空の旅
「みんなシートベルトは絞めたな。それじゃマシニクルに出発やで!全速前進や」
チカゲが号令をかけるとおれたちを乗せた飛行機が発進した。そのままどんどん加速していく。
「うおっ。な、何だか体が引っ張られるであります!ドラゴンに乗るのとは違う感覚でありますな」
エリザはかなりはしゃいでいる。初めて乗ったから無理もないか。
「どんどん植物の声が遠くに…。鉄の塊の中だと落ち着きませんわ」
対照的にチェリルは不安そうにしている。魔法で出したリンゴを握りしめているあたり結構来ているのかもしれない。
「大丈夫ですよ。すぐ安定しますから」
ヒカリが言う通り飛行機は安定した。
「もうシートベルトも外してええよ。マシニクルに着くまで好きにしいや」
チカゲは慣れた様子で促した。
「その前にまずお飲み物をお持ちしますね。この中から選んで下さい」
客室乗務員がおれたちにメニューを差し出した。
「紅茶にしますわ」
「カプチーノ」
「牛乳であります」
「ブラックコーヒー」
「緑茶お願いします」
「コーラ」
「オレンジジュースにするよ」
おれたちは思い思いに注文した。
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
客室乗務員は礼をして別室に行った。
「それにしても至れり尽くせりですね。ファーストクラスってこんな感じなんでしょうか」
おれの隣の席のヒカリがそんなことを呟いた。
「ファーストクラス?」
「あたしたちの世界の飛行機の最高級のクラスよ」
サヤは適当に返した
「異世界での最高のもてなしっちゅーわけやな。光栄なこっちゃ」
チカゲはヒカリの言葉ににっこり笑った。
「実際ファーストクラスに乗ったことないけどね。そんなの乗れるのよほどのセレブだわ」
サヤは気だるげに返した。
「庶民の意見だね。ぼくはいつもファーストクラスだよ」
カネダは自慢気に言った。
「そう。それはすごいわね」
サヤはやる気なさそうに返した。
「お待たせしました。どうぞ」
客室乗務員がおれたちに飲み物を配った。
「ありがとうございます。マシニクルにはどれくらいで着くんでしょうか?」
ヒカリがふと呟いた。
「5時間や。昼には飯出るから楽しみにしといてや」
チカゲがヒカリに答えた。
「船よりずっと速いでありますな。すごいであります」
エリザは感心しながら言った。
「確かに速いですが船の方が落ち着きますわ。まだ海藻の声が聞こえますもの」
チェリルはそう言って紅茶を飲んだ。
「海藻の声まで聞こえるんですか?すごいですね」
「水が近くにあるから伝わって来るんですの。基本水があった方が強いですわね」
そんな他愛ない話をしながらおれたちはマシニクルへの空の旅を楽しんだ。
大分雑になりました。
次はマシニクルに到着してからの話をする予定です。