変わりやすい天候
「体が水ならこういうのはどうでしょう。マグナムリリィ!」
チェリルは魔法陣からテッポウユリを出した。
「行きますわよ。シードマシンガン!」
チェリルが指示を出すとテッポウユリから大量の種が発射された。
「ふっ。無駄なことを」
ウェザディオスは涼しい顔で種を受けた。
「フフフ。かかりましたわね」
ウェザディオスの体に当たった種はウェザディオスの体に触れてすぐ発芽した。
「な、何っ?!」
驚くウェザディオスの体からどんどんユリが生えて来た。
「そのユリはわずかな水でも芽を出し、水を吸い付くしますわ。このままだと全身が吸われますわよ」
チェリルはそう言って悪どい笑みを浮かべた。
「ならこうすればいいだけだ。空気に宿る火の精霊よ。我が声に応え日照りをもたらせ」
ウェザディオスが魔法陣を出して魔力を込めると雨が止み太陽が顔を出した。
「フン。残念だったな」
すぐにウェザディオスの体が炎に変わった。本当にコロコロ変わるな。
「太陽が出ましたわね。ソーラービーム」
チェリルはテッポウユリからビームを発射した。本当に便利だな。
「アクアキャノン」
おれは勢いよく水をウェザディオスに放った。炎だからダメージは大きいだろう。
「無駄だというのがまだわからないのか。空気に宿る氷の精霊よ。我が声に応え大地を極寒に閉ざせ」
ウェザディオスが魔法陣を出すと猛吹雪になり水が凍った。
「凍ったか。どの道我にはダメージはないがな」
ウェザディオスの体は氷になった。本当に天候で体が変化するな。
「くっ。天を敵に回すと斯様に厄介なのか!」
ヒルデは悔しげに拳を握り締めた。
「フン。戦いとは天に左右される物だ。その天を支配する我に勝てる道理などないわ。このゴミクズ共が」
ウェザディオスは上空から見下してきた。完全におれたちをなめてるな。
「ねえ、イドル。もう天井まで回したと思うけど行けるかしら」
サヤはよくわからないことを言って目配せしてきた。
「天井というのが何のことかはわからんが…。もう見たい物は見たのは確かだな」
おれの言葉にサヤはニヤリと笑った。
「さすがね。それじゃここから先はワンサイドゲームと行きましょうか」
サヤはそう言ってウェザディオスをにらみつけた。
「確かにやつの手は見たが…。だからといって何が出来るというのだ?」
ヒルデは暗い顔で聞いた。
「大丈夫ですよヒルデさん。もうほぼ攻略したも同然ですから」
ヒカリはおれを見つめながら言った。おれのことをよくわかっているようだ。
「何をした所で無駄だ。跪いて命乞いするなら好きな天候を選ばせてやってもいいぞ。ハーハッハッハッ!」
ウェザディオスは上空で高笑いを上げた。
「今のうちに笑っていろ。すぐ理解させてやるよ。誰の前で調子に乗って手札を晒したのかをな」
おれはそう言いながら魔筆を蠢かせた。
次は久々に主人公が大活躍します。やっと見せ場が回って来てよかったです。