プレゼン
『次はペア社のプレゼンです』
司会の言葉と共にジョーブがステージに姿を現した。
「皆さんこんにちは。ペア社社長のジョーブ・リンゴーです。今日私が皆様に紹介する新製品はこれ、MePhoneです」
ジョーブの言葉を受けてサヤが前に出てきた。
「このMePhoneは勇者様により異世界からもたらされた物を、我がペア社が分析して作り上げた物です。この小さな板に異世界の、そしてこの世界の技術の粋が詰まっているというわけです」
ジョーブはそう言ってMePhoneを起動した。
「このMePhoneは進化した携帯電話です。従来の電話としての機能はもちろん、更なる機能が追加されています」
ジョーブの言葉に合わせてサヤは画面に触れた。
「このように画面に触れるだけで操作できます。煩わしいボタン操作を行う必要がなくなるわけです」
次にサヤは画面の電話のアイコンに触れた。
「MePhoneの技術はこのアプリに集約されています。アプリを起動することでこのように電話をかけることが出来ます」
サヤが数字を入力するとジョーブが持っているMePhoneに電話がかかった。
「従来の電話としての機能だけではありません。このMePhoneの一番の強みはマザーを介したネットワークで人々が繋がれることです」
ジョーブの言葉に従いサヤはグゲルカーズというアプリを起動した。
「このアプリはマザーのネットワークに繋がることが出来るアプリです。検索することでマザーに記録された膨大な情報にアクセス出来ます。色々なことを簡単に調べられるようになるわけです」
ジョーブはそう言ってMePhoneを指差した。
「更にネットワークで繋がっているので様々なデータのやり取りが出来ます。企業間だけでなく個人と個人で交流が出来ます。更に交流サイトで世界中の人とも繋がることが出来ます。MePhoneが世界中に広がることで世界の誰とでも交流出来るようになるのです」
かなりスケールが大きい話に持って行ったな。これなら通信機としての凄さもアピール出来るだろう。
「MePhoneは全世界を繋がるだけではありません。アプリをインストールすることで機能を拡張することが出来ます」
サヤは今度はペアストアというアプリを開いた。
「MePhoneはアプリをインストールすることで機能を拡張出来ます。電話はもちろん、メール、マップなど汎用的な物だけではありません。道具や武器なども出すことが出来るのです」
ジョーブがそう言うとサヤはドローンを出した。
「このようにMePhoneは自分の好きなように進化させることが出来ます。皆様もいいアプリを開発すればそれだけ人々の生活が豊かになります」
ジョーブは大げさに身振りで説明した。
「このMePhoneは『魔眼』の対勇者サヤ様も愛用しています。皆様も情報やアプリ開発で勇者を手助け出来ます。我々も共に魔王軍を破滅に導いてやりましょう!」
ジョーブは力強い言葉でプレゼンを締めくくった。
「すごいですわね。観客の言葉を完全につかんでしまいましたわ」
チェリルは周りを見回して言った。
「ジョーブは宣伝もうまいからな。開発した物をインパクトがある形で売り出すのは得意分野というわけだ」
「確かに人の心をつかんでましたな。もうこれで決まりでありましょう」
エリザは自信を持って言った。
「そうだな。後からよっぽどすごい物が出ない限り勝てるだろう」
ロベリアは不安を口にした。
「フン。せいぜい負けてぼくに協力を頼まなかったことを後悔するがいいさ」
カネダの意味不明な発言をよそに、MePhoneは圧倒的大差で情報部門のグランプリを獲得した。
プレゼンってこんな感じでいいんですかね。正直不安しかないです。
機械を動かすタイミングはまだ未定です。