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不死の不死者殺し  作者: 朝廷
2/4

第二話 師

普通って何だろう。

何時もあなたが何気なく送ってる日常。それは本当に普通なのかな?

これは普通の少年の物語。

ひたひたひたと音が聞こえる。

息を潜める。

「何処だぁ何処にいるぅ!」

俺のいる部屋の前を通りすぎる。

「はぁはぁ。行ったか……」

俺の体から汗が吹き出す。

「いったい何やってんだよ不死!」

俺の声は化け物二人と人間一人がいる学校に響き渡った。



俺の名前は桐生 俊哉。

何事もない普通の高校生だ。

身長普通。体重平均より少し重め。

部活バスケ部。エースとかでもなくスタメンとして試合に出ることもあった。

家族構成は父、母、俺


父親は公務員で高校の数学の先生。

母親は専業主婦

友人関係にも変なものもなくクラスに突然謎の美少女が転校してくることもない。

少し特殊なところは父親が俺の学校の先生だってところだ。


「おはよう。俊哉」

こいつは馬場 直樹。

俺の友人の一人だ。

自他共に認める珈琲好きだ。

「おぅおはよう直樹。」

「俊哉。今日の国語の課題やって来た?」

「あっやっべ。家に忘れてきた!ちょっと急いで取ってくる!」

「お、おい待てよ俊哉。遅れても知らねーぞ!」

そんな声を背中で聞きながら俺は家まで走っていった。



「セーフ!」

「いや、アウトだ桐生。一分遅刻惜しかったな。」

クラスが笑いにつつまれる。

「残念だったな俊哉。」

「くそぉ後ちょっとだったのに。でも直樹のお陰で国語の課題忘れずにすんだわありがと。」

「いやぁ実は今日国語の先生休みみたいで宿題は次の授業らしいぜ。」

「な、マジかよぉ。骨折り損のくたびれ儲けじゃねーか」




「声だしていくぞぉ!」

『おぅ!』

あっという間に放課後になり、部活の時間となった。

俺が所属しているバスケ部は今先輩方が受験のため止めたりしているため俺達二年が引っ張らないといけない。

「ふぅ。」

「お疲れ桐生君。」

そう言って近づいてきたのは女バスに入部している白鳥 蘭だ。

お堅い委員長キャラといった感じだがバスケをやる時には雰囲気がまた変わりそんな普段の時とのギャップでかなり人気だ。

「おぅ白鳥。どうしたんだ?」

「いや、桐生君も色々頑張ってるからさちょっと声かけようかと思って。」

「そうか……」

っと逸ろそろそろ周りの男子からの目線が怖くなるから練習再開しようかな。

「それじゃあさ白鳥。またな。」

「うん。練習頑張ってね。」

「おぅ。」

そう返事をしながら皆のもとに帰っていった。



「ふぅ今日も長かったなぁ。」

あっという間に時間も過ぎ俺は一人で帰り道を歩いている。

そうするとどこからかヒタ…ヒタ…と音が聞こえてくる。

それは段々段々近付いてくる。

俺は怖くなり歩く速度をあげる

それに合わせるようにその音が近付いてくる。

「見つけたぞぉ。見つけたぞぉ!!」

そうやって現れたのはぐずぐずとした怪物だ。

ゾンビというのが正しいのかもしれない。

「ギャァァァァァ!」

俺は逃げ出そうとしたが腰が抜けてしまった起き上がれない。

ここで死ぬのかと思ったそのとき

「こっちこそ見つけたぞ、もう逃がさん。」

そう言いながら少年が現れた。

その少年は黒いパーカーを着ており、背中に大きな刀を背負っている

剣呑な目付きでゾンビを睨んでいる。

良く良く見てみるとパーカーの腕の部分にこの怪物の体の一部ような物が張り付いている。

「くそっ。もう追い付かれたか!」

そう言い残すとそのゾンビのような怪物はこちらに何かを飛ばした後何処かに去っていった。

少年はそのこちらに飛ばしてきた何かを太刀で切り怪物が逃げた方を睨み付けるとこっちを向いて

「大丈夫か?」

「えーっとあなたは?」

「俺は……まぁ良いだろう」

そう言ってその少年はある紙を渡してきた。

「これは?」

「明日の16時何が起きたか知りたいのなら此処に来い。」

「えっちょっと待てよ!」

少し紙に目線をやった瞬間に少年は何処かに消えてしまっていた。


俺はその夜眠れず気がついたら朝になっていた。

「それじゃあ出席をとるぞぉっていないのは馬場か……珍しいな」

そうなのだ今日は馬場がいない何か嫌な予感がする。


すぐに放課後になり俺は部活を休んで

指定された場所に向かった。

そこは私営のカフェのようなところで中に昨日の少年がいた。

「昨日ぶりだな」

「おい!お前は何なんだよ!」

「そうだな……俺の名前は不死 殺しよろしくな。」

「嘘だ!絶対今考えただろ!」

「そんな事はない。人の名前を馬鹿にしてはならないって習わなかったのか?」

「お前全国のキラキラネームの人に謝れ!」



「さて、ふざけるのもいい加減にしようか。」

「ふざけてたのはお前だろ!」

「君は良いツッコミ芸人になれるよ!」

そう言いあってると後ろから昨日の少年が出てきた。

「俺の姿をして何をしているんだ妖狐?ってお前は……」

「すまんねぇ。お前の客で遊んじまった。」

そう言って目の前の少年は狐耳をつけた俗にいうイケメンに変わった。

黒髪から出てきてる黄金色の狐耳が印象的だが格好と顔を見て何となくだらしないんだろうなっていうのが分かる。

「妖狐。お前今度やったら飯抜きだからな。」

「それは止めてくれよ不死っち俺も悪いと思ってるから」

俺は脳内の処理が追いついてない。

「あーすまんな。うちの連れが迷惑かけた。昨日の事について知りたいんだろ。」

「あ、あぁ。」

「なら教えてやろう不死の事を。」

そうして俺は不死について知った。

「なるほど。じゃあ昨日の奴も何かの不死であると。」

「その通りだ。多分【師】の不死者だと思う。」

「【師】?」

「あぁその通りだ。【師】の能力は何かを教えた者に自分の体の一部をつけてその者が死ぬまで死ぬことがない。という物だ。」

「じゃあ昨日つけられてたら……」

「俺が殺していたな。」

「っ!」

なっ!

「あんたは人を殺すことに躊躇いはないのか!」

「あぁそれで不死者を殺すことが出来るのなら俺はそうする。それに死も悪いものでは無いだろう。」

何を言ってるんだこいつ?

「人はいつか死ぬんだ。それが早まったかの話だろう。」

「なっ!」

何て奴だ

こいつは狂ってる。

だがそう言うこいつの顔はどこか歪んでるようにも見えた。

「だが自分から好んで殺すような事はしない。安心してくれ。」

「安心出来るか!俺は帰るぞ!」

俺はそう言いながらドアに手をかける。

「まぁ待て。」

「何だよ!まだ何か言い足りないか!」

「もしお前の友達の馬場って言ったかな?そいつが【師】に捕まってるとしたら?」

「何!それは本当なのか?」

「多分な。」

嘘だろ馬場が!

「……お前ならその不死者を倒せるんだよな。」

「あぁその通りだ。」

俺は土下座をしながら

「なら助けてくれ!」

「良いぞ」

「なっ本当か?」

「あぁ。言われなくても自分から殺しにいくつもりだったからな。だけどそう言うからにはお前にも手伝ってもらうからな。」

そう言うこいつの顔は先程とは違い笑顔で歪んでるように見えた。


そして冒頭に戻る。

あの後俺は俺の通ってる学校に連れてかれて適当に走っとけと言われ呆気にとられてるうちに不死はどっかに行って消えてしまった。

俺は今あの怪物から逃げながら隠れて不死を待っている。

「ったく何処に行ったんだよ。」

「待ったか!」

「うわぁぁぁ!」

いつから隣にいたのか知らないが左側に不死がいた。

「おいお前!今まで何処で何をしてたんだ!」

「お前の友達がいる場所を見つけたぞ。」

「!」

「此方だ……」

そう言い不死は先導し始めた。



「此処は体育館?」

「その通りだ。ほらあそこにいるだろ。」

良く良く見てみると真ん中に横たわる馬場とあの怪物がいた。

そして目が合う。

「見つけたぞぉ桐生!!!」

「跳べ!」

いきなりそう言われて突き飛ばされた。

「【師】の不死者よ。もう逃がさんぞ」

「くそっ!だがなぁ馬場が死ぬまで俺が死ぬことはないぞ!」

良く馬場を見てみるとあのドロドロがこべりついている。

「悪いが俺にはそんなものは効かない。」

そう言いながら容赦なく剣を振る。

「グワハァ!何故何故だ!何故攻撃が効くんだ!」

「うるさい!」

また切る

「ガッ!」

「良いことを教えてやろう。俺には不死者の能力を消す能力がある。」

「なっ!」

何だよそれチートじゃねーか。

不死は手を止めることなく剣を振り続ける。

もうグシャグシャだ。中から人が出てきたそれは俺達の国語の先生だった。

「先生?!」

「何だ知り合いだったか」

「助けてくれ……桐生!」

な!

「楽にしてやれこんな形で生きてもこいつが辛いだけだ。」

そう言って一閃。

首がごとりと音を立てて落ちた。

「ん!んん。」

直樹が気づいたみたいだ。

「此処は?」

「大丈夫か?直樹」

「あれ?俊哉?」

俺はその直樹に近づく、













直樹がニヤリと笑った。

瞬間俺の体は不死に抱かれていた。そして遠くの方に投げ出された。

「あーあ邪魔すんなよな不死殺し。せっかくの楽しいショーが台無しじゃねーかよ。」

「やはり貴様も不死者か能力は【使】か。」

は?何言ってるんだ

「どういうことだよ直樹!」

「悪いなぁ俊哉。もう少しで殺してやることが出来たんだがなぁ。」

こいつは違う。

こいつは俺の知ってる馬場 直樹では無い。

「なるほど魂まで不死に占領されたか。」

「お前本当邪魔なんだよ。せっかく【師】の不死者操って楽しいショーにしようと思ってたのにマジ最悪。」

は?嘘だろ?

「嘘だよな。なぁ直樹?」

「バーカ!もういい加減現実みろよ。なぁに大丈夫すぐに眠らせてやるからさ。死んだ方が楽かも知れないぜ?」

そう言った瞬間隣にいた不死の雰囲気が変わった。

「お前今なんていった?」

「えっ?だって死んだ方が楽になるだろ?死ってさ何時かは来るものなんだからさ。」

「ふざけるな。」

「は?」

「死を向かえない者が死を感じない者が死が『無い』者が軽々しく死を語るな!死を舐めるんじゃねぇぇぇぇ!!」

激昂した。

体の周りには黒いもやが漂い体を黒く染め上げている。

「何だよ……何だよそれ!」

「良いか【使】よこれが死だ!」

不死は前の時とは比べ物にならない程大きくなった太刀を振り下ろした。

その黒に染まった剣に触れた瞬間直樹は蒸発するかのように消えてしまった。

いつの間にか先生の死体も消えている。そこには灰が残っていた。

「悪いがお前の記憶を消させてもらう」

「はっ?どういうことだよ!」

俺はいきなり不死にそう言われて訳が分からなかった。目の前で知ってる先生が死に友人が死んだせいなのかは分からない。

あれって言うか俺でも何を言ってるのか分からないし意識が……



「はっ!」

俺が目を覚ましたのはベッドの上だった。

あれ?何か大切な物を無くした気がするけど?


俺は学校に向かう。

何か忘れてる気がするけどなんだろう。


教室に着く

あれ?うちの教室って机一つ多かったけ?

まぁ良いか。さ、授業の準備をしないと。

「それじゃあ出席とるぞぉ。休みはいないな。」

また普通の学校生活が始まる


次週第三話 屍

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