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66話 前世から

 いきなりのことに戸惑っていたがそれでもビクティが口を開いた。


「え?つまり私が前世からダーリンと結ばれてたってこと?」


 頷くウザ男。


「そうなのだよ。君らは前世から結ばれていた」

「え?!まじ嬉しいんだけど♡」


 抱きついてくるビクティ。


「狼、貴様には説明したな?サヤに魂が宿るようにした、と。しかし、それではサヤの一人勝ちが確定してしまう。それではつまらないと考えた私は術式をいじりこの形に変えた。お前の事だ、どうせ中身があの子で外見があの子なら絶対に選ぶはずだからな。私はお前の望む通りに現実が運ぶことだけは許せないのだ」


 こいつ、性格が悪すぎる。


「なら俺が勇者にやってきたのは………」

「性格が悪いな狼」


 お前に言われたくないな。


「え?もしかしてダーリン私のこの見た目嫌いなん?」

「いや、もういい」


 これ以外のお前は想像できない。

 それに合点がいった。


 そういうことか、こいつとはたまに深いところで結ばれていると感じることがあった理由が分かった。


「ちなみにサヤに宿らせたのは私の想い人の魂だ」


 そう宣言する男。


「嫌いな君に何度も愛させようと思ったがお前が根暗過ぎて奪われていたのは鼻で笑ったがあれはあれで悪くなかった。何度も何度も行為を見させられるのは………はぁ………。まさに手垢だらけの女神………」

「キモ」


 ビクティが引き始めた。


「だが彼女はお陰で包容力を間違いなく上げただろう」


 そう言うメリオルダス。


「とまぁ、ここまで説明をした。魔王城に戻るか、奴らにも説明せねばならんからな。私が何をしているのかについて」


 黙ってビクティに目をやる。


「連れてきてもいい。もう知ってしまったのだ仲間外れにすることもなかろう?」


 そうだな。こいつが全部話してしまった。念の為連れていこうか。



「あっ!あん時のオカマと赤い男!」


 魔王城についてサーラとハンニバルを見たビクティの反応がこれだった。


「ひははは活きのいい女だな」

「あ〜この子がルーちゃんのお嫁さんなの〜?私の方が可愛いわよ」


 それはない。

 そう思いながらメリオルダスについて行く。


「魔王様、戻ったよ」

「そうか。続きについて話せ」


 メリオルダスが頷いて口を開き始める。


「最初に言う事としては世話になった、ということだ」

「どういうことだ?」


 訊ね返すサタン。


「私は四天王の座を明け渡す」


 突然の宣言。


「ど、どういうことだ?」

「四天王の座などに興味はない。私は寝て起きて3食食べさせてもらって、授乳してもらい、女神に介護される日々だけを望んでいる。単刀直入に言って働きたくない。そこのダニ雪原のゴミに協力したのもそいつが役に立つと思ったからだ」

「キモイなお前」


 サタンにもそう言われている。


「そのために私は石を投げ続ける。だから離脱するとそう言ったのだよ」


 メリオルダスは何かの魔法を起動した。

 そこに移るのは星空………か?


「星を操り運命を変える。それが占星術師………」


 そう言い奴は文字通りその星空に石を投げた。するとゴゴゴゴゴ!!!!!!!!


「な、何だこの揺れ!」


 サタンが叫んだが数秒後すぐにやんだ。

 と思えば


「な、何ですか?!ここは!」


 サヤがそこにいた。


「おうふ………愛しの女神………」


 そう言ってサヤに跪くメリオルダス。


「だ、誰ですか?!」

「私は貴方様の騎士」

「そんなの知りません!」


 そう言われてなお興奮しているメリオルダス。


「はぁぁぁぁぁ………お母さん………私を育ててくれ。授にゅ………ぶふぉっ!」

「キモイんだよ」


 メリオルダスをケリつけて黙らせる。


「君には言われたくない」


 そのやり取りで俺に気付いたサヤ。


「さ、サーガさん?こ、ここは?」

「お前の新しい居場所だろ」

「そうだ。ママ。ママは私を育てる役目が………」


 相変わらずキモイことを口にしている男。

 しかし………不味いなこれは。


 こいつの占星術、本物だ。

 占星術で何処まで出来るのかは知らないがサヤをここに呼び付けることは出来るのか。


「………」


 サヤが無言で後ずさる。


「まだだめか………」


 ヤレヤレと首を横に振るメリオルダス。

 奴はまた星空に小石を投げた。

 すると消えるサヤ。


「もっともっと他の男に寝盗らせて私のママになれるように経験を積まさねば………それまでは死ねん」


 そのキモイ目的のためにあいつを振り回すのはやめてやれ。

 俺たちをもう一度見てくるメリオルダス。


「という事だ。私はこのように石を投げ続ける。その過程で災害が起きるかもしれないが我慢してくれ。ではな」


 そう言ってどこかへ行ってしまうメリオルダス。


「ルーヴィス」


 俺に声をかけてきたサタン。


「もう分かっていると思うが今回の話はあいつについてなのじゃ。あいつが投げた小石が原因であらゆるところで問題が発生していてな。お前にあいつを止めて欲しい」

「………」

「石の投げ方によってはお前の生活にも影響が出るだろう。私達も動くがお前にも動いて欲しい」


 また厄介事か………それにしても。


「分かったよ。見つけ出して黙らせる」


 やっと掴んだ平穏をあんな下らない奴のために手放す訳にもいかないな。




「四天王ってすっげぇ個性的なのばっかっしょ」


 そう言ってくるビクティ。


「そうだな」

「ダーリンと赤髪は普通だけどオカマとあのキモイおっさんはまじ変わってる」


 あの二人もお前には言われたくないと思ってるかもな。

 それにしても………あいつのせいか。


 あいつが嫌がらせで術式さえ弄らなければ………こんなことにはなっていなかっのか。

 そう考えると段々と腹が立ってくる。


 恩はあるがそれでもあいつは本当にやっちゃいけない嫌がらせをしてきた。

 あいつがいらないことをしなければ俺はこいつの気持ちに早々に答えてやれてたわけだし。


「あいつを潰す」

「え?どったの?」

「あいつを潰す。俺を駒として動かしていたのが何となく腹立つ」


 あの変態にだけは弄ばれたくない。


「後悔させてやる」


 別に勇者ほどまではやらないが懲らしめるくらいはやってやらないと気が済まないなこれは。

 それに石を投げ続けられればどうなるのか分からないのも問題だ。


いつも読んでくださってありがとうございます。


並行して新連載を始めたのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。

憎しみ9999のネクロマンサーは黒の英雄として無双する~使い魔を増やしてたら魔王にすら手が出せない最強の軍団が出来ました~

https://ncode.syosetu.com/n8211gc/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 聖女の魂の件 コイツに助力を得たのなら、 まあしょうがないかな···と諦めてしまう、 どうしようもない変態ですね。 とても濃いキャラで、 周りの反応もエッジが効いていて、良いと思います。 …
[一言] メリ何とかが来てから、一気につまんなくなった
[一言] 諸悪の顕現がシャア的マザコンかつ寝取られ趣味だった件
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