光が来た
「親衛隊さん、マザータワーはどっちの方角にありますか?」
光は後で合流してきた親衛隊に尋ねた。
「あの塔がマザータワーです。まさか魔王軍に占拠されるなんて…」
親衛隊は悔しそうに歯噛みした。
「ありがとうございます。一足先に向かいますね」
光は走りながら大ジャンプして、タワーの上に光の糸を放った。
「なっ?!」
驚く親衛隊を尻目に、光は蜘蛛男のようにスイングした。
「先に残虐戦機と戦ってきますね。周辺の機械は頼みます」
光はスイングしながらビルを飛び移って行った。
「私もヒカリを追う。後は頼んだ」
そう言うロベリアは槍を投げ、その上に乗って飛んで行った。…余計なことを教えない方がよかったかもしれないわね。
「あたしたちは陸路で向かいましょ。あれに付き合うことはないわ」
あたしはあっけにとられている親衛隊を話し掛けた。
「そ、そうですね。急ぎましょう」
親衛隊はそう言ってあたしたちを先導した。
「サヤ殿。ドーターとやらはまだ送り込まないのでありますか?」
エリザは走りながらあたしに聞いてきた。
「出来るだけ近くでやった方が短時間で済むわ。ひとまずタワーに着いてから考えるわね」
あたしはそう言いつつ弓の弦を弾いた。
ーーー
『クカカカ!逃ゲ惑エゴミドモ!』
私が光の糸でスイングしてタワーに向かっていた時、残虐戦機が叫んでいるのが見えました。
「誰がゴミだ!ガラクタめ」
「お前なんか『落涙』様の手にかかればすぐにスクラップだからな!」
下にいる人たちが残虐戦機に向かって罵倒しました。
『カカカ。勇者ナラ今頃品評会ノ会場デ機械ニヤラレテル所ダヨ。サスガニ数ノ暴力ニハ敵ワネェダロウシナ』
残虐戦機はそう言って高笑いを上げました。
「そ、そんなわけあるか!『落涙』様が機械なんかに負けるものか!」
下にいる人が残虐戦機に叫び返しました。
『ハッ。自信満々デクソダセェコト言ッテンナ。少シハテメェノ力デ何トカシヨウト思ワネェノカ?』
残虐戦機はそう言って下に右手の指の銃口を向けました。
『虫ケラハ虫ケララシク何モ出来ズニ死ンデ行ケ!』
残虐戦機はそう言ってエネルギーを充填しました。
「白峰影月流、光旋嵐閃月」
私は居合いで右手を切り裂きました。
『ナッ?!』
私は残虐戦機が驚いている間に切った右手を光を纏った右足で蹴り込みました。
『グハッ!何者ダ、テメェ!』
残虐戦機はそう言って首をこちらの方向に勢いよく回転しました。
「『落涙』の勇者白峰光です。あなたが残虐戦機ですね」
私はタワーの頂上に立ち、刀を残虐戦機に向けました。
少し短くなってしまいました。次から本格的な戦いに入ります。