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構陣師  作者: ゲラート
第1章 サミュノエル動乱
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謁見

「ここが王がいらっしゃる玉座の間です」

あたしたちを案内してくれたメイドがそう言って玉座の間を指し示した。

「王はとても食えなくなくないお方です。ですが器は大きくなくないです。ただ人を試すことが趣味の悪趣味ではなくないお方です。それだけは肝に命じておいて下さい」

すごく遠回しに王をけなしてるわね。というか今更だけど誰も陛下っていう尊称で呼ばないってどういうことなのかしらね。

「えっとなくなくない…あれ?」

光はよくわからないという顔をしている。相変わらずシンプルな思考回路してるわね。

「あなたたちが王のお眼鏡にかなうことを期待しています。…勇者様をお連れしました」

メイドは玉座の間を守る兵に深々とお辞儀した。

「王。勇者様たちと対勇者様がお出でになりました」

玉座の間の警護兵が玉座の間の扉を叩いた。

「入れ」

王らしき声と共に玉座の間の扉が開いた。


「貴殿らが勇者と対勇者か。よくぞ来てくれた。ぜひとも我が国のために力を振るって欲しい」

ロベリアと血の繋がりが全く感じられないデブ王が開口一番とんでもないことを言った。

「はっ!必ずや使命を果たしてみせます!」

金田は意気込んで宣言した。王の冷めた視線にも気付かないくらい必死なのね。どうせ普段でも気付かないでしょうけど。

「期待してるぞ。そちらの2人はどうだ?」

王はあたしたちに視線を向けた。


「お断りよ。冗談は腹だけにしてもらえるかしら」

あたしがそう言った瞬間玉座の間の空気が凍りついた。

「無礼な!王に何という口の聞き方を…」

無駄にキラキラした男が口を挟んできた。ヴィレッタと同じ家紋ってことはこいつが貴族派派閥長なんでしょうね。

「なぜ誘拐犯の親玉に敬意を払う必要があるのかしら?まだストックホルム症候群になる程接点もないのだけれど」

まあ一応イドルやチェリル、ロベリアやエリザは嫌いではないわ。ただこの国に対してはまだ何の感慨も湧かないわね。

「貴様それでも勇者」

「対勇者ですが何か?そもそも勇者の使命は人類のために魔王を打倒することだったはずよ。百歩譲って自分の種族の都合なのは置いとくにしても我が国のため?勇者を私物化しようとか神経に脂肪詰まってるんじゃないのこのメタボリックが」

あたしの罵詈雑言に対して王は大して反応しなかった。ただ脂肪とメタボリックという言葉にはピクリと眉を動かしてたわね。案外気にしてるのかしら。


「言い過ぎですよ沙夜ちゃん。体型のことは関係ないでしょう」

光はあたしに咎める目を向けてきた。正直かわいいだけで怖くないけどね。

「ただ私もこの国だけのために力を振るう気はありません。私が力を振るうのは人間と魔族の争いを止めるためです。もし私たちの力を使って罪のない人々を傷つけようというなら」

光はそこで言葉を切って王をにらみつけた。

「私は全力であなたを止めて涙を流します」

かなり情けないことをかっこよく言い切ったわね。まあ光らしいけど。


「よくも王に」

「よい。期待通りの返答はもらえただけで余は満足だ」

王は右手を上げて貴族派派閥長を静止した。

「試すような真似をして悪かった。余も魔王を倒して戦乱をおさめたい気持ちは同じだ。貴殿らの力を決して私欲のために使わないことを今ここに誓おう」

王は力強く宣言した。

「そういうことなら私も争いを止めることを誓います」

光はまっすぐ王の顔を見据えて言い切った。

「正直どうでもいいけど光がそういうなら手を貸してあげてもいいわよ」

あたしの言葉に玉座の間の空気がまた変わった。

「き」

「黙れ。勇者は余の部下ではなく人間の希望だ。これ以上何か言ったら余を貶める意図があると見なすぞ」

王ににらみつけられると貴族派派閥長は口をつぐんだ。弱いわねこいつ。


「話はこれだけだ。後は宴まで自由に過ごしてくれ」

王は顔を緩ませて言った。

「ならばその間に勇者の武器を選びたいので武器庫に入る許可を頂けますか?私も術式を確かめるために同行します」

口元をおさえたイドルが申し出た。

「よかろう。余から使いを出しておく。では宴の席で会おう」

王に促されたあたしたちはメイドに促されて玉座の間を出た。


「よく言ってくれたサヤ。正直あの王の悪趣味な性格には辟易していたんだ。立場上少しは気をつかわないといけないしな」

玉座の間から出た瞬間イドルはそう呟いた。

「でしょうね。明らかにみんな笑いこらえてたもの。あの王が普段やらかしてるのだけは伝わってきたわ」

貴族派派閥長もカッコつけてポイント稼ごうとしてただけだしね。あそこでアピールした所で無駄なのがわからないのかしら。

「それでも沙夜ちゃんは言い過ぎです。もう少し目上の人に対する礼儀というものがあるでしょう」

光は頬を膨らませながら咎めてきた。

「まあついでに体型のことまで攻撃したのは反省してるわ。一応謝罪文くらいは日本語で矢文しとくわ」

あたしはとりあえず光の頬をつついみた。

「ぷしゅー。…矢文はないですよ。ちゃんと謝りなさい」

光はちょっと涙目になりながら言った。

「はいはい。タイミングが合えばね」

場合じゃなくて時だからタイミングを逃す可能性はあるけどね。そうなったら仕方ないわよね。


「全く何だあれは。ぼくがせっかく勇者らしくしたのに台無しじゃないか」

序盤以外完全に空気だった金田が何かほざいた。

「勇者らしく?何も考えずに王の口車に乗せられただけじゃない。もし本当に王が勇者を好き勝手使おうとして光が傷付いたらどうしてくれるのよ」

「…じ、実際そうならなかったんだからいいだろう!」

金田は苦しい弁明をした。

「そうね。光は権力に屈することなく自分の正義を貫く勇者であたしという番犬もいるから利用しにくいというイメージを植え付けられたわ。でもあんたは勇者として適当におだてておけば簡単に騙されると見られたわね。せいぜい悪いやつらの言いなりになって更に評判が下がらないように気をつけることね」

一応貴族派のことは忠告したからもういいわね。後で何があっても金田の自業自得よね。

「ふん。ぼくがそんな簡単に騙されるわけないだろう!」

金田は力強く言い切った。その根拠のない自信はどこから来るのかしら。


「ふふっ。勇者様たちは思ったより面白い人たちなのですね。王がへこまされていた所では胸がすく思いをしてなくないです」

メイドは笑顔で問題発言をした。

「あんたそれでごまかせてるつもりなの?」

「それは人によらなくないです」

メイドは光を横目で見ながら言った。

「なくなくなくなく…なんだかよくわからなくなってきました」

光はまだ頭を悩ませている。そんなにややこしいこと言ってないんだけど。


「話はそれくらいにして武器庫に行こうか。選ぶのに時間がかかることも考えられるしな」

光の頭がこんがらがってるのを見越してイドルが話に入ってきた。

「では私が案内します。ついてきて下さい」

楽しそうな顔をしたメイドの後についてあたしたちは武器庫に向かった。

「武器選びか。ファンタジーの王道だな!」

金田はハイテンションで騒いだ。こいつこれが現実だってわかってるのかしら?

「武器ですか…。日本刀はあるんでしょうか?」

光は不安そうに呟いた。

「心配しなくてもあるわよ。ヤマトとやらには」

「それ全くフォローになってないです」

適当に話しながらあたしたちは武器庫へと歩いた。

今回はあまり変わってないですね。設定足さない方がやっぱり楽です。

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