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38話 勇者への贈り物

 細かいテレポ先の場所はクロイツの弟の部屋。そのど真ん中だ。

 今は奴隷を小屋に取りに戻っているのか誰もいない。


 暫く待っていると


「ふんふんふーん♪お前は簡単に壊れんなよー?つまんないんだからなー」


 廊下からそんな声が聞こえてきた。

 どうやら戻ってきたらしいな。


 ガチャりと扉が開いた瞬間。


「だ、だr………」

「………」


 無言で弟に手刀を決め眠らせる。

 そうしてから担ぐと近くにいた何も話さない奴隷も連れて次の場所にテレポすることにした。

 次の場所は寂れた闘技場だ。


「がっ!」


 叩きつけるように弟を闘技場に投げ飛ばすと声を出しながら目覚めた。

 ここならどれだけ騒ごうが絶対に外に声が漏れない。


「だ、誰?!ここは………?!」


 俺に向かって問いかけてくる弟。


「お前に言ったところで意味があるか?」


 そう口にしながら後ろのゲートに控えた連中に向けて片腕を上げた。

 するとザッザッと土を踏んで何十人もの人間が闘技場にやってくる。


 俺がここに来るまでに寄り道して適当に集めた奴隷数十人。

 全員こいつの家と繋がりがあった連中だ。


「ひ、ひぃぃぃ!!!!な、何なんだよあいつらは!」


 得体の知れない場所で得体の知れない連中に囲まれたことで恐怖心が支配するらしい。


「おっと坊ちゃんお忘れですか?」


 そう言ったのは片目のない男。

 歳は18といったところか。


「お、お前何だよ………」

「この目を覚えていないですかい?」

「し、知らない!お前なんか知らない!」

「はは!はは!覚えていない?!これは傑作だ」


 笑い始める男。

 次に声を出したのは別の男だった。


「なら俺のことも覚えてないですか?」


 そう言ったのは左手の全ての指が普通は曲がらない方向に曲がった男。


「な、何だよその左手」

「これは坊ちゃんがやってくれたもんですよ。『人間の指って何処まで曲がるんだろー♪』ってやってくれたじゃないですか?お陰様で使い物になりませんよ」

「し、知らない!そんなの知らない!」


 弟が後ずさり始める。

 そのあとも自己紹介が続いた。

 奇遇にもこいつと縁のある奴らばかりだった。


 俺としては適当に連れてきた奴らだからこんなにも繋がりのある奴らばかりいるのは意外だった。

 だがそういうことはそれだけこいつに借りがある奴が多いということか。


 そうして最後のやつが自己紹介を終えた。


「ははっ!お前ら聞いたか?!坊ちゃん俺達のこと誰も覚えてないらしいぜ?!」

「きぃぃぃ!!!俺なんて顔を火で炙られたのになぁ!見てくれよこの爛れた肌!坊ちゃんにやられたってのにな!覚えてくれてないなんて片思いだったみたいだ!」

「ぎゃははは!!こんなインパクトのある顔面ですら覚えてらっしゃらないとは流石人の上に立つ坊ちゃんは違いますなぁ」


 ここに来て足を震わせ始める弟。

 ようやく理解したらしい。


「な、なぁ………金ならいくらでもやる」


 そう言って俺に近寄ってくる弟。


「あんたが何者かなんて知らない。でも僕の部屋にいつの間にかいたんだ。ここから連れ帰れるんだろ?僕を、た、助けてくれ」

「………」


 無言で見つめ返す。


「このままじゃ殺される。あいつら全員僕に恨みがあるんだ殺される………助けてくれ。ぼ、僕が死ねばどうなるか分かってるのか?」

「どうなるんだ?気になるから是非とも教えてくれないか?」


 笑顔で返してみる。


「お、お前らなんて………死んじゃうぞ………?」


 震える声に力なんて篭っていない。


「安心しろよそんな事にはならない」


 そう告げると俺は奴隷達に指示を出した。

 内容は簡単なものだ。


「好きにしていい」

「本当ですかい?!旦那!」

「なら俺はとりあえずこいつを汚しますぜ!」

「ま、待って………」


 俺に手を伸ばす弟。


「無様に這いつくばって許しを乞う姿を見せてくれ」


 そう返し少し離れたところで見守ることにする。


「や、やめろ………やめろぉぉぉぉ!!!!」


 弟が全てを奪われ始める。


「流石貴族の坊ちゃんだな!肌がすべすべだ!」

「あぁ、この生意気な口塞いでやりたがったんだよなぁ!旦那ぁ!感謝するぜぇ!俺は今幸せもんだ!」

「がっ!」


 弟が殴られる。


「ぼ、僕にこんなことしてただで済むと思うなよ?!お前ら!それにこんな場所だ!声を出せば!」

「半径1km以内に俺達以外の人間はいない」


 弟の顔が絶望の色に染る。


「お、お前………何者なんだ………」


 その質問には答えずに事の始終を黙って見守ることにした。

 初めは抵抗していた弟だったが指を折られ歯を折られ、体を傷付けられる度に、抵抗をやめ許しを乞うようになっていた。


「も、もう………やめて………ください………死んでしまいます………」

「そうなんですか!死んでしまうんですか!大変ですね坊ちゃん!」

「おい、坊ちゃんが死んでしまうらしいぞお前ら!」


 奴隷達が声を上げ始める。

 それで一旦離れる奴隷達。


 何もするつもりもないのか動かない奴隷達を見てから俺は近付く。


「死にそうだな」

「た、助けて………ください………ここであったことは誰にも話しませんから」

「そうか」


 ナイフを取り出すと体に突き立てた。

 文字を刻み込む。


「お前にはこれといった恨みはないが」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ぎゃぁぁぁあ!!!!!」

「言ったよな?無様に這いつくばって許しを乞え、と」


 ナイフを離す。


「許して………もう許して………」

「だが俺はそれで許すとは言っていない。無様に這いつくばって無惨に死んでくれ。それがお前への願いだ」

「そ、そんな………」


 もう一度ナイフを突き刺して文字を刻んでいく。

 そのあとも弟の絶叫だけが響き渡った。

 

 これを見た時勇者、お前はどんな顔を見せてくれるんだ?

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