三題噺 超短編
オレの日課は庭に穴を掘ることだ。
死んだやつの骨をそこに隠すのだ。
死ぬまでずっと。
時々、近所の奴らが「陰惨な趣味だ」「アイツに近付くな」とオレの悪口を言うが構うものか。
誰に笑われても一向に構わない。
……しかし、こんな無意味なことをはじめたのは、子どもが家を出て行ってからだ。
冒険者になるとか何とか言って、飛び出したきりもう3年も会いに来ない。
だから、今日もオレは憎たらしい骨の野郎を、人目をはばかり穴に埋めてそれから、フードとやらをもらう為に父親の足元にすり寄っていく。
安楽椅子に腰かけた父親はオレの喉元を偉そうに撫でながら、
「お前も寂しいよなあ…」
とポツリと言った。
「バウ!」
ネコ野郎みたいにシュンとしてるので、おう、と力強く返事をしてやった。
「今日久しぶりにあいつから手紙が来てなあ…」、父は嬉しそうにそう言ったきり、メガネをかけて手元に視線を落とした。
「………」
今日のこいつはダメだ。
そう思った僕は、「バウ!!」とエサを催促してから陽の当たる庭へと駆け出した。
父はどうやら手紙とやらに夢中なようだ。
まあ元気ならそれでいいさ。
僕は前足を巧みに使い、一生懸命穴を掘る。死ぬまでずっと。
穴を掘っている姿は誰にも見られてはならない。そう決めた。当然、父親にもだ。けれど、いつかアイツが帰ってきたときには……。アイツがもっと幼かった頃よく遊んだ思い出に免じて…、この穴に埋めた宝物を見せてやっても構わない。
そして、アイツの前で高らかに吠えてやるのだ。
俺も元気にやってたぞ!と。




