41話 大変な朝になった
「ダーリン♡起きてよダーリン♡」
翌日俺はビクティに起こされて起きることになった。
まさかこいつに起こされる日が来るとはな。
「昨日まーじやばかったね♡」
「………」
黙って起き上がる。
「寝癖付いてるよ♡」
ところでエルザはどこに行ったのか。見当たらないがそう遠くにも行っていないだろう。
「ふひひひ………ダーリンさん………」
ビクティが俺の寝癖を指摘する横で爆睡中のサーシャがむにゃむにゃ寝言を口にし始めた。
「そうそこです………そここそが奴らの本拠地………世界の終わり、ここには世界の闇が渦巻いていますが………私はもうダメです………置いて行ってください………世界を救うんでしょう?」
お前の頭の中は本当にどうなってるんだ。
「くっ………私は先程のダークジェノバの攻撃により足が………置いていってください………貴方の描く未来に私はいないでしょう………いや、私は不要なんですよ。この暗黒に呑まれた女騎士サーシャなんて。貴方の横に立つ資格はありません!!」
邪なる聖者とか黄昏の聖女とか聖女(肩ゴリラ)とか言っていたのに闇に堕ちたか。
お前に何があった。
「光の戦士である貴方の横に立つ資格なんて闇の戦士である私には………ないんですよ………さぁ行ってください………ってダーリンさん、何を?私に手を伸ばしてどうするというのですか?!闇に呑まれてしまいますよ?!」
「ねね、ダーリン。この子すげぇ寝言すげぇよね。エルフってこんなもんなの?」
ビクティですら苦笑するサーシャの寝言の数々。
確かにインパクトが凄いがこいつと他のエルフは全然違うだろう。
「どんな夢見てるのかまじ気になるんですケドー。そだ。ダーリンの魔法でバビュッと中身見れたりしないの?」
「見てみるか?」
黙って見ていたが俺もどんな夢を見ればここまで寝言をむにゃむにゃというか、叫べるのか気になる。
「って、まじで見れんの?!」
「魔法リードを使えば見れるはずだ。その場合見たくも無いものを見る可能性もあるが」
前はサーシャのあれを見てしまったからな。
あんな事故になる可能性もある。
「そ、そんな!ダメですよ!ダーリンさん!ヒカセンである貴方がヤミセンの私に触れたら………あ………」
何が起きた?
光が闇に触れたらどうなるんだ?
「そんな………光が失われないんですか………?馬鹿な………光は闇に呑まれるはず………何故光を失わないんですか?!え?!!!『つながる心が俺たちの力なんですか?!!』」
誰に聞いているんだ?
「あ、あなたはプーモア老師!何故ここに!ふむふむ………なるほど。あの時の†聖なる契約†で私とダーリンさんが真なる意味で繋がり………心の繋がりが闇すらも断ち切ったですって?」
すごいなプーモア老師、物知りじゃないか。
というよりこの調子なら覗かなくても全部教えてくれそうだな。
「プーモア老師って誰?」
ビクティも聞いてきた。
「知らない。サーシャの頭の中に眠ってるって奴じゃないのか」
「あーそっち系かぁ。私ってばこの年でもうボケが始まってんのかと思っちゃった系だわ〜」
もう一度サーシャに目を戻す。
「『あの時王城でエロ本を探して花屋の店長を追い出してお店屋さんごっこをしだした20歳児のサーガも大人になったものじゃな』」
老師とやらの口調を真似て寝言を吐き出すという凄技をしているが、一切記憶にない。
「くっ………。ですが老師、私は闇の戦士でありもう闇に呑まれてしまいました。もうダーリンさんの横に立つ資格なんて………え?一つだけ方法がある?」
もうここまで聞いてしまった。
夢を見終わるまで観察することにするか。
「そ、それは何なんですか老師。私はもう一度ダーリンさんの横に立ちたい。そして………共に悪の組織【ダークソルジャーズ】を倒して未来を掴みたいんです。子供は8人くらい欲しいです!全員男の子でダーリンさんのクローンがいいです!私は逆ハーを作るんです!」
俺の身がもたない。
勘弁してくれ。
それに何だよ逆ハーって。
それに俺と同じ奴が8人とか気持ち悪いからやめてくれ。
「はぁ?!じゃあ私は子供10人くらい作るし!」
張り合うな。
「では、私は20人くらいといこう師匠」
その時ガチャりと扉が開き戻ってきたエルザ。
どこへ行っていたのかは知らないがお前も張り合うな。
それに言っていること分かってるのかこのポンケツ剣士。
脳みそまでポンコツなのか?昨日一番最初にダウンしたのを覚えていないのか?!
「失礼した。師匠。体を洗いに行っていたんだ。師匠の前では………いつも綺麗でいたいからな」
顔を赤くするエルザ。
俺は何と返せばいいのだ?
無言でいいのか?
「はぁ?あんたみたいな堅物ポンコツ剣士とダーリンが何度も何度もイチャイチャすると思ってる系なの?1億年早いですわよ系なんだけど?」
「むっ………貴殿のような歩くエロ本には言われたくない」
「喧嘩するな」
そう短く言っておくと2人とも謝ってきた。
「サーシャが起きるだろ」
2人が黙ったので俺は再度サーシャの観察を続けることにした。
「お、教えてください!老師!どうすれば私は助かるんですか?」
暫く黙って見ていると口を開くサーシャ。
何故か顔もニヤケている。
「そんなことでいいんですか?ふひひひ………」
何を言われたんだお前。
「私の心の闇を流すのに必要なのはダーリンさんの愛なのですね?分かりました。ひたすら〇〇〇〇し続ければいいんですね?1日3時間おきに?ですか」
「………」
万年発情していても厳しいだろそれは。
「ふひひひ………これでダーリンさんは私から離れられない。一生私だけを愛し続けるしかない訳ですね。3時間おきなんて私以外に構ってる暇はありません」
どういう設定でそうなったのだ。
「私の中の闇を浄化するにはヒカセンであるダーリンさんの聖なる浄化されし清く正しい完璧で一切の汚れがない聖水によってでしか清めることはできないのですね」
大層な言い方だがつまりあれでしか浄化出来ないという設定なのか。
「ふひひひ………これでダーリンさんは私のモノ………さぁ!ダーリンさん1回目の浄化の儀式を行いましょう!来て!」
来てじゃないんだが。
「ひゃあぁぁぁあ!!!!」
「ダーリン」
「師匠」
ビクティ達が俺に声をかけてきた。
「お楽しみのところ邪魔しちゃいけないんだと思うんだよね私」
「そうだな師匠。これは覗いていていいものでは無いと思う」
それには俺も同感だ。
そう思ったので今回のところは撤退することにする。
今日一話だけかもしれません。
申し訳ないです。
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