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47話 作戦開始

 リディアが眠りについたのを確認してから俺はテレポを使ってゴブリンの森、その奥にいるサーラの所まで来た。

 これからの事について相談するためだ。


「あーらファントムちゃん来てくれたのね」


 相変わらず気持ち悪い話し方をするやつだが………そんなことを考えていた時だった。

 意外な奴の気配を感じた。


「勇者が来てるな」

「そうなのよん。あのパツキン君ファントムちゃんをどうしても出し抜きたいみたいでねー」


 俺の横で右手の親指と人差し指をくっつけて丸を作るとそこを覗き込むサーラ。

 それにしても勇者がこんなに早くに行動することは予想していなかった。


「お前あいつについてどう思う?」

「すごいそそるわ〜。あのイキリ散らしている勇者君を力でねじ伏せてみたいわ〜」


 そんなことを言い出すサーラ。

 そうか。


「好きにしていい」

「いいの?なら存分に犯しちゃうわよ?タイプなのよねんあんな子。あんな子が悶えて泣き叫ぶ姿が見たいわ」


 あいつの事だ。

 そんなことされたら憤死ものだろう。


 実際には死にはしないだろうがそれでもそれくらいのダメージにはなるだろう。


「で、そのあとはどうするつもりなの?もちのろんファントムちゃんくるのよね?」


 黙って頷く。

 当たり前の話だ。


「俺は後でギルドの連中も連れてここに来る予定だ。ギルド………特にギルドマスターが見ている前でお前を撃退し勇者を救い出すのなら俺の評価は更に上がるだろう。そしてボコボコにされた勇者の評価は下がる、と」


 王様はいつでも出発していい、そして作戦にあたってはギルドの人間を使っていいとも言ってくれている。

 だからこそ意外だったのだこんなに早く勇者が動くのは。


 奴らは単体のパーティで動いているから。

 ギルドや勇者パーティ以外の人間を連れていない。

 単独で動いている。


 見通しが甘すぎるが、だがその馬鹿な行動のお陰で作戦が有利に進む。

 もっとも


『くそ!俺たちだけで四天王を倒して馬鹿にしてきた奴らを見返すぞ!』

『そうですよ!クロイツ!私達が勇者パーティだってことをみんなに改めて認識させるんです!』


 サヤがそう言って鼓舞する。


『そうですわよ!クロイツ様!私たちで四天王を倒すんです!』


 シャーロットもそのボコボコに殴られて少し赤くなった顔でそんなことを言っている。

 可哀想なものだな。


 どうやって騙されてこのパーティに入ったのか気になるところだ。まぁ今は知りたくもないが。

 

 それにしてもこのように奴らも考え無しに単騎特攻を仕掛けているわけではないらしい。

 奴らの観察を終えて目の前の変態に目を戻す。


「分かったわ。私達はただファントムちゃんを応援するだけだからね。でもこれが終わったら………」


 俺を見てくるサーラ。


「これが終わったらなんだよ」

「私とファントムちゃんは結婚すべきなのよ」

「冗談は顔だけにしろよ」


 何を言い出すのかと思えばそんなことか。


「悪いが俺にそっちの趣味はない。勇者で遊んでろ」

「きぃぃぃぃ!!!分かったわよ!あの子で我慢するわよ!」


 俺までお前の趣味に巻き込むな。


「でも、私はこの生涯をかけてファントムちゃんとイチャイチャするために全てをかけてきたのよ」


 こんなことを言っているが俺のことを好いているわけではない。

 ただ単に俺のスタイルが好みで自分の欲求を満たしたいだけだ。


「きぃぃぃぃ!!!その痩せた脇腹を舐め回したいのに!!!!」

「勘弁してくれ」


 そう口にして首を横に振る。

 こいつに触られるのだけは勘弁して欲しいものだ。


 さて、これ以上長居しても話すことも無いしこいつが何をしでかすか分からない。


「では、話したとおりに動いてもらうぞ」

「まっかせてー♡」


 両手でハートマークを作り気持ち悪いポーズで返事をしてくるサーラ。

 勘弁して欲しいものだ。



 俺は翌日。

 王城まで来ていた。

 王室。そこで王と話を進める。


「どうしたんだ?サーガそんなに真面目な顔をして、いやお前はいつも真面目な顔をしているな」


 そう言っているが真顔だ。

 別に特段真面目な顔をしているつもりはない。


「王」


 俺は1歩前に出て王の前で1度礼をした。

 それから口を開く。


「何だ?」

「これから四天王サーラの討伐に向かいたいと思っています」

「真か?準備は出来たのか?」


 黙って頷く。


「はい。それで討伐に向かうのでギルドの人手を貸してほしいと思いまして」

「そういうことか。ギルドマスター同行してやれ」


 シャロに命令を出すシド王。


「はい。分かりました王」


 そう言ってシャロが俺の横に歩いてくる。


「ついに決心したんだなサーガ」


 その言葉に頷く。


「それでこそ私たちのサーガだ」


 いつの間にか俺はシャロ達のものになっていたらしい。


「はぁ?違うし私のダーリンだし」


 何故かそれに対抗しだすビクティ。


「ダーリンさんは私のものですけど?!」


 サーシャまでが乗ってくる。

 いや、この流れは………


「わ、私はサーガ様のものです」


 何故か流れから離れて俺のものになってくるルゼルに


「違うもん。私のサーガだもん」


 そう口にするリディアに


「違う。師匠は私だけの師匠だ」


 そんなことまで言い出すポンコツ剣士。いや、今回はポンコツじゃないな。

 俺のことを師匠と呼ぶのはお前だけだ。


 だから俺はお前だけの師匠だからあながち間違ってはいない。

 と、そんなことを言い合っているのを見て笑うシド。


「ははは。いい仲間を持ったなサーガ」


 そう言って立ち上がるシド王は俺たち全員に目をやった。


「まったくもって………盗賊が四天王と戦うなど本来はありえないシチュエーションだがそれだけに面白い」


 そう言って俺たちを見回したシドは最後に俺に目をくれる。


「だが、それだけにどうなるのか非常に楽しみだサーガ。俺からの命令は1つ」


 指を1本立てて俺に見せつけてから口を開く。


「生きて帰れ。勇者と同じような真似だけはするな━━━━全員で帰ってこい」


 その言葉にビクティ達が「はい!」と返事をする。


「分かりました。それでは行ってきます王様」


 俺は最後に腰を折って王室を後にすることにした。

 さて、クロイツのケツを拭くのは癪だがこれも後に続くものだ。


 せいぜい無様に犯されて精神を破壊されていろ勇者。

 口をにやりと歪める。


 せいぜい最後まで足掻いてくれ勇者。

 出来れば俺が到着するまで足掻いてそれで俺の助けによって救われてくれ。


 お前の天下はそろそろ終わるだろうよ。勇者。




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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ王族にとって、勇者(の一族)は頭痛の種だったですからね。 「魔王への唯一のカウンターである勇者だから優遇しなければならない。犯罪行為を働いても握りつぶさないといけない」。これが、全ての…
[良い点] 王様がかっこよく見えた
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