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構陣師  作者: ゲラート
第1章 サミュノエル動乱
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タヌキ狩り

「変化まで使うなんて…。おれたちがいても足手まといだ」

「邪魔になるくらいなら隠し通路に戻るか?」

派閥長の力を見て警備兵たちは焦り出した。

「落ち着きなさい。あのタヌキは変化を使えるのよ。あなたたちが逃げるのに紛れて取り逃がす恐れがあるわ」

ヴィレッタは冷静に指示を出した。

「あなたたちは私の番犬よ。タヌキを倒すまで誰もここから出さないくらい出来るでしょう?」

ヴィレッタは檄を飛ばした。

「御意!ここは絶対死守します」

「タヌキなんぞに臆してたまるか!」

ヴィレッタの言葉に奮起した警備兵は再び剣を上げた。


「貴様ら!主が誰なのか忘れたのか!」

タヌキになった派閥長が何か吠えた。

「はっ。私腹を肥やすだけで我らのことを考えもしないやつが主なものか!」

「我らの主はヴィレッタ様だ。断じて貴様などではない!」

完全に忠誠はヴィレッタに移っているようだな。元々人望がなかっただけかもしれんが。

「ぐぬぬぬ!この私をコケにしおって!」

派閥長は机の上のペンに葉っぱを乗せた。ペンはナイフに姿を変える。

「これでも食らえ!」

派閥長はナイフを投げてきた。

「気を付けて。幻術じゃなくて実体があるわ」

「了解。エリザ。警備兵たちを守ってくれ」

おれはエリザに指示を出した。

「御意!」

エリザは剣でナイフを叩き落とす。


「警備兵の安全は確保出来たが決定打がないな。変化を使われると厄介だ」

ロベリアは槍で狙いをつけながら言った。 

「機動力は奪ったし、見抜く自信はあるけど…。流れ矢が当たる可能性を考えるとどうもね」

サヤは弦を弾きながら言った。

「今はまず変化に使う葉を潰そうか。チェリル。あの葉を操れるか?」

おれはチェリルに尋ねた。

「余裕ですわ」

チェリルが指を回すと毛の中から無数の葉が出てきた。

「ナイスよ、チェリル」

ヴィレッタが扇を振ると葉は一瞬でみじん切りになった。

「くっ。おのれ!よくも私の変化術の源たる葉を!」

派閥長は大声で自分に関する情報を漏らした。


「これで回避手段は奪った。ヒカリ、ベニユキは対獣特効があるはずだ。悪いが派閥長を倒してくれるか?」

おれはヒカリの肩に手を置いた。

「…私がやらないと被害が出るかもしれないんでしょう。だったらやりますよ」

ヒカリは潤んだ目でまっすぐおれを見てきた。

「…ヴィレッタ。ヒカリを撃ち出してくれ」

「私も手助けした体を出すのね。…『落涙』様。私の目の前でジャンプして」

ヴィレッタの言葉を聞いたヒカリはベニユキ鞘に納めてジャンプした。ヒカリが天井に達する間にヴィレッタの扇が風を纏い、大きな扇を形作った。

「行っけぇええ!」

ヴィレッタは派閥長の横にヒカリを撃ち出した。凄まじい速度でヒカリが通り抜ける中、一瞬白と赤の閃光が走った。

「白峰影月流、閃月」

ヒカリが呟いてベニユキを鞘に納めると、派閥長の首がポトリと落ちた。


「…これでやっと貴族派の新たな時代が来るのね」

そう呟いたヴィレッタの声はものすごく悲しげだった。

やっと貴族派反乱終わりました。早く次の国に移れればいいと思います。

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