籠城戦
「出て来い貧乏人!」
「おれたちが恐ろしいのか臆病者!」
外で貴族派の兵士たちが何か叫んでいる。
「黙れよ、無能貴族が」
「悔しかったら城門を突破してみろよ、雑魚!」
城内の兵も罵声を返した。
「言いやがったな!絶対突破してやる!」
貴族の兵たちはいきり立った。
「まずは城壁をぶっ壊してやる!大砲隊!前へ!」
相手はまず大砲をぶっぱなして来た。
「ウィンドウォール!」
大砲に魔法隊が風の盾を出した。ちなみに魔法が発動するまでの間に最上級まで強化してある。
「こ、こっちに戻ってきた?!」
砲弾は兵士たちの方に跳ね返された。
「く、来るな!ぐわー!」
砲弾は兵たちが集まる中で破裂した。
「ならはしごをかけるぞ!」
兵たちははしごを持ってきた。
「ファイアスラッシュ!」
今度は魔法部隊がはしごを上から切った。
「くっ。これじゃ届かないぞ」
「しかも燃えたのが落ちてきてやがる!」
貴族派たちはかなり動揺している。
「ハリケーン!」
魔法隊は燃えたはしごを風で倒した。風で火が貴族派の方に広がっていく。
「ぬわー!」
貴族の兵士たちは負傷して倒れた。
「なら城門を破るぞ!」
兵士たちは大きな杭を持ってきた。
「マッドショット!」
魔法隊は城門前の道に泥をまいた。
「な、何だ?!進めないぞ!」
「道がぬかるんでるぞ!」
城門前の兵たちは足がぬかるんで動けなくなった。
「放て」
身動き出来ない所に弓兵隊が矢を射ち込んだ。
「ぐっ。体がしびれて…」
「まさかこれは魔眼の?!」
兵たちは一斉に気絶した。
「はっ。姐さんの弓の熟練度が増したから、弓の弦に触れた時に姐さんの体から毒が分泌されるようになったんだよ」
アマゾネスのタニアが敵に余計な情報を渡した。
「機会があれば舐めとりたいんですけどね」
エルフのシアが危険な発言をした。
「やめといた方がいいわ。あまりおいしくないから」
サヤはわけがわからない返しをした。
「ど、どうする?助けるか?」
「バカ!助けようとしても同じことになるぞ!」
兵たちは動揺した様子で叫んだ。
「き、今日の所はこれで勘弁してやる。退け!退けー!」
貴族は撤退を指示した。
「クソ!覚えてろよ!」
「魔法さえ使えればお前らなんて倒してやるからな!」
貴族派の兵たちは捨てゼリフを残して去って行った。
「さすが『構陣師』様!見事な魔法でした」
魔法使い隊たちがうれしそうに駆け寄ってきた。
「おれは単に強化しただけだ。最適な魔法を使ったのは君たちだよ」
「それも消耗なしで魔法を使えるおかげですよ。魔力の心配なしで撃てるなんて普通ないですから」
魔法隊のみんなは大きく頷いた。
「さすが最強の抑止力でありますな。こちらだけ魔法使い放題というのは相手にとっては脅威であります」
エリザがビーフジャーキーをかじりながら話し掛けてきた。
「まあな。そっちは敵の補給線を潰せたか?」
「バッチリであります。位置さえわかれば楽勝でありますしね」
エリザは今度は干したデーツを取り出した。相変わらず戦闘後はよく食べるな。
「内通者の手引きがあったんですね。信用していいんですか?」
シアは探るような目でエリザを見た。
「もちろんであります。内通者とは昔からの知り合いでありますから」
エリザは自信を持って言い切った。
「…そんな昔から潜り込んでたんですか。すごいですね」
シアは耳を手でいじりながら言った。
「あんたもしかして聞いてた?」
「エルフは耳がいいですから。お姉様には負けますが」
シアはそう言って微笑んだ。
「周りには漏らさないでよ。あたしだって我慢してるんだし」
サヤは真顔で物騒なことを言った。
「わかってます。脳筋とは違いますから」
「脳筋脳筋うるさいぞ!もやし」
それからタニアとシアの不毛なケンカがしばらく続いた。
「さて、負傷した貴族派の兵を回収しましょうか」
サヤは黒い触手を蠢かせながらいった。
「絡めとれ、己の運命を。サモン、エンペラーテンタクル」
おれも触手を出した。
「かなり悪趣味でありますな」
エリザはそう言ってスルメをかじった。
ーー
「お願いします、オークキング様。ベッキング城を攻めるのに力を貸して下さい」
フードを被った男がオークキングに話し掛けた。
「はっ。なぜ見返りもなしにそのようなことをせねばならぬのだ」
オークキングはふんぞり返りながら言った。
「それならば城を攻め落とせばいいでしょう。あの城には上玉がそろってますから」
フードの男はうさんくさい笑みを浮かべながら言った。
「ほう。それは攻めがいがあるのう!」
オークキングは鼻息荒く言った。
「今なら更に我が領特産の最高級トリュフもつけますが」
フードの男はトリュフをオークキングの前に差し出した。
「ほう!見事なトリュフではないか!よかろう。あの城をひねり潰してやるわ!」
オークキングは棍棒を振り上げて言った。
「では頼みます。この地図に攻めやすい所が書いてあるから参考にして下さい」
フードの男はそう言って地図をオークキングに渡した。
「ブヒャヒャヒャ!必ず攻め落としてやる!」
オークキングは鼻息を荒くして棍棒を振り回した。
「フフ。期待してますよ」
フード男はうさんくさい笑みを浮かべて転移した。
大分雑ですね。さすがに楽勝すぎました。