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構陣師  作者: ゲラート
第1章 サミュノエル動乱
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討伐完了

「オーバーヘッド・ライト・シュート」 

私は逃げる盗賊さんの後頭部に光の玉を蹴りました。

「げふっ!」

盗賊さんは声を上げて倒れました。

「お見事。体が子供の名探偵も真っ青なシュートだわ」

そこはボールは友達のキャプテンじゃないんでしょうか。そこまでサッカーがうまいわけではないですが。

「これで終わりですね。では帰りましょう」

アッシーさんはいつものように転移魔法陣を出しました。

「ええ。行きましょう」

私と沙夜ちゃんが乗るのを確認するといつも通り盗賊さんたちを縛ったまま転移しました。

「やっぱりこうなるのかよー!」

今まで捕まった人たちの扱いを知っているらしい盗賊さんの叫びを聞き流しながら私たちは城へと転移しました。


ーー


「おめでとうございます!討伐リストに載っている盗賊団、全て討伐完了いたしました!」

盗賊さんたちを引き渡すと衛兵さんが祝福してくれました。

「終わったのね。何だか思ったよりあっけないわ」

沙夜ちゃんはそう言って溜め息を吐きました。

「アッシーさんとのチームも解散ですか。寂しくなりますね」

「なに、城にいる間は会うこともあるでしょう。困ったことがあったら何でも言って下さい」

アッシーさんは笑顔でそう言いました。

「そう。ならアッシーにでもこき使ってあげるわ」

沙夜ちゃんはそう言ってニヤリと笑いました。

「いやですよ!サヤ様本気でこき使いそうですし」

それは否定しません。実際文化祭実行委員とか生徒会の仕事でも人使い荒いですから。


「よかったら弓兵隊の女の子紹介するわよ」

「マジですか?!…でも弓兵隊のアマゾネスとエルフってサヤ様の虜なんですよね?」

元の世界でもよく受けた質問ですね。…私も沙夜ちゃんのことが恋愛的な意味で好きだと誤解されることが多かったです。

「あの娘たちの感情はあくまで信奉とか崇拝とか憧れとかいう類の物よ。ま、あんたがあの娘たちの好みかはわからないけど恋愛は勝手にしてもいいと思うくらいには信頼してるわよ」

沙夜ちゃんはそっけない口調で言いました。

「割と周りの女の子には過保護な沙夜ちゃんがそう言うのは珍しいですよ。基本容赦なく排除しますから」

「そうなんですか。光栄です」

アッシーさんはうれしそうな顔をしました。

「その代わりあの娘たちを泣かせたら…呪うから」

沙夜ちゃんは手のひらに禍々しいドクロを出しました。

「わ、わかりました!肝に命じておきます!」

アッシーさんはきれいな敬礼をしました。


「…あそこの領主さんも粛清されてしまうんでしょうか?」

気がつくと私の口からそんな言葉が漏れてました。

「おそらくね。今まで全部粛清してたんだから最後に例外を作ったりしないでしょう」

沙夜ちゃんはうんざりした顔で言いました。

「まあ止めるのはもう無理でしょうね。あいつら動くの早すぎですから。それに後釜の領主は今の領主よりはずっとマシでしょう」

アッシーさんはしみじみと言いました。

「コマユバチは今まで世に出てない貴族の子弟を抜擢してるようね。世代交代がうまく進んでるように見えるわ」

沙夜ちゃんは何だか含む言い方をしました。

「それにあの卵たちは命令書で弱体化しないしね」

沙夜ちゃんは意味深な顔をして呟きました。


ーーー


「なぜだ!なぜやつらは10白金貨払わなくても粛清対象にしないのだ!」

貴族派に潜り込ませているデビルズアイがわめき散らす貴族の声をおれに送ってきた。

「命令書の文字も読めないんですかァ?命令書には『領地ごとにそこの領主が1回以上勇者に賭けなければならない』とありますよねェ。新しい領主が就いた領地の前の領主がすでに賭けてるので別に賭けなくてもいいわけですよォ。更に『賭けるのは貴族の家の代表者のみでもよい』とありますゥ。すでに新しい領主の家は払ってるので新しく賭ける必要はありませェん」

ジェノスは狂った笑みを浮かべながら言った。

「あんなむちゃくちゃな命令書偽物だろう!従う必要などない!」

「一応貴族派派閥長印がある以上公式の物ですよォ?だからこそ私は払わないことを公言した貴族を粛清したんですからァ」

さすがに命令書が本物だと思っていたわけではなかったか。薄々感づいてはいたが。


「そんな建前放っておけ。ルールなど破ればよいだろう!」

「わかってませんねェ。信賞必罰で正義の名の下に裁くからいいんですよォ。一切の咎めも受けないで血を見られる。まさに一石二鳥でしょォ?」

免罪符があるからこそ好き勝手出来るというわけか。言ってることの筋は通ってるが最悪だなこいつ。

『…何なのこの人。怖いんですけど』

デビルズアイのキーラが震え声で念話を送ってきた。

『昔から狂ってるからなそいつ。そうじゃなきゃ粛清とか出来ないだろうが』

『もうこのレンタルやだ。マスターの所に帰りたい…』

キーラは死んだ目で念話を送ってきた。

『もう少し待て。作戦は順調に進んでいる。作戦さえ終わればもう潜入させる必要はなくなる』

『それ何度も聞いたんですけど…。まあ後少し頑張ってみる…』

キーラは目に怪しい光を浮かべて念話を切った。さすがに負担をかけすぎたか。

「きさ」

「これ以上ルールを破れというならまずあなたをルールが破って殺しますよォ。それでもいいんですかァ?」

ジェノスはナイフを舐めながら言った。

「わ、わかった。もう何も言わん。では失礼する」 

貴族は顔を青ざめて出ていった。


ーー


「…帰ってきたら埋め合わせしてやるか」

おれはひとりごちて、他のデビルズアイが何か見てないか確かめることにした。

かなり安っぽい狂気キャラになってしまいました。上手に狂気を描ける人はすごいですね。

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