1.0歳
私が目を覚ますと、私は宙づりにされていた。天地が逆さまだ。だが、眩しくて目を開けてられない。
「Εσθηρ Μη εκλαιεν αυτος, Μη εκλαιεν?」
「Θαρσει. Θαρσει. Αλλα καθευδει」
ん? 言葉のようなものが聞こえるけど、どう聴いても日本語じゃない。
パシ! パシッ! パシ! パシッ! パシ! パシッ!
痛い! 痛い! めっちゃ、お尻を叩かれてる! 痛い! 逆さ吊りにされて、お尻を叩かれている!!
「おぎゃ! おぎゃ! おんぎゃあ!」
あれ? 『助けて!』って叫んだつもりだけど、うまく舌が回らない。なんだろう。まるで赤ちゃんの産声みたいだ……。やばい……。
「おぎゃ! おぎゃ! おんぎゃ!」
「Εσθηρ εκλαιεν! Εσθηρ εκλαιεν!」
「Κεχαριτωυενη!!」
私が泣いて、みんな歓声をあげている。どうやら私を複数人で囲んでいるようだ。そして、みんな、私が泣いているのを喜んでいるし!
って、今度はお湯の中に入れられた! 逆さ吊りのあとは、水攻め! どんだけなの! こんな事が許されていいの?
「おぎゃ! おぎゃ! おんぎゃ!」
って、やっと目が光りになれてきた。って、めっちゃ巨人! 私を抱き上げているのは、めっちゃ巨人! 巨人のおっぱいが、私の頭の大きさを越えている! Hカップとかを遙かに超えている! 少なくとも四サイズ負けた! って、この女巨人は私を抱き上げてどうするつもりなんだ! もしかして、食べるのか!
「おぎゃ! おぎゃ! おんぎゃ!」
「Εσθηρ! Εσθηρ!」
女巨人が柔やかに笑いかけている! なんか、女巨人が言っている言葉、『デリシャス、デリシャス』って言っている気がする! 『おいしそう。おいしそう』って意味だっけ?
「おぎゃ! おぎゃ! おんぎゃ!」
つっ! 叫んでいたら口を塞がれた! 逆さ吊りの後は、水攻め! からの猿ぐつわか! 私に助けを呼ばせないつもりだ!
って、牛乳の味がする……。なんだか懐かしい味な気がする……。 あれ? 美味しい……。