決着
「はっ」
私はまず池の上空にシールドを張って上に乗りました。この方が動きが見やすいですからね。
「フン。上に行ったら手出し出来ないとでも思ったか!フライング・クロコダイル!」
獣王はまるでモササウルスのようにジャンプしました。
「白峰鏡月流、月雨」
私はシールドからジャンプするついでに何度も全身を切りつけました。
「ふん。何度やっても同じだ!」
獣王は池に落ちた後また泳ぎ出しました。その前に私はシールド張り着地しました。
「食らえ!獣王怒涛撃!」
獣王は今度はすぐ放って来ました。池の中で溜めたんですね。
「白峰影月流、光旋嵐乱月」
私はシールドから飛び移りながら居合いで腕を何度も切りつけました。
「ガハハハハ。いつまで避けられるかな?」
獣王は泳ぎながら高笑いを上げました。
ーーー
「…変ね」
おれの隣に座るサヤがポツリと呟いた。
「何が変なんだ?」
「光が獣王を切ってる時の音が何だか変なのよ。さっきまでは金属音だったのに今は何かが剥がれるような音しかしないのよね」
すごい地獄耳だな。感心しているとまたヒカリが獣王を切りつけた。
「また音がしたわ。…ちょっと伏せて」
サヤの言葉通り伏せると何かが飛んで来た。サヤはおれの前に手を出してキャッチした。
「これは…。なるほど。そういうことね」
サヤはそう言って薄い緑の欠片をおれに見せた。
ーーー
「そろそろでしょうか。白峰鏡月流、光旋嵐月衝」
私は水から出ている鼻面を狙って突きを放ちました。
「ぐわっ。な、なぜ急に痛みが?!」
獣王は驚いて血が出ている鼻面をこすりました。
「鱗が剥がれている…。そうか。さっきから切りつけてたのはそのためだったのか」
獣王は傷をなぞりながら呟きました。
「さすがに鱗がなければ貫けると思いましたからね。所で鱗剥がされても気付かないものなんですか?」
「全然気付かなかったぜ。全く痛みがなかったからな」
そういうものなんでしょうか。爬虫類のことはくわしくないからわからないです。
「だがそんなチマチマ削った所でおれには勝てないぜ!フライング・クロコダイル!」
獣王はまた池の中から飛び掛かってきました。
「それはどうでしょう」
私はシールドを解除し、飛んで来た獣王の腹を切り裂きました。
「ぐはっ?!ば、バカな!おれの体を簡単に切り裂いただと?!」
獣王は水から出て腹を押さえました。
「お前!今まで手加減していたのか?!」
獣王は激昂して私をにらみつけて来ました。
「いいえ。私の紅雪があなたの血の味を覚えただけです」
私は紅雪の峰を手でなぞりながら返しました。
「血を吸ったら斬れるようになるだと?!魔剣の類じゃねえかそれ」
「私の故郷では妖刀と呼びますけどね。ヤマトではどうかわかりませんが」
私は話しながら右肩を切りつけました。
「くっ。なめるな!獣王怒涛撃!」
獣王は焦って獣王怒涛撃を出して来ました。
「白峰鏡月流、朧月」
私は攻撃を躱し、瞬光で距離を詰めて足を切りつけました。
「くそっ!これ以上好きにさせるか!」
獣王は斧で切りつけて来ました。
「ほっ」
私は斧を避けて上顎の上に乗りました。
「白峰霧月流、月通」
私は獣王の額を軽く殴りました。
「ぐっ」
私の鎧通しを額に受けた獣王は白目を向いて気絶しました。すぐさまノルマルの人と狼男が出てきて獣王の様子を確かめて手でバツを作りました。
「…獣王、戦闘不能!勝者、『落涙』ヒカリ・シラミネ!」
カラスの声が響くと共にノルマルの兵たちの歓声が静寂を破りました。
少し雑な終わり方になってしまったかもしれません。次は戦後処理になる予定です。