ、私を抱いてくれ」


 既にこいつを探し出してしまったことを後悔し始めてきたがそれでも我慢して見る。


「ふふふふ………やはり私の女神私だけの女神。おや?」


 何かに気付いたのか星空に目をやる変態。


「これは………あの勇者か。およ?死んでいる。モンスターの囮にされたのか、彼には悪い事をした、性格の悪いあいつから奪ったのだ。こうなることは伝えておくべきだったかもしれん」


 お前が嫌がらせで術式を弄らなければこうはなってないんだよ元凶。


「だが、しかしはぁ………はぁ………女神よ」


 そう言って立ち上がる変態。

 何処に向かうのかと思えば棚に目をやった。


「これは今回の人生で女神が初めて着用した下着………すぅ………はぁ………この香りやはり最高だな」

「………」


 声が出ない。

 何も考えられない。


 こんなものを見ていていいのか自問自答したくなる。


「そしてこちらは初めてルーヴィスでいたした時の………すぅ………はぁ………死ねよルーヴィス………いや、死ねば困るな」


 もう言葉も出てこない。


「私の女神コレクションも随分増えてきたな。これで後何千年かは待つことが出来るが」


 何故待つことしか出来ないのだお前。

 そんなに好きなら来ればいいだろ。


「およよ?これは………」


 また星空を覗き込むメリオルダス。


「小石を投げた甲斐があった、運命が変わったな、死ねよルーヴィス」


 どういうことだ?

 そう思っていたら


「ダーリン!ダーリン!」


 千里眼で集中していた俺の耳にビクティの声が飛んできた。


「何だ?」

「これ!見てよこれ!」


 彼女の持ってきたのは布だった。

 何か、とは言わないが。


 湿っている。


「か、返してください………ビクティさん」


 彼女の後ろからやってきたのはサヤだった。


「もう許してあげれば?」

「………」


 黙って首を横に振る。


「ビクティさんもういいんです。私は来世でもう一度チャンスを得たいです」

「まだ諦めるのは早いし!」


 両肩を持ってサヤを揺するビクティ。


「それに毎日掃除隅々まで頑張ってるじゃん!あのゴミ勇者と違って完全に心入れ替えたじゃん?!まだあるって!ね?まだあるよね?!ダーリン?!」

「前も言った。そいつに心を許すのは、怖い、と。それに俺にはお前やサーシャがいるだろ?」


 1度失った信頼簡単に取り戻せると思うなよ。


「ビクティさん………もうやめてください。こう答えられるのは分かってます………全部私のせいです。いいんですもう片想いで………それに結ばれちゃいけないですよ私はあんなに酷いことしたんですから」

「サ、サヤぴっぴ………」


 そんな会話をしていた時だった。


「女神よ………まだ諦める必要はないぞ」


 聞き覚えのあるウザ声が聞こえてきた。


「あ、あなたは………あの時の………キモイ人………」


 一度しか会ったことのないサヤにまでそう言われるキモイ男。


「お前何処から来てんだよ………」

「ここにいる私に実態はない。だから何処でも出現させることが出来、長々と話をすることができる。何故実態で来ないか、だと?決まっている。お前とタイマンすれば確実に私が地獄に葬られるからだ」


 神様は何てものをこいつに持たせてんだよ。

 ウザさレベルがカンストしてる。


「そ、それより諦める必要がないって、どういうことですか?!」


 サヤが聞き返す。


「その男は君の事を避けているだけで嫌ってはいない」

「そ、そうなんですか?」


 俺を見てくるサヤ。

 答えるのは俺ではなく勿論あのウザイ男だ。


「今までの反応を見て気付かなかったのか?彼が君を本気で責めたことがあったか?今だってそうだ。君が死なないように保護してくれている。つまり、ワンチャンあるということだ☆何より彼がいじめていたのはあの哀れな勇者だけ!これはもうワンチャン狙わない方が失礼ダヨネー笑」


 こいつは気付いていたのか。

 俺が本気で彼女を責めていなかったこと。


「それまじ?!リベンジマッチじゃん!」

「まじウケるよねー。メリぴっぴのお陰で敗者復活戦があるんだもんねー☆」


 マジでウザイからその話し方をやめろ。


「で、メリぴっぴ、その敗者復活戦ってどんなことする系なの?」

「身の浄化だよ。私の女神の場合不倫する相手が悪かった。その男は遺伝子レベルで勇者を嫌悪しているからな、勇者というジョブであるのならば誰でも嫌うのだよ。そんな相手に抱かれた女をこいつは嫁にしたくないだけなのだ」

「な、何でそんなこと知ってるん?!」

「こいつが生前唯一負けたのが勇者なのだよ。だから嫌っているのだ。ということを魔王様に話していたのを盗み聞きしてしまってね。それにしても全く逆恨みも甚だしいが」


 首を横に振る、それだけの動作なのにくそうざい。

 だがこの映像消し方が分からない。


「消えろ」


 短く言い放ってみたが


「安心したまえよ。私は君で言う千里眼に全振りしているから戦闘力はない。君からすれば私など路傍に転がる小石同然。私生活を覗き見されていたとしてもそう気にしなくても構わない。小石に君らの交わりを見られたところで気にしないだろう?」


 マジでウザイなこいつ。


「ど、どうすればいいんですか?」

「聞くな」


 サヤが聞こうとしたので止めに入る。しかし


「………これが本当の最後です。私にチャンスを与えてくれませんか?サーガさんお願いします。終われば………奴隷紋でもなんでも授けてくださってかまいませんから」


 そう言って土下座する。

 そもそもの話


「浄化って何をするんだ?」


 怪しい宗教勧誘にしか見えないぞ。


「浄化魔法を行う。過去の肉体の損傷をなかった事にする。そしてその行為は行われなかったことにする」

「胡散臭い」

「なら、早く抱け」

「なっ………」


 何を言ってるんだこいつ。


「キモイんだよダニ雪原のゴミ風情が。ダニに食われて死にさら………おっと失礼。私としたことがつい思っていることを口にしてしまった。早く私の女神を抱け」

「断る」

「そんな権利などない。馬鹿かお前。やはりノミ程度の脳みそしか持ち合わせてはいないらしいなノミ雪原のダニめ」


 やばい、切れそう。


「あ、あの」


 そこで手を上げるサヤ。


「どうしたのだね女神」

「その女神ってなんなんですか?」

「君の事だよマイエンジェル。私は貴方の魂だけを追い求めてこの数千年を生きてきた。そこにいるルーヴィスがストーカー初心者だとすれば私はプロだ。安心してくれ。私はストーキングに関しては歴代最高の腕を持つストーカー神として崇められている。君の下着コレクションはもう棚一面を埋めつくしているからな」


 何を安心すんだよ。

 キモイだけだろうが。


「………は………はい。………そ、そうなんですね」


 引いている。


「安心して身を委ねたまえ。いや、身を委ねるのは私だ。デュフフ」

「悪いが俺はパスだ」


 そう言ってこの気持ちの悪い集まりが抜けることにする。


「女神よ」

「は、はい」

「私と共に来ないか?私ならば君を素敵な女性にすることが出来る。あのダニも君を見ることになるほどの綺麗な美しい」


 言葉の途中だがサヤの腕を掴む。


「もう一度言ってやる。お前の信頼はもうない。こんな奴の言うことを聞いて信頼を取り戻せると思うな?取り戻したければ自分で頑張れよ」

「………」


 俯く。


「お前こそ分かっているのか?抱かない、とそういうのだな?ダニ」


 変態の声音が変わる。


「あぁ」

「後悔するなよ?お前その言葉」


 変態の顔色までが変わる。

 その顔はくだらないことを話しているくせに真剣さだけがある。


「分かった。穏便に済ませようと思ったがお前がその気なのならば私も力を振るおう。必ずやお前と女神を結ばせる 。私の全身全霊をかけてな!」


 そんなことに全力を出すな。


「ではまた会おう。私は占星術師。星の力を借りればどんなことだってできる。女神よ、君の願いを私が全力で叶えよう」


 そう言って姿を消す変態。

 あのうざさで毎回現れては身が持たない。

 早く対策しないとな。


 それにしても俺には転生魔法周りの用意がすべてできなかったから、と頼ったのは失敗だったか。

 あの時はここまで厄介な存在になるとは思わなかった。

何時も読んでくださってありがとうございます。

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[良い点] 行き詰まると、放り投げてエタる腰抜けも居ますが、 この作者さんは頑張っていると思います。 陰ながら応援しています。 [一言] 雑記です サヤの問題点 ·主人公を裏切った事 ·裏切った後の言…
[一言] サヤの救済ルートじゃないなら最後まで貫いて欲しい
[一言] 勇者も処理したし保護したサヤにこれ以上辛く当たり続けてるとサーガも勇者と変わらない奴に見えてきそうなのでそろそろ他のヒロイン達と同じようにしてあげればいいんじゃないでしょうか? 勇者にサヤを…
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