表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
構陣師  作者: ゲラート
第1章 サミュノエル動乱
36/185

進撃の豚

「伝令!オークキングがオーク砦から出て来ました!」

伝令の兵さんが慌てた様子で報告に来ました。

「いよいよ出番よ。行ける?」

沙夜ちゃんは私の目をじっと見て言いました。

「大丈夫です。みんなを守るためですから」 

「…大丈夫じゃないって言われた方が安心出来るんだけどね」

沙夜ちゃんはそう言って私の頭を撫でました。

「今日はオーク肉パーティーね。期待してるわ」

沙夜ちゃんは私の背中を軽く叩きました。

「もう。沙夜ちゃんは食いしん坊ですね」

私は沙夜ちゃんに手を振ってストレッチを始めました。


ーーー


◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

『ブヒ!ブヒ、ブヒヒ!』

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


後ろの方のオークが何か叫びながら駆けて行くのがデビルズアイを通して見えた。

「これでオーク砦は手薄になったな。全軍、転移陣の上に乗ってくれ」

おれはオーク砦強襲部隊に指示を出した。

「まかせてくれ。破壊の限りを尽くしてやる!」

「オーク砦なんてひねり潰してやるぜ!」

『うおぉぉぉ!』

強襲部隊は雄叫びを上げて士気を高めた。どっちが魔物なのかわからないな。

「程々にな。後で修復する時に文句言われるぞ」

おれは無駄だと思ったが忠告しておいた。

「わかってるって。それじゃ飛ばしてくれ」

「了解」

おれが転移陣を起動すると、強襲部隊の面々が転移して行った。


ーー


「お、オークが出てきたぞ!」

「我々が弱った所を狙ってやってきたのか?!」

オークが貴族派の本陣前を通りかかった時、貴族派と繋がってることを知らなくてもおかしくない兵たちが騒ぎ出した。

「襲ってくるならやられる前にやってやる。ちょうど腹も空いたしな」

魔法使いが魔法で石を後ろから当てた。

「ブヒッ?!ブヒヒブヒ!」

「ブブブーブブヒーヒ!」

オークは怒って何かを言った。

「はっ!ブタの言葉なんか分かるか。人間の言葉を喋れよ薄汚いブタが!」

魔法使いは今度は泥を広範囲に拡散した。


「ブー!ブヒヒブー!」

「ブヒッヒブブヒヒー!」

魔法使いの言葉に立腹した数頭のオークが隊列を外れて向かってきた。

「お、おい!どうするんだよ…」

「オーク来てるぞ!」

兵士たちは焦りながら叫ぶ中オークの姿が宙に舞った。

「ブヒー!」

「ブヒ!ブヒッヒ!」

足をとられたオークたちは宙に吊るされながら叫んだ。

「わめくなブタが」

魔法使いは石の槍でオークの頭を貫いた。


「ブヒ、ブヒー!」

目の前で仲間を殺されたオークは激しく怒り狂った。それどころかオークの血の臭いで更にオークが寄ってきた。

「もう罠はない。逃げるか」

魔法使いはそう言って、屠殺したオークを持って転移した。

「お、おれたちを置いてくな!」

「仕方ない。本陣に逃げ込むぞ!」

果たして貴族派にどれだけの被害が出るんだろうな。

『マスター!先頭のオークが城に来たよ!』

クレスタが念話で知らせてきた。

「了解」

おれはクレスタが送ってくる視点を拡大した。


ーー


「ブヒャヒャヒャ。あれが人間どもの城か!」

なぜか急にブタ語がわかるようになった。…いや、単にオークキングが人間の言葉を話せるだけか。

「ブッフッフ。まさか弱点が見抜かれているとは思うまい。わしに続けー!」

オークキングが突進していくと、突然地面がなくなった。

「なにィ?!」

落とし穴に落ちたオークキングはとっさに仲間のオークをつかみ、足の下に持って行った。

「ブヒィーー!!」

オークは下にあった針に刺さって断末魔を上げた。

「くっ。ノーズブレス!」

オークキングは鼻息で穴から脱出して浮かび上がった。おれが火でやったのと原理は同じだな。

 

「ブーヒー!ブブー!」

「ブヒーヒブー!」

オークキングに続くオークたちはどんどん穴に落ちて行った。落ちたオークを踏み台にしていくオークも次の罠の餌食になった。

「クソ!何が最適なルートだ。あの男我らを罠に誘い込んだな!」

鼻息で浮遊して罠を突破したオークキングが吠えた。

「こうなったらわしだけでもあの城を突き破ってくれるわ!」

オークキングは城門に向かって突進した。


「させません」

オークキングが城門の前に来た時上から白い影が降ってきて鼻に飛び膝蹴りを食らわせた。

「ブヒィ?!」

オークキングは激痛に顔を歪ませた。ヒカリはその間に城門を背にして仁王立ちした。

「誰だ貴様!名を名乗れ!」

オークキングは血が出る鼻を抑えながらヒカリに向かって叫んだ。

「『落涙』の勇者白峰光。あなたを止めに来ました」

ヒカリはオークキングをまっすぐ見ながら言った。

「ブッフッフッ。貴様が『落涙』の勇者か。手柄を得られる上に慰み者になるとはわしは運がいいな」

オークキングは下卑た視線でヒカリを見ながら言った。

「…どうやらやるしかないようですね」

ヒカリは左手の親指でベニユキの鍔を軽く弾き、右手で柄を持った。

「ブッフッフッ。抵抗しても無駄だということをわからせてくれるわ!」

オークキングは持っている棍棒を構えた。

申し訳ないですが上から降って来た時に斬ればよかったのにというツッコミは受け付けてません。

次は光対オークキングです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ