通信部門開始
「次は通信部門…。サヤ様が実演する番ですわね」
チェリルは真剣な目でステージを見た。
「サヤなら問題ないだろう。MePhoneの使い方を熟知してるからな」
「そうでありますな。戦闘でも使いこなしておりますし」
ロベリアとエリザは楽観的に返した。
「唯一の懸念は通信部門に出していいかだな。電話以外の要素が多すぎる気がする」
正直な所通信に関係ない要素が考慮されるのかわからん。純粋な電話としての機能は携帯電話と変わらない気がするんだが。
「そこはサヤ様ならうまくやってくれると信じてますが…。やっぱり落ち着きませんわ」
チェリルはやっぱり不安そうにしていた。
「おれたちに出来るのは見守ることだけだ。サヤたちのプレゼンが成功することを祈ろう」
そんなことを話している間に通信部門の幕が上がった。
ーーー
いよいよあたしたちが出る通信部門のプレゼンが始まった。最初に出てきたのは人の姿をその場に投影する装置だった。
「ホログラムですか。SFみたいですね」
光はモニターを見ながら言った。
「これもそっちの世界にはない技術なんか?」
「それらしき物を見た記憶はあるわ。あれよりは大がかりだった気はするけど」
正直テレビでしか見たことないからよくわからないわね。少なくとも一般にはまだ普及してないんじゃないかしら。
「見栄えがするのは確かですね。同じ場所にいる人に同時に共有出来るという強みもあります」
ジョーブはホログラムを冷静に分析した。
次に出てきたのは書いてある文字をリアルタイムで相手に伝える機械だった。
「なるほど。これは早いですね」
ジョーブは余裕は顔でモニターを見た。
「いや、いくら何でも早すぎやろ。ちょっとは文推敲させて欲しいわ」
チカゲはジョーブにツッコんだ。
「書いてる途中を見られるのも恥ずかしいですよね。色々書き間違えちゃいますし」
光はちょっと照れくさそうに言った。
「そこらへんは隠せるかもしれないけど…。そこの説明がないとわからないわね」
そういう意味ではプレゼンとしては失敗ね。アイデアはいいけど課題を練り直した方がいいと思うわ。
次に出てきたのは肩にぶら下げるタイプの電話だった。
「あれは…電話ですか。なかなかユニークですね」
ジョーブは感心したように言った。
「私たちの世界に昔あったような電話ですね。芸人さんが持ってるのを見たことがあります」
「入ってくる次元漂流物によっては色々すっとばすことがあるってわけね。興味深いわ」
外から入ってくる物を参考にしていると段階を踏まずに進化することになるかもしれない。現実でも有り得る話ね。
「ライバルは気になりますがそろそろ出番ですね。ステージに向かいましょう」
ジョーブはそう言って立ち上がった。
「せやな。ほな行こか」
あたしたちは自信を持ってステージへと歩き出した。
少し引き伸ばしてしまいました。次こそプレゼンです。




