食料調達
「じゃあまた前みたいに海の魔物を捕まえてもらおうか。はい」
フランはおれたちに釣り竿を渡して来た。
「私は自分の使うからいいわ。ドーター。フィッシングモード」
『はいはーい』
ドーターの返答と共にMephoneが釣り竿に変化した。
「すごいね…。でもエサはどうするのさ」
フランは当然の疑問を口にした。
「それも問題ないわ」
サヤの言葉と共に糸の先端に針がついた小魚のような物が出現した。
「擬似餌かい。何でもありだね。ま、勝手にしな」
フランは肩をすくめながら言った。もう考えるのをやめたんだろう。
「お言葉に甘えて勝手にさせてもらうわ。それっ」
サヤは擬似餌とやらを海に投げ入れた。
「それじゃ頼むよ野郎ども。その分飯が豪華になるからしっかりやるんだよ」
フランはそう言って船長室に向かった。
「とりあえず釣りをするか。来るかどうかわからないけどな」
そう言ってエサをつけようとしたらサヤの釣り竿に反応があった。
『わわっ。凄い引きだね。…でも何かおかしいかも』
Mephoneからドーターの訝しむ声が聞こえた。
「おかしいって何が?」
竿を持ちながらサヤが尋ねた。
『何て言うか噛まれた感触じゃないんだよね。どちらかというと掴まれてるみたいな…』
そうこう言ってる間に魚影が見えてきた。
「…人間?いや、どちらかというとこれは」
サヤは呟きつつ釣り上げた何かを優しく船の甲板に置いた。
「人魚ね。…魚部分は食べられるのかしら」
サヤは真顔で釣り上げた人魚を見ながら舌なめずりした。
「ひ、ひぃ。た、食べないでー!」
人魚は怯えながら尾びれを甲板に激しく叩きつけた。
「サヤちゃん、怖がらせるのやめて下さい。今海に帰してあげますね」
ヒカリは手を振りながら人魚に近付いた。
「今はダメ!私追われてるの!」
人魚がそう言った瞬間、何かが船の上に飛び込んできた。
「フライングマンタか。おそらく絶海鋼竜の手先だな」
一応サメ系だがまだ何とかなりそうだ。キングシャークとかビッグジョーズとかじゃなくてよかったよ。
「これは今日のご飯はホンオフェかしらね」
「それ確かすごく臭い食べ物ですよね?シュールストレミングよりはいくらかマシかもしれないですけど」
ヒカリはサヤにツッコミながらベニユキを構えた。
「そいつは尻尾に毒のトゲがある。当たらないように注意しろ」
「後なるべく船傷付けるなよ。修理するのおれなんだからな!」
海賊たちが周りからアドバイスした。わざわざ勇者の戦いに手を出す気はないようだ。
「わかりました。やってみます」
ヒカリは答えながらフライングマンタ目掛けて駆け出した。
「シャー!」
フライングマンタは尻尾をヒカリに叩きつけた。
「遅いです」
ヒカリはフライングマンタの尻尾を切り落とした。 そしてそのままフライングマンタを縦に真っ二つに切り裂いた。
「ふう。大丈夫でしたか?」
ヒカリは涙と血を拭ってから人魚に微笑みかけた。
時間が空いてしまいすみません。次どうなるかは未定です。