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構陣師  作者: ゲラート
第2章 獣王征伐
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翻弄される勇者

「ここがあのチーターが逃げ込んだ森だな!」

誰も聞いてないのにカネダはそんなことを叫んだ。

「待ってろ!必ずここに潜む獣王を討伐してやる!」

カネダは獣王がいるかもわからない森の中で吠えた。

「ウキャー!」

叫んだことでカネダの居場所がわかったのかサルが木の上から石を投げた。

「ふん。そんなの効かないよ」

カネダはそう言って大剣で防いだ。

「ウキ、ウキ、ウキキー!」

サルたちは今度はクソをカネダに投げつけた。

「や、やめろ!剣が汚くなる!」

それでもサルたちはクソを投げる。敵の言うことを聞く筋合いはないということだろう。


「よくも勇者にこんな辱しめを!木を斬り倒して落としてやる!」

カネダがそう言って地面を踏むと、カネダの足にロープが絡まった。

「な、何だ?!う、うわあああ!」

カネダはそのまま逆さ吊りになった。吊るされた時に手から大剣が滑り落ちた。

「大剣が!くっ。落とさなければ縄を切って脱出出来るのに!」

カネダがそう言った瞬間大剣がカネダに向かって飛んでいった。そういえばあの大剣には破棄不能という術式が刻まれていたな。これで縄を切って脱出出来るはずだ。

「へぶっ」

だが大剣は無情にもカネダの顔にぶつかった。だらしないな。ヒカリなら絶対キャッチしてたぞ。

「や、やめろ!誰かに操られてるのか?!」

大剣はその後も何度もカネダの顔にぶつかった。

「くそ!ぼくを下ろせ!勇者であるぼくが怖いのか!」

「ウキャキャキャ!」

わめくカネダをサルたちは指差して嘲笑っている。


「ほう。貴様が勇者か。何とも無様な姿だな」

そんな声が森の奥から聞こえてきた。

「だ、誰だ!出てこい!」

カネダが体を揺らしながら叫んだ。

「ふん。いいだろう。姿を見せてやる」

そう言って出てきたのは巨体のライオン男だった。背中にはカネダのよりずっと大きい大剣を背負っている。

「ライオンってことはお前が獣王か?!そうなんだろ!」

カネダはよくわからない決めつけをした。名前からして獣王はライオンではない気がするんだが。

「そんなこと雑魚に教える筋合いはない」

ライオン男はそう言ってニヤリと笑った。内心獣王と間違えられて喜んでるのかもしれない。

「雑魚だと!そんなのはぼくと戦ってから言え!」

カネダは吊るされながら叫んだ。

「どうした!ぼくのことが怖いのか?そうじゃないなら今すぐ下ろせ!」

逆さ吊りになっていてよくそんなこと言えるな。卸されても知らんぞ。


「ふん。口だけは達者だな」

そう言ったライオン男は大剣を振ってロープを切った。

「ぐへ」

カネダは顔から地面に落ちた。かなり痛そうだな。

「くっ。よくもぼくの顔を!」

カネダは下ろしてもらっておいて文句を言った。敵に頼んでおいてよくそんなこと言えるな。

「ごちゃごちゃうるさいぞ。来るならさっさと来い」

ライオン男は左手で挑発した。

「くっ。勇者の力見せてやる!」

カネダは叫んで大剣を振り下ろした。

「甘い」

ライオン男は片手で大剣を持って受け止めた。かなり余裕がありそうだ。

「弱いな。貴様より4倍は強いやつをおれは知ってるぞ」

そいつが本物の獣王だろうな。獣王は力が桁外れに強いと聞いたことがある。

「何だと!この!」

カネダはめちゃくちゃに切りかかったが全て簡単に止められている。剣術も明らかに向こうの方が上だ。

「攻撃が素直すぎる。やはり『落涙』じゃなくて外れの方か」

ライオン男は心底どうでもよさそうな顔をした。

「だ、誰が外れだ!」

カネダは叫んで切りかかった。


「もういい。これで終わらせてやる」

ライオン男は大剣をおさめ拳を構えた。左手で大剣を構えていたのに右手で技を打とうとしているということは明らかになめているんだろう。

「くっ。なめるな!」

カネダはまっすぐライオン男に向かって行った。少しは避けようと思わないのか?

「愚かな…。獅子王拳!」

ライオン男はライオンの課題をした気を拳から飛ばした。

「ぐわあああ!」

カネダは宙を舞い、遠くへ飛ばされた。


『ネロ』

『了解』

おれが指示を出すと上空に待機してたヘルコンドルのネロが空中で捕獲した。

「は、放せ!どこに連れていく気だ!」

喚くカネダを無視してネロはこちらの陣に飛んで行った。

「サモナーかテイマーが紛れていたか。他にもいるのか?」

ライオン男は険しい目で周りを見回した。

「ふっ。まあいい。どうせこのおれ様が負けるわけないからな。ガーハッハッハッ!」

ライオン男の高笑いが森の中に響き渡った。

今後金田が覚醒する予定はありません。主人公でも成長系キャラでもないですから。

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