マシニクル
「そろそろ着陸します。皆様、シートベルトを締めて下さい」
客室乗務員がおれたちに呼び掛けた。
「了解」
おれたちはシートベルトを締めた。それを見届けた客室乗務員も専用の席に着きシートベルトを締めた。
「それでは着陸します」
飛行機は緩やかに着陸し、しばらく走ってから止まった。
「ここがマシニクルの空港ですか。サミュノエルの空港とは違って近未来的ですね」
ヒカリは空港を見て目を見開いた。
「金属で覆われてるわね。かなり硬いわ」
サヤはかるく空港の壁に手のひらを当てた。
「機械の魔物の装甲を加工した物や。頑丈さは折り紙つきやで」
チカゲはヒカリに説明した。
「魔物の素材だって?そんな物よく使えるな」
カネダは嫌悪感丸出しで吐き捨てた。
「この世界では普通ですわ。魔物はわたくしたちの生活には欠かせない存在ですの」
チェリルは冷たい目でカネダを見ながら言った。
「認めないなら認めないで構わない。最初からそのような度量は期待していないさ」
ロベリアはさらりとひどいことを言った。
「な「無駄話はこんくらいにして帝都に入ろうや。そんな話一銭にもならへんで」
チカゲはカネダの話を遮って歩き出した。
「ここが帝都や。品評会前やからにぎやかやな」
チカゲはにっこり笑いながら言った。
「家も金属でありますな。魔物もなかなか破壊出来ないでしょう」
エリザは軽く手の甲で叩いた。
「屋台も多いわね。品評会が近いからかしら」
サヤは広場を見て言った。
「ソーセージの種類が多くてジャガイモがメイン…。露店でビールが売ってますね。食文化はドイツみたいですね」
ヒカリは屋台を見ながら言った。
「確か君の母の故郷だったな」
「はい。たまに里帰りしてます。とてもいい国ですよ」
ヒカリは懐かしそうに答えた。
「思い出話はひとまず置いておいてまずは皇帝に挨拶しておこう。顔見せくらいはしておいた方がいい」
ロベリアが提案した。
「そうですね。後から呼び出されるよりは今行った方がいいかもしれません」
ヒカリはロベリアの言葉に頷いた。
「ほなうちは先にジョーブはんの所に向かうわ。後でまた会いまひょ」
チカゲはそう言って手を振って歩いて行った。
「では私たちも城に向かいましょう。どちらに行けばいいんでしょう?」
ヒカリはおれたちに聞いた。
「私が案内しよう。何度か行っているからわかる」
ロベリアはそう言って歩き出した。
「ロボットが多いわね。ここだけ本当に未来って感じがするわ」
サヤは通りを歩く機械を見て言った。
「動物の形をしたロボットもいますね。日本よりロボットは普及している感じです」
ヒカリもかなり驚いている。異世界からしてもすごいことみたいだな。
「ここまで魔導機が発展したのはマザーの存在が大きいだろうな。どんな情報でも処理して魔導機を制御するマザーがあるから魔導機は進歩したんだ」
おれは2人に説明した。
「このMePhoneもマザーで動いてるのよね。結構使い倒してるから悪い気がするわ」
サヤはそう言って懐からMePhoneを取り出した。
「いや、そのプロトタイプには独立したマザーの分身体が組み込まれているそうだ。マザーに頼らずに独自で動けるらしい」
「…変なフラグたてないでもらえる?」
サヤは意味深に笑いながらマザーを懐にしまった。
繋ぎの話はどうも書きにくいですね。
次はとりあえず謁見しておきます。