11、厄介事ばかり
表紙とキャラデザ→https://twitter.com/airs0083sdm/status/1248810767278682115
なんとなく想像はついていたが、ニコやスウェンの反応は酷かった。着替えを済ませて揃って茶の席に着くと、彼とは姉さんの館で偶然会ったのだと事実をいくらかぼかして説明したのだが、ニコはライナルトが私の婚約者候補だったと知ると絶句した様子で叫んだのだ。
「奥様、あれを断ったんですか!?」
そうだよ断ったんだよ。ライナルトがいるわけではないので、いかな美形も話の話題にあがればアレ呼ばわりである。
彼女は私の事情を知らないし、本当にカミル氏を選んだと思っているから心底理解できないといった様子だ。一方でスウェンはエマから事情を聞いているから複雑そうである。事実は話せないし、本来なら侍女であるニコを同席させるべきではないのかもしれないが、彼女を置いていってしまった手前、そしてなにより歳も近いという理由から同じテーブルを囲んでいた。ニコは確かにおしゃべり好きで隠し事が苦手そうな娘だが、朗らかで明るいぶん場の雰囲気が良くなるのだ。ヘンリック夫人は仕事があるのでこの場にはいないが、苦言を呈することはないだろう。
「…………奥様の趣味って変わってますねえ」
「わかってるからしみじみと言わないで頂戴」
「でもぉ……」
このように主人に対しても既に遠慮がない。私とスウェンの様子を窺っては自身のお茶に砂糖を追加しているのもちゃっかりしているが、山盛り五杯も入れて甘ったるくないのだろうか。
「ライナルト様、奥様に向ける眼差しがとてもお優しかったですよ。きっと奥様のことがお好きなんじゃないでしょうか」
「そりゃ嫌われる理由はないでしょう」
「へぁ」
「無礼……は、働いたけど怒ってる感じじゃなさそうだったし、会って二回目でどうやって嫌われたらいいのかしら。そしてその好きは別に恋だ愛だってわけじゃないのよ」
私は陛下の寵愛を受けるサブロヴァ夫人が可愛がる妹なのだ。優しくするし気も遣うだろうという考えは寂しいだろうか。でも除外できない要素なのだから仕方が無い。
「でもでもー、すっごく格好良かったのに……」
「はいはい。あの人が格好いいのは認めるけど、聞きようによっては不義を勧めるわけになるのだから止めましょうね。あなたのことだから他意はないのはわかってるけど、知らない人に聞かれたら問題よ」
「そーゆーつもりはないんですけどぉ」
「それにヘンリック夫人に聞かれたらあとが怖いんじゃないかしら」
ヘンリック夫人の名前を出すとようやく静まったのだから相当である。
そして先ほどから黙りこくっているスウェンには忠告だ。
「スウェンも、編入手続きは上手くいきそうなのでしょう? 口の利き方には気をつけなさいな」
「気をつけてるけどずっとは無理だ。カレンだってたまに崩れるじゃないか」
「私は時と場合を選んでます。少なくとも学校じゃ指を立ててコレか、なんて聞きません」
「それは悪かったけどさ……。なんか、やめろよ」
「やめろよって、なにが」
「言い方が母さんみたいだった。妙な気分になるからやめてくれ」
「じゃあ言われるような事しないでちょうだい」
「だーかーらーさー……そういうの!」
スウェンは田舎育ちかつエマ先生が奔放に育てたためか、作法に疎い傾向がある。一応はきちんと仕込まれているらしいが、いまのところテーブルに肘をつきながら茶を啜る姿しか見たことない。
……というか、私、そんなにおばちゃんくさかったのだろうか。実年齢はともかく、それはそれでショックなんだけど。
「スウェンってばなんか頼りないんだもの。学校の先輩として心配」
「退学してるだろ」
「退学してても先輩は先輩です」
そういうことにさせてもらおう。年齢的にはお姉さんだ。
「ところでニコ、明日なんだけど」
「あっ、はいはいはい。お出かけされますよね、どこでもお付き合いしますよぅ」
「あなたの希望は劇場や服飾店なんだろうけど……」
「お菓子でもいいですよ!」
……やー……元気いっぱいだなあ。私はそんな風に目をキラキラと輝かせる少女の希望を打ち砕かねばならないのだけど。
「実家と友人の家に行くんだけど、一緒に来る勇気はあるかしら」
ニコの笑顔が固まり、そのまま首を横に振った。いくらのんびり屋の彼女でもコンラート伯の侍女がキルステンに赴くという愚かさは理解できるらしい。きっとあなたへの風当たりが強いけどいいかしら、と尋ねる手間が省けた。彼女が付いてきても馬車で待っていてもらうのが関の山である。
とはいえ、都の賑わいを期待してやってきた少女に館に籠もっていろというのも酷だ。
「じゃあスウェンと一緒にお使いをお願いしたいのだけど」
「は? 僕は編入の準備があるんだけど」
「嘘つきなさい。必要な教材は全部準備済みだって夫人から聞いてるんだから。それにどうせ図書館で本を漁るのだろうから、籠もりきりにならないようにって伯から言われてるの」
「げえ」
「別に難しいお使いなんて頼まないわ。ニコには代わりにお土産を見て来てほしいだけだし、スウェンはこちらで暮らすのなら地理を把握しておくべきよ」
話の流れの通りだが、私が出かけている間にスウェンは学校の編入を決めたようだ。本人は小さな部屋を借りた一人暮らしを希望しているが、許可は下りないだろう。ヘンリック夫人曰く、新たに人を雇ってスウェンをこの館に住ませるか、親戚の家に預ける方向で考えているようだ。
「奥様は一人で大丈夫なんですか?」
「知らない場所には行かないだろうし……戻りが遅くても気にしないでね。兄といるか学校の友人と会ってるだけだから」
兄に会わねばならない用件の中身を思い出すと、せっかく向上した気分も台無しだ。憂鬱なため息を吐いた私をどう感じたか、スウェンは心配そうに顔色をうかがってくる。これでいて、ライナルトと帰ってきた点について思うところがあったのだろう。
「厄介事か?」
「ええ、とても面倒な厄介事。……私のことじゃないから大丈夫よ。ただ、放っておくのはできなさそうだから、できる限りのことはやってくる」
「…………ヘンリック夫人に相談しろよ」
「ええ、そうさせてもらうわね」
スウェンにはそう返事をしたが、これは嘘である。
ニコとスウェンには行ってきてほしい店を伝えたが、なるべく見て楽しい店を選んだつもりなので明日はゆっくり遊んでこれるだろう。二人は幼馴染みらしいので気心知れているだろうし、楽しい思い出作りになってくれたら幸いだ。
お茶会が解散となり、夕餉も済ませてヘンリック夫人の手が空いたところで彼女には部屋に来てもらった。私から訪ねても良かったが、どこに人の耳があるかわからないので安全性を取ったのだ。
きっと、屋敷に戻ってきた時からなにかあるとは感じていたのだろう。呼び出しにも慌てず騒がず佇む夫人に、一つお願い事をした。
「詳細は言えないのですけど、コンラート伯の力でダンスト家について調べてもらいたいのです。コンラート伯に伝えていただくのは可能ですか」
「……ダンスト、というとキルステンの本家でしょうか」
「はい、ご存じでしたか」
「知識程度ですが。……ご用件を旦那様にお伝えするのは承りましたが、僭越ながら確認いたします。そのように仰るからには、ご実家に頼るわけにはいかないのですね」
「頼れない、ですね……」
「旦那様からは何かあれば奥様の力になるようにと仰せつかっています。ですので、希望されるのでしたらもちろんご助力いたしますが……」
「ありがとう。ええ、言いたいことはわかってます」
ヘンリック夫人の反応からして、なにかしら問題があるかもしれないのはカミル氏も見越していたのだろう。相談に乗るよと夫人は案じてくれていて、私もこの秘密を誰かにぶちまけてしまいたい気持ちがあるのだが、流石に喋るわけにはいかない。単なる愚痴にしたって、いち使用人が抱えるには重たすぎる秘密だからだ。
「……できれば相談したい。誰かに話を聞いてほしいけど、話すにも伯に相談してからでないと難しい内容なんです。夫人は聞かない方がいいと思う」
夫人は長年カミル氏の下にいただけあって、この言葉で重大な内容だと悟ってくれたようだ。
「ダンスト家については旦那様のお許しさえいただければ、すぐに調べがつけられるでしょうが……奥様」
「なんでしょう」
「……差し出がましいのは承知でおたずねします。ローデンヴァルトのあの次男に関わる話では……ございませんね?」
「え? そちらはご助言いただいただけで関係ないけど……」
「そうですか。……いえ、気になさらないでください」
そう言われて気にならない人がいるだろうか。しかし夫人は「何でもない」とだけ告げると早々に部屋を退散してしまったのだ。
うーん? 夫人って案外事情通なのだろうか。カミル氏の古参の使用人みたいだし、都の地理にも詳しいのだからこちらに住んでいたはずだ。コンラート伯の家令のウェイトリーさんとヘンリック夫人だけは佇まいからして他の使用人とは一線を画しているし、カミル氏からの信頼も厚い。
……ああ、知りたいことが多すぎて思考が追いついてないな。
今日到着したばかりの馴染みの薄い部屋をぐるりと見渡すと、コンラート伯の館よりも幾分豪奢な調度品が目に飛び込む。壁掛けの絵画の縁は金の装飾、寝台も天蓋付きと無駄に豪華極まりないが、どれもこれも年代品だ。使い込まれた形跡が残っており、大事に使われていたのが窺い知れる。気晴らしに窓を開くとやや冷たい空気が流れ込み、湿気混じりの雨の匂いが鼻腔をついた。明日はニコとスウェンにお使いを頼んだが、果たして雨は止んでくれるだろうか。このまま降り続ければ霧が濃くなり出かけるのも困難を極めるだろう。私はもう楽しい帰省を諦めているけれど、年頃の少年少女は喜ばしい思い出を作ってもいいはずだ。
「いいことっていったら新しい装飾品を手に入れたくらいだし」
あとは、ライナルトが存外話しやすい御仁だとわかったくらいだろうか。でも、改めて彼の人となりを思うと首を捻りたくなるような行動も多い。
確かに親切で優しい人ではあったのだけど……なんか腑に落ちないのだよね。姉さんにも話したけど、伴侶に興味がありそうな人には感じないのだ。それは彼と共に外を歩いた時点でいくらか確信している。大体、次男とはいえど彼ほどの貴族がまだ独身って言うのも疑問。ローデンヴァルトくらいの家なら婚約者くらいいたはずだろう。うちの兄でさえいるんだし。
「わからないなあ」
何度目かわからないため息を吐いて窓を閉じると寝台の上に横たわった。
これ以上考えるのはなしだ。なぜって、雨のせいで横抱きに抱えられたあの時の事を思い出して頬が熱を持ってきたからである。誰もいなくてよかった、クッションを抱いて瞼を下ろす。
「……こんなのじゃなければ、喜んで婚約してたのかなぁ」
私は生まれたときから私として自覚をしていたけれど、もし日本人としての私の記憶を有せず生まれていたのならと考える時はある。
例えば十四の頃の…………。
…………だめだ、寝よう。今日は色々ありすぎたのだ、疲れきっている。身体も睡眠を求めているのか、意識も睡魔に抵抗できないようだ。
眠りに落ちる直前、ミスを思い出した。
「ハンカチ、返してなかったな……」
寝具をかぶって寝なければならなかったのに、うっかりそのまま寝てしまったのも過ちの一つである。翌朝になると少し咳き込む私をニコが心配そうに見つめていた。
「寒かったのなら毛布をお持ちしたのに……」
「……ただのうっかりだから」
「駄目ですよぉ。ただでさえ昨日は濡れて帰ってきたんですから。年下のスウェン様だってもうちょっと気をつけられますよ」
「はい、ごめんなさい。自分のうかつさを身にしみて実感してます。だから小言は勘弁して……」
「ニコは奥様の侍女ですし、大事な話なんだから小言はやめませんよぉ。二日続けて置いて行かれちゃうけど、奥様の侍女ですし!」
「あ、けっこう根に持ってる」
ニコに注意されつつ鼻をかむ姿に、ヘンリック夫人はややまなじりをつり上げつつ温かい薬草茶と薬を用意してくれた。温かい衿巻や外套を用意してくれたおかげで出かける頃には鼻水も落ち着いていたのだが、こんな調子だから外出は反対気味だった。
「体調が優れないのなら出かけるべきではありません。ただでさえ霧が出ているというのに……」
「今日は馬車移動にしますから許してください。終わったら大人しく寝ますので」
日本と違って、そもそも病気気味の人は家で安静にするのが基本だ。たかが咳だけといっても例外はない。とはいえ、私の用事を思えば寝台に縛り付けるわけにもいかず、不承不承ながらも見送りに出てきてくれたのであった。
「友人とは長時間会うのを避けます。なるべく早めに帰ってきますので……」
「エルネスタ様でしたか。確か魔導院の方でございますね」
「ええ、正確にはこれから魔導院入りするんですけど、いまなら暇だからいつでも空いてると」
エルには借りたお金を返したり現状を報告せねばならなかった。合間に手紙を出してはいたし、コンラート領を出発するぎりぎり前で返事がきたのでおおよそは把握しているだろうが……やはり顔は見ておきたい。こんな私でも数少ない友人くらいは大事にするのである。
できれば夕食を一緒にとりたかったが、風邪気味ではエルにも迷惑をかける。兄さんが出かけるであろう時間にはまだ余裕があるし、予定を変更して先にエルの実家近くに馬車を移動してもらい彼女を訪ねたのだが、そこで思いもよらぬ事態に遭遇した。
「エルちゃんかい? いや、ちょっと前にご両親と店を畳んでどっか行っちまったよ。何処に行くのかは……聞いたんだけど濁されちゃってねえ……。魔導院? いや、エルちゃんやめるっていってたよ。なんかお家が大変だからって……」
なんとエルの両親が営んでいるはずの店がもぬけの殻だった。あまりのことに立ちすくんでいると近所の人が声を掛けてきてくれたのだが……。話を聞いてみたところ、エル自身の行方もわからないというのだ。
「は……」
エルの家は店舗兼実家だったから、ここ以外の場所を私は知らない。親戚もいるとは聞いていたが、国内の何処にいるかまでは把握してない。
彼女から返ってきた手紙を握りしめ、空っぽの店を食い入るように見つめた。
あ、だめだこれ。普通にショックだ。突然の婚約二択を迫られたときもここまで悲しくはならなかった。
近所の人から聞いた話を総合するに、出て行ったのは私に手紙を送った少し後だろうか。エルが私に嘘をつく理由はないから、きっと不測の事態だったのだと信じたいが――。
足取りがおぼつかないまま戻ったせいか御者には大層驚かれた。
「エルの行方も捜さないと……そうだ、あとで学校に問い合わせなきゃ」
どうしてこうも……不慮の事態というのは重なるのか。ああもう今日の予定をすべて切り上げてこのまま馬車を学校に走らせてしまいたい。けれど実家に……というより、兄さんに会わないわけにもいかない。あまりの歯がゆさに胸をかきむしりたい感情を抑えつけて、馬車の中で歯を食いしばる。馬が動きを停止するなり、出迎えも無視して扉を開け放った。
当主の三番目の子供の顔を見るなり引きつり顔を見せるキルステンの使用人達、玄関に入るなり兄の名前を呼んだ。
「アルノー兄さんはいらっしゃるかしらー!?」
この叫びには……これまでの諸々を含めた様々な感情と八つ当たりが含まれていたと思う。使用人が慌ただしく奥へ駆け込み、しばらくすると兄さんと兄さんの護衛兼乳兄弟のアヒムが共に姿を現した。連絡なしに来た上に、まさか私がキルステンに近寄るとは思っていなかったのだろう。驚愕に目を見開く兄さんは異父兄妹の名を呼ぼうとしたが、それよりも私が近寄る方が早かった。
「ねえちょっと、お兄様に聞きたいことがあるのですけど」
喉を締め上げるように両手で衿を掴んだのだ。アヒムが私を引き剥がそうとするが、渾身の力で兄を引き寄せ外まで連れて行く。感じ入るところがあったのか、兄さんは大人しく引きずられるようだ。
「アヒムはこれ以上近寄らないで。大事な話だから」
誰の耳にも届かない位置まで移動すると、兄さんを睨み付けたまま小声を出した。
「質問よ。兄さんは知ってた?」
「カ、カレン?」
「答えて、あの二人の関係を兄さんは知ってた?」
「ふた……? 待ってくれ、お前は一体なにを言っているんだ。……昨日の盗み聞きは悪かったと思ってる、ただ私も殿下に命令され……言い訳にしかならないのはわかってるが!」
「その殿下だってばっ」
「なにがだ、騙し討ちのようになってしまった件じゃないのか」
「それにも言いたいことはたくさんあるけどっ」
……兄さんの反応を観察するが、慌てふためく様は演技ではなさそうだ。私に悪いことをしたと思っているのは本当らしく、その証拠に衿を掴んだ指を離そうとはしない。決して気が弱いわけではなく、理不尽にこんな行動を起こされたのならすぐに抵抗する人だ。私の怒りを静めるため、あえてされるがままになっているのだろう。
ああ、ということはだ。
「……殿下と姉さんの関係」
「は?」
「ダヴィット殿下と姉さんよ。あの二人、不倫してるの知ってた?」
はじめは驚愕と、しばらくすると言葉の意味を理解した故の失笑だ。駄々を捏ねる子供を落ち着かせるように襟元に手を伸ばし、ゆっくりと私の指を外していく。己を律しようと深呼吸を繰り返し、やがて長兄らしい顔つきで妹を叱った。
「カレン、いくらなんでも不敬罪だ。言葉を改めなさい」
だが私は謝らない。不敬罪なのは百も承知であり、これ以上の言葉は難しくてひたりと兄を睨み続けた。
半分くらいは泣きも入っていただろうか。いっこうに頭を下げない私の様子を兄さんは訝しみ、段々と顔のパーツを奇怪に歪めていく。
「いや、お前……流石に冗談が酷すぎるだろ」
「冗談で、こんなことを、朝から、言いに来ると?」
「いやいやいや……だって……ほら、お前……いくらなんでも……」
人の目が怖いからうまくしゃべれない。本当はもっと人を避けて話すべきだったのだけれど、これ以上堪えきれなかったのだ。
「………………聞いちゃったんだけど」
「聞いた? なにを」
「仲良くしてる声」
ぼかして伝えたが、しばらくすると正しく意味は伝わったようだ。兄さんの時が止まった。息を忘れてしまった肉体に「ライナルトもいた」と付け加えるとヒュ、と喉が空気を通過する音がして、その無残な姿に確信した。
……………………本当に知らなかったのか、アルノー兄さん。
ごめん、実はちょっとグルなのかと疑ってた。
「……だからその件で相談を…………兄さん、ちょっと、ねえ兄さん聞いてよ」
金魚のように口を開閉させながら、白目を剥いた状態で後ろ向きに倒れていく成人男性の姿に、遠巻きながら見守っていたアヒムの叫びが響き渡った。
……私だって耐えたんだからもうちょっと頑張ってほしいところである。
評価、ブクマ等いつもありがとうございます。これで頑張れる。
不要なキャラは名前を出さないようにしてるのですが、やはりどうしても増えてしまう。
謎ばっかり増えてますがきちんと回収できますので少々お待ちください。