24. 14歳 小枝探して三千里?
ただ今、世界樹の小枝を探しています。もう6ヶ月探していますが、見つかる気配がありません。
そして、ただ今、私自身の世界樹高度記録を更新中です。家に帰る事ができない日が続いています。
すでに、私のMy弓、の材料となる世界樹の小枝を探す捜索範囲は、日帰りできない程の高さにまで広がっています。もはや日帰りできません。
宿泊先は、捜索をした世界樹の枝付近のエルフの家です。人様の家ですが、私が世界樹の小枝を探している『パウロのところのエステル』だと分かると、快く宿泊させてくれます。
どうやら、弓のための小枝を探している子どもを宿泊させるのは、お互い様であるそうです。
「懐かしいなぁ。私も弓を探しているとき、君の家に泊まったことがあるのだよ」と、食事をしながら語ってくれました。14歳で、世界樹の小枝を探すというのは伝統なのでしょう。私に懐かしそうに語ってくれているのは、たぶん、世代でいえば、15、16世代前の方でしょうか。数千年前から続く伝統行事なようです。
世界樹のどこに自分のための小枝があるか分からない。そして、世界樹が巨大な故に、お互いフォローできる体勢が整ったということでしょうか。生き証人がいるので、助け合いの精神は忘れ去られることなく、残りやすいのでしょう。
それにしても、私の小枝はどこにあるのでしょうか。私も馬鹿ではありません。幸いにもご先祖様達がまだまだ現役な感じであるので、聞き込み調査をしました。
闇雲に世界樹を探しても見つからない可能性が高いです。世界樹の規模から考えたら、一本の小枝を探すなんて、砂浜の中から目的の砂粒を一つ探すようなものです。木を隠すなら森に隠せ、という諺がありますが、私の率直な感想を言わせてもらうと、歴代のご先祖様は、よく、その小枝を見つけることができたなぁという感じです。
まず私の考えた推論は、小枝がある場所って、もしかして血縁に関係があるのではないか、ということです。遺伝子、DNAっていうやつです。A型とO型の両親からは、B型は生まれないっていうことです。つまり、この一族の血を受け継ぐ人達のための小枝は、大体この辺りにある、というような傾向があるのではないか、という推論を立てました。
A型の人は几帳面だというような俗説があるように、この一族の人の弓の材料となる世界樹の小枝は、大体、27本目の枝付近にある、というような傾向があるのではないか、ということです。
家族への地道な聞き込み調査の末……どうやら、小枝の出現場所はランダムであるという結論に達しました。
前世で遺伝子とかの知識を持って生まれたから、チートの使いどころだと思ったのに、全然違いました……。
地道に探すしかないってことです。
母の実家にも行きました。母の実家で面白かったのは、雲よりも上の地帯にあるので、雨が降らないということです。水の確保が大変ということで、毎朝、世界樹の葉に溜まった朝露を集めるという作業をするのが大変興味深かったです。
世界樹も登れば、いろいろな生活様式があるのだぁと、まるで外国に旅行に行った気分です。
屋上に瓶を置いていたら、雨が降って勝手に水が貯まるパウロ家とは違います。もちろん、雨水は衛生的に問題があるので、殺菌という精霊術を使って、ちゃんと飲み水にしています。
あっ。ちなみに、飲み水として使うなら、一度沸騰させれば良いのではないか、熱処理すれば良いのではないかと思って、沸騰でも良いのではないかと提案をしたのですが、軽くあしらわれてしまいました。
雨水をそのまま飲むと危険なのは、細菌などが水に入っている可能性があるからで、それを殺すということであれば、沸騰という処理でも良いはずなのですが、どうもその辺りのことは知られていないようです。雨水を安全に飲める水にする精霊術が、殺菌ということらしいです。間違ってはいないと思うのですが、応用が利かないなぁというような感じです。
それはさておき、世界樹の小枝を探しはじめて七ヶ月目。本気で、「小枝探して三千里」というような雰囲気です。
って、どうやら私は、私のための世界樹の小枝を見つけたようです……。
いえ……正確に言うと、まだ見つけていません。
でも、呼ばれているような気がします。
私を呼んでいるような声がきこえます。そして、その声の方向へと行けば行くほど、その声は強く、そしてはっきりと聞こえてくるような気がします。
不思議な感覚です。私は、その声の方向へと移動していきます。家を建てるには少し手狭な枝です。若枝でしょうか。その枝から、私を呼ぶ声が聞こえて来ます。
耳を澄ましたら辛うじて聞こえるほどの声だったのが、今は、はっきりと聞こえます。




