皇帝との謁見
「これがマシニクル城…。このような城見たことありませんわ」
チェリルは銀色に輝く城を見上げて驚きの声を上げた。
「空港や帝都の家の素材より硬いでありますな。破壊するのには骨が折れるであります」
エリザは軽く城壁に触れた。
「マシニクル城ヘヨウコソ。ゴ用件ハ何デスカ?」
マシニクル城の門番を勤める魔導機が尋ねて来た。
「『落涙』の勇者白峰光です。皇帝陛下にご挨拶に参りました」
ヒカリは勇者の証を魔導機に見せた。
「チップ認証…完了。勇者本人ト確認。皇帝陛下ニ指示ヲ仰ギマス」
魔導機はそう言ってしばらく固まった。
「…謁見ノ許可ガ出マシタ。後ハコチラノ案内用魔導機ガゴ案内シマス」
門番の魔導機がそういうのと同時に小さな丸い魔導機が転がって来た。
「デハゴ案内シマス。私ニツイテ来テ下サイ」
丸い魔導機はそう言って転がって行った。
「こうして見ると銀河系の戦争って感じがするわね」
「そうですね。この国にいるとファンタジー感が一気になくなります」
サヤとヒカリはそう言って苦笑いした。
「異世界の物が入って来るのが大きな要因かもしれませんわね。他の国とは違う方向に発展していますわ」
チェリルは物珍しそうに城の中を見回しながら返した。
「気持ちはわかる。私も初めて見た時は驚いたよ」
ロベリアは遠い目をして言った。
「おれもチカゲと関わるまではこんな技術があるなんて知らなかった。異世界の文化は面白い物だな」
そんなことを話していると玉座の間の前にたどり着いた。
「皇帝陛下ハココデオ待チデス。ドウカ粗相ガナイヨウニ」
魔導機がそう言うと扉がひとりでに開いた。
「ほう。そなたらが勇者パーティーか」
筋骨隆々で王冠を被ったマシニクル国皇帝がおれたちに声をかけた。
「はい。『落涙』の勇者白峰光です。貴国に来たのは品評会のアークウィンド商会及びペアへの支援と、残虐戦機対策のためです」
ヒカリは堂々と答えた。
「勇者パーティーが品評会に出場する企業に肩入れすると?それは問題ではないか?」
隣に控えている大臣が尋ねた。
「単に広告塔になるというだけの話よ。他の企業も有名人を宣伝のために使うくらいするでしょう。ただ試作品を提供してもらってるから協力するくらい何の問題もないはずよ」
サヤは冷静に返した。
「我々が圧力をかけて不正をすると思うなら監視をつけてもいいぞ。それでそちらの気が済むのならばな」
ロベリアは相手が言いそうなことを先に潰した。
「戯れが過ぎるぞ、大臣。勇者殿たちも非礼を許していただきたい」
皇帝は威厳を持ちながら謝罪した。
「…申し訳ありません」
大臣は深く頭を下げた。
「気にしないで下さい。私も少し言葉が足りませんでした」
ヒカリも軽く頭を下げた。
「これで手打ちにしてくれると助かる。残虐戦機にはすぐ挑むつもりか?」
皇帝は探る目で見てきた。
「いえ。今は人や技術が多く集まる品評会が近づいています。下手に刺激して狙われるよりは万が一に備えてここで備えるのが得策だと思います」
ヒカリはまっすぐ皇帝の目を見て言った。
「賢明な判断だな。だが今は品評会を楽しんでくれ。機械が攻めてきたら頼むぞ」
皇帝はニヤリと笑ってそう言った。
「はい。お忙しい中時間を割いていただきありがとうございました。それではそろそろ失礼します」
ヒカリはそう言ってお辞儀した。
「大儀であった。後は魔導機に送らせよう」
おれたちは一礼して玉座の間から出て行った。
だいぶ雑になったかもしれません。しばらく説明回や繋ぎの回が続くと思われます。




