天気予報
「まずは下準備といくか。風に乗り天を流れろ。サモン。ベビークラウド」
おれは無数の小さな雲の魔物を出した。
「ハハハハ!何のつもりだ。そんな雑魚の大群を出した所で何になる!」
ウェザディオスは上空から見下してきた。
「ギャラリーは多い方がいいだろう。それだけだ」
おれはごまかした。わざわざ手の内を教えてやる必要はない。
「小賢しい。全て焼き尽くしてくれるわ!」
ヒルデはそう言って手を掲げた。
「我が内に宿る憤怒の炎よ。我が掌に集まり全てを燃やせ。我が怒りに触れし物ことごとく焼き尽くすがいい。煩わしい太陽ね!」
詠唱が変わったな。元々詠唱なんて必要ないから何言っても発動するが。
「ふっ。通じぬことがなぜわからん」
ウェザディオスはそう言ってまた魔法陣を出した。
「空気に宿る水の精霊よ。我が声に応え恵みの雨を降らせよ」
ウェザディオスは魔法陣に魔力を込めたが発動しなかった。
「な、何?!…ぐわぁ!」
黒い太陽が直撃したウェザディオスの体の大部分が溶けた。
「ふっ。どうした?精霊の加護を失ったか?」
ヒルデはひきつった笑いを浮かべながらウェザディオスを煽った。何が怒ってるのかわからない感じだな。
「バカな…。そんなことあるはずがない!」
ウェザディオスは今度は晴れの魔法陣を展開した。
「愚かな火の精霊どもよ!我が声を聞け!」
かなり高圧的だな。本当にへそ曲げても知らんぞ。…まあ今回は通すけどな。
「…フフフ。ハハハハハ!やはりさっきのは間違いだったようだな。精霊が我に逆らうはずがない!」
炎の体になったウェザディオスは高笑いを浮かべた。
「どういうつもりですのイドルお兄様!みすみす通すなど」
「少し試したいことがあるんだよ。いいから攻撃しろ」
おれはチェリルの質問に返した。
「わかりましたわ。ソーラービーム!」
チェリルはソーラービームを撃った。
「またそれか。太陽がないと効果が薄まることがまだわからんのか」
ウェザディオスは雨の魔法陣を出した。
「愚かな水の精霊どもよ!我が声を聞け!」
ウェザディオスが魔力を放つ瞬間、おれは雨の魔法陣の間に雪の魔法陣を書いた。
「ば、バカな!体が溶け…グハッ!」
ソーラービームを受けたウェザディオスの体はさらに溶けた。
「なるほど。天候の変化は魔法陣が書かれた範囲の下で起きるのか。そしてウェザディオスの体は周辺の天候に合わせて変化するようだ。だから直射日光で氷の体に変化するというわけだな」
おれは感心しながら落ちる水滴に電気を流した。
「ぐわあああ!く、クソ!調子に乗りやがって!」
ウェザディオスは天気を変えようとしたが不発になった。こうしてる間にもウェザディオスの体はどんどん溶けていく。
「どうした?天を支配出来るんじゃないのか?天に支配されてどうするんだ、羽虫が」
おれはウェザディオスを挑発した。
「ち、畜生がああ!」
ウェザディオスの無様な叫びが空の上から降ってきた。
攻略法がわかりやすすぎましたね。後少しでウェザディオス戦は終わりです。